アユ釣りで有名な狩野川に流れ込む…宗教法人の敷地に大量廃棄物 静岡・伊豆市

梅田航平ディレクター:「ここは伊豆市大平柿木の山間部です。不法投棄とみられる廃棄物交じりの土砂の流出を防ぐため、現地の木々を用いた柵が急ピッチで作られています」

画像1: アユ釣りで有名な狩野川に流れ込む…宗教法人の敷地に大量廃棄物 静岡・伊豆市

 伊豆市で今、住民を不安にしている問題。大量の土砂が狩野川の支流・柿木川に流出していることから、市は急きょ、柵を設置。柵には廃棄物を通さず、水だけを通すフィルターがついています。4メートルから8メートルの幅で柵を2列に並べ、5カ所につくりました。

画像2: アユ釣りで有名な狩野川に流れ込む…宗教法人の敷地に大量廃棄物 静岡・伊豆市

伊豆市農林水産課 勝呂信哉課長:「上流部に土砂と廃棄物が混じった土が盛り土されていて、それが下流へ流出し、さらには狩野川の方まで流出しているということで、そちらを緊急的に止める必要があり、柵を設置した。今、全庁を上げて対策会議等をやって対策を講じている」

 不法投棄とみられる土砂が運び込まれたのは、西伊豆スカイラインに近い山間部。伊豆市大平柿木にある宗教法人「平和寺」の敷地内です。

 大量の土砂の中にはプラスチックやがれきなど、廃棄物も混ざっています。この土砂の一部が近くを流れる柿木川(かきぎがわ)に流れ込んでいます。

画像3: アユ釣りで有名な狩野川に流れ込む…宗教法人の敷地に大量廃棄物 静岡・伊豆市

 7月に撮影された柿木川の映像を見ると、狩野川支流との合流地点では、透き通った支流の水と違い、茶色く濁っているのがわかります。近隣住民も怒りを隠せません。

近隣住民 60代男性:「自分たちのきれいな環境が破壊されてしまっているなと強く感じている。非常に腹立たしい」

近隣住民 70代男性:「不法投棄で変な物質が入ると、田んぼが作れない心配はある。結局、我々みたいな人間が泣き寝入りして、田んぼを辞めてしまうということになりますよね」

伊豆市によりますと、廃棄物の混ざった土砂の流出は6月ごろに発覚しました。約8000平方メートルにわたり堆積し、総量は分かっていません。

画像4: アユ釣りで有名な狩野川に流れ込む…宗教法人の敷地に大量廃棄物 静岡・伊豆市

 宗教法人「平和寺」は静岡朝日テレビの取材に対し、「土砂の搬入には無関係」としています。2年前にも、敷地内へ何者かに土砂を運び込まれたといいます。今後、民事訴訟を検討していて、県や伊豆市の調査にも協力する考えだということです。

画像5: アユ釣りで有名な狩野川に流れ込む…宗教法人の敷地に大量廃棄物 静岡・伊豆市

 市は独自に水質と土砂が流れ込んだ地区の土壌調査を行い、現時点で汚染物質の確認はされていないとしています。ただ、すでに深刻な影響が出ています。

 柿木川沿いにあるゴルフ場では、これまで、芝への散水や、クラブハウスの飲料水、調理にも使っていました。

フジ天城ゴルフ倶楽部 諏訪卓生支配人:「井戸の水に切り替える対策をした。今後いつ井戸が枯れてしまうのか。もし井戸が止まって水が供給できなくなれば営業自体もできなくなるので…」

 柿木川は、アユの聖地として知られる狩野川につながっているため、狩野川の漁協も不安を感じています。

画像6: アユ釣りで有名な狩野川に流れ込む…宗教法人の敷地に大量廃棄物 静岡・伊豆市

狩野川漁協 井川弘二郎理事組合長:「釣り人のSNSとか色々な状況を見ていると、不法投棄の水、産廃交じりの水が流れている川でとか
かなり敏感になっているところもあるので、/
本当を言えば、(川に流出したごみを)全部取ってもらいたい。

画像7: アユ釣りで有名な狩野川に流れ込む…宗教法人の敷地に大量廃棄物 静岡・伊豆市

不法投棄が明らかになってから、なぜ3カ月も問題が放置されているのか。
そこには、「管轄」の問題がありました。

土砂の問題はそれぞれの市や町が、産業廃棄物は県が窓口になります。
「産業廃棄物が混ざった土砂」と認識する伊豆市は、県に対応を求めました。
 一方、県は産廃物の調査を進めるのが役割で、伊豆市が土砂の対策を講じると考えていました。

画像8: アユ釣りで有名な狩野川に流れ込む…宗教法人の敷地に大量廃棄物 静岡・伊豆市

問題が解決されずに時間だけが過ぎる中、市は先月26日、西伊豆スカイラインから「平和寺」に続く市道を緊急封鎖しました。土砂を積んだ大型ダンプカーの往来による道路の陥没などを、その理由としていますが、土砂の搬入を防ぐ狙いもあるとみられています。

画像9: アユ釣りで有名な狩野川に流れ込む…宗教法人の敷地に大量廃棄物 静岡・伊豆市

伊豆市 菊地豊市長:「一番難しいのは、何が起こっているのか、何が問題なのか、まだ把握しきれていないところ。当面の処置と、中期的な処置と、かなり長期的な対策としっかりとらなければならないと思っている」

 広がる不安と怒り。茶色くよどんだ水が住民の心を濁らせています。