「脱ハンコ」の流れで半分の押印を廃止 きっかけは10万円の給付申請 静岡・袋井市

行政のデジタル化の障害となっているとして政府が推し進める「脱ハンコ」。静岡県内の自治体でも改革の動きが広がっています。

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「脱ハンコ」の流れで半分の押印を廃止 きっかけは10万円の給付申請 静岡・袋井市

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静岡県 川勝平太知事:「県庁を挙げて、あるいは県全体を始動する形で進めていこうという中で、押印で廃止できるものはできる限り廃止でいこうと」

 おとといの会見で川勝知事が宣言した「脱ハンコ」。河野行革担当大臣が進める行政文書の押印の原則廃止に、知事も足並みをそろえた形です。

 今月にもプロジェクトチームを立ち上げ、見直しを進めます。

小林歩記者:「袋井市では今まで保育所の申請にハンコが必要でしたが、先月から廃止されています」

 こうした動きに先立って、すでに脱ハンコを進めているのが袋井市です。

袋井市総務課 近藤友紀子さん:「法令等に基づいて押印が必要なものと、慣例によるもので押印を廃止しても支障のないものの整理を行っています」

 袋井市役所では先月1日から、市民が提出する申請書1373件のうち688件の押印を廃止しました。慣例的に押印が求められていただけで、実は手続き上、必要なかったといいます。見直しのきっかけになったのが「10万円」の給付申請でした。

袋井市総務課行政係 近藤友紀子さん:「特別定額給付金の申請の際に、押印がなくとも申請書を受理した経緯がありまして、そこで行政手続きの簡略化・合理化によって市民の軽減の負担を図れないかということで見直しに至りました」

ペルー出身の袋井市の男性:「とってもいいこと。銀行行くときはちゃんと忘れないようにポケットに持っていくんだけど、他の例えば市役所に来ると持っていないので、なければ楽になるかもしれない」

 さらに窓口にいかなくても、スマートフォンで専用のページから行政手続きができるシステムも導入。平日は仕事で身動きの取れない会社員に好評で利用が増えています。

磐田市の会社員男性(29):「行く手間も省けるので、有難い。それこそ休みとかも取らなくて済むので、やってもらえれば助かる」

 こうした市民サービスの向上に加えて、庁舎内のデジタル化も進めます。来年の4月から業務の効率化を図るため、電子決裁を導入する方針です。

袋井市総務課行政係 近藤友紀子さん:「職員の中でもテレワークなどの働き方改革の推進にも寄与するものと考えています」

一方で、ハンコ文化を守ることを目指す自民党の議員がきのう、加藤官房長官に要請書を提出しました。ハンコ産業に従事する10万人の人に不安が広がっていると訴えます。

はんこ議連 城内実衆院議員:「ハンコがなくなれば、ハッピーではない。ハンコを悪者にするのをやめてくださいと」

 コロナ禍で注目される行政のデジタル化。作業の効率化と文化の存続の間で模索が続いています。