37年間、客を見守り…三島駅の不二家閉店でペコちゃん引退 静岡・三島市

ペコちゃん
「きょうもがんばってるみんなへ。37年間、毎日毎日みんなの頑張る姿を、ここで見守ってきたけど、お別れの時がやって来ちゃった…」

画像1: 37年間、客を見守り…三島駅の不二家閉店でペコちゃん引退 静岡・三島市

ペコちゃん
「きょうもがんばってるみんなへ。37年間、毎日毎日みんなの頑張る姿を、ここで見守ってきたけど、お別れの時がやって来ちゃった…」

 静岡県のJR三島駅。伊豆半島への玄関口です。その改札の中にある店舗…「不二家三島ステーション店」。

 オーナーの原田重利さん、72歳。原田さんは不二家一筋52年。20歳の時、三島市内の不二家に就職し、そこで15年勤めたあと、独立。三島駅の店舗を37年間、経営をしてきました。

 年齢による体力の低下と、新型コロナウイルスの影響により売り上げが低下したことで、20日、37年間の営業に幕をおろしました。

画像2: 37年間、客を見守り…三島駅の不二家閉店でペコちゃん引退 静岡・三島市

「子どもだったみんなも、立派な大人になったね」

 37年間をともに過ごした相棒…ペコちゃん。7月にお別れのメッセージを掲載すると、SNS上で大反響を呼びました。

ペコちゃん
「ペコが来た時、子どもだったみんなも、もう立派な大人になってペコの身長を追い抜いていったもんね。本当はもっと、みんなと一緒にいたかったけど…。ずーっと一緒にいてくれた店長もだいぶ年をとったしね(笑)」

画像: 「子どもだったみんなも、立派な大人になったね」

最後の1日に密着

 原田さんとペコちゃんの最後の一日。

「今日一日よろしくお願いします」と52年間やってきましたので、心をこめて最後の言葉として贈りました。お客様に満足して帰っていただけるのが最高の幸せですので、最後まで頑張ってやらせていただきたいと思います

今回は不二家三島ステーション店の閉店の1日に密着しました

午前8時 開店直後に席は埋まり

午前8時。オープンして間もなく、別れを惜しむ人たちで席は埋まっていました。

女性70代:「きょうが最後と言うから誘われてきました」
女性40代:「もうちょっと頑張ってほしかったですね」
女性40代:「とても寂しいです本当にさみしいです」
「地域に密着してて店長もとても良い方だったので本当に温かい存在」
女性60代:「三島駅のシンボル」

 思い出の味を最後に食べたいとくるひとも…

朝食を食べ終わったばかりの女性は…

女性20代:「学校帰りに友だちとよく通っていて思い出の味を最後に食べたくて。朝寄りました。いまホットケーキとチョコレートのパフェとボロネーゼいただきました」
ディレクター「食べましたね?」
女性20代:「結構 はい 最後にどうしても食べたくて3つ頼んじゃいました」

 朝から総額2000円超えも惜しくない。思い出の味がきょうの活力。

 不二家で王道の人気商品、ホットケーキ。

デイレクター:一日いくつぐらいつくるんですか?
原田さん:「きのうあたりで40、50個」
ディレクター:その焼き台も古いですね?
原田さん:「もうこれはオープ当時からつかってます。37年間、銅板で焼かないとうまく焼けないんですよね」

 膨らんだ加減は必ず触って確認。この技術も37年で培ったものです。

 イチゴが盛り付けられたホットケーキ…。

20代男性:「うまいです」

 友人2人もホットケーキ。

20代男性:「やっぱホットケーキ。スイーツ系男子なので。結構な頻度でお昼休憩とかにご飯食べに。これが近くで食べられなくなるのは悲しいですよね」

ディレクター:「通われたのはどのくらい?」
50代女性:「長いというか、私の勤続も長いから恥ずかしくて言えない」

 近所でお勤めの女性も、ここのご飯に活力をもらっていました。

「癒されて今日も頑張ろうじゃないけど。すごく寂しいです そうだよね」
「店長に会えないのも寂しいけどね ぺこちゃんもいないしね
でも頑張るしかないよね」

この日昼食に選んだのは…カレー。

ディレクター:「泣きながら食べているじゃないですか」
女性:「おいしいんです このカレー」
ディレクター:「いつぶりにこのカレー食べているんですか?」
女性:「きのう…きのうの夕方ぶりです」
ディレクター:「2日つづけてカレー…」
女性:「それでもおいしいんですよ」

想いがこみあげてくるカレーです。

午前11時30分 姉妹3人がアルバイトを

午前11時30分
 お店の外に原田さんをひとが…。手には色紙とプレゼント。

原田さん:「ありがとう、みんなによろしく言っといて」
「今、2人(子どもが)いるんだ?」「お姉ちゃんは?」
女性:「お姉ちゃんは3人目」

 実は女性は元アルバイト。しかも3人姉妹で、3人とも不二家でバイトをしていました。久しぶりの会話で思わず涙が…

 続々と、元アルバイト経験者たちが集まってきました。当時を振り返ります…

女性20代:「バイトしている私たちを、子どもみたいにあつかってくれて。結構いいお父さんだったね。クリスマスにもバイトの子たちにホールのケーキを一人一個づつ作ってくれて、バイトが終わったときにクリスマスだからって渡してくれて」

女性30代:「正月すごく忙しくて大変で休む暇もなくて、狭い空間を駆け回ったっていうのが、一番の思い出にありますかね。
なかなかあれは今でもあんまり経験しないぐらいの目まぐるしさでした」

 社会に出ても助けられました。アルバイトであの時の苦労を知っているから。

 こちらの学生はペコちゃんに助けられたそうです。

10代学生:「どんな天気でも学校は行かないといけないんですけど、ペコちゃんがいろんな格好をして、いつも立っていて励ましてくれたような気がして、それで最後にお礼を言いにきました」
ディレクター:「前を通るたびに励まされた?」
10代学生:「はい。そんな部分もありますね」

 「学校は行った方がいいな」…そんなペコちゃんの声が聞こえてきそう。いなくなっても頑張ってください。

午後1時00分 50代女性「子どものころからたくさんの思い出」

午後1時00分
 昼を過ぎても店は客足が途切れません。
 この男性は子どものころから利用しているそうです。

30代男性:「最後にこれてよかったです。親と新幹線に乗るとき(店を)使ってましたね、ちょっと寂しくなりますね」

 店に飾られた昔の不二家の写真。希望するかたにプレゼントしていました。

この方も写真をもらっていました。
50代女性:「不二家さんは子供のころから思い出がたくさんありまして、夏休みに叔母の家が三島にあるので、遊びにきたときに不二家さんをよく利用していた。誕生日の時も、祝ってもらえるんですよ。子どもの誕生日の時にも利用して亡くなった母と一緒にきた写真は大事にとってある」

3年前になくなった母。家でのイベントはいつも不二家でした。

「帰ったら母の仏壇に飾ろうと思いますなんか…(大げさ?)」
「子供のころからずっとそばにあったので悲しいです。長い間お世話になったので、お体に気を付けて元気でいてほしい」

午後5時 閉店 ペコちゃんとの別れの時が…

午後5時 閉店の時間。

 通常なら営業時間は午後8時までですが、新型コロナの影響で時短営業になったまま、終わりをむかえました。

 お店が終わって改めて原田さんに伺いました。

原田さん:「素晴らしい忙しさのプレゼントだったので、有終の美が飾れました。長い間お客様に支えてもらって感謝しています。お客様から「寂しくなっちゃう」という言葉をいっぱいいただき、よかったなという気持ちがいたします」

「子供連れてきたよって、おばあさんときて娘がいろいろお世話になりましたと言ってくれて。孫と一緒にきて、私に見せにきてくれるのは、すごくうれしい。自分で築いて自分でやったものですからすべてが宝物です」

画像: 午後5時 閉店 ペコちゃんとの別れの時が…

 多くの人が駆け付けた原田さんのお店。いよいよ相棒ともお別れのとき…

「ペコちゃん有り難うございました。これからゆっくり休もう」

ペコちゃん
「私達、頑張ったよね! ペコがここ三島駅にいたことみんな忘れないでほしいな。本当にありがと!またね!!ペコより」