「飛躍の年」にコロナ禍で…名物ワサビ社長の挑戦 自らに課した1000日ウオーキング 静岡・三島市

 テレビ番組に取り上げられた本数50回以上。静岡県三島市に本社がある老舗わさび店「山本食品」の4代目社長、山本豊さん(58)。明るく サービス精神が旺盛なキャラクターで名物社長として有名です。

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 テレビ番組に取り上げられた本数50回以上。静岡県三島市に本社がある老舗わさび店「山本食品」の4代目社長、山本豊さん(58)。明るく サービス精神が旺盛なキャラクターで名物社長として有名です。

山本豊社長:「わさびって日本人だったら誰でも知っていますよね? だけど食べ方となると、おすし、お刺身、おそば、最近はお肉。それぐらいで止まってしまう。これって、わさびの魅力の発信不足だと思う。いろんなものを通して、これからもっとどんどんわさびの魅力を広げていきたい」

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ワサビ関連商品が並ぶ

 山本食品は明治38年創業のわさび総合メーカー。わさび漬はもちろん、わさびマヨネーズ、わさびのアヒージョなどオリジナルの人気商品がたくさんあります。

3年前には「誰が本わさびをすっても、わさび本来の辛味が味わえる」と評判の「本わさび専用おろし板 鋼鮫」を開発。グッドデザイン賞を受賞し、山本食品にとって2020年は本来ならば、飛躍の年になるはずでした…。

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山本豊社長:「3年前からホップ・ステップ・ジャンプ計画を立てていた。去年がステップの年で、ステップが思ったよりも飛んじゃって(好調で)、これはすごいジャンプ(業績が)出るぞ、という気持ちで今年を迎えた。スタートしたら新型コロナが来て『棒高跳びで飛べるぞ』と言った瞬間に、棒が折れちゃったみたいな形でした」

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で 、2月末から観光バスの予約はキャンセルが相次ぎました。観光バスがメインターゲットだった山本食品が運営する「わさびミュージアム」は大打撃を受けました。

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安森真弓店長:「観光バスのお客さんであふれ返っているのが当たり前だった。それがいらっしゃらないという風景がとても寂しかった」 Q 現在の状況はいかがですか?
「5,6月と比べてお客さんの入りは多くはなってきているが、この先 お客さんがまた元に戻るかどうか? 考えると不安な思いでいっぱい」

Q 実数的には去年に比べて(お客さんの)入りはいかがですか?
「まだ半分まで 戻っていないかと思います」

 山本食品はコロナ禍での 観光バスの減少により、約1億3000万円の損失に。去年の3月から9月に「わさびミュージアム」を訪れた観光バスは2717台あったのですが、今年の同時期は39台に。7割激減してしまったのです。

 社長の弟で専務の勲さんはコロナ禍での会社の状況をこう話します。

山本勲:「正直言いまして、 売り上げ自体もそうですけれど、従業員のことを考えると(仕事を)休ませたくなくても、休んでもらっている状態が続いている。観光地主軸の中で、商売をしているので、お客様自身がどんどん減っていく中で、売り上げが低迷している、従業員にはなんの罪もない。ただ、会社も売り上げがないですから 、その部分を考えるとやむを得ずに(従業員には)休んでもらっている。ただ、その中でも頑張ってくれる従業員もいるものですから、(会社は)それに応えられるように一所懸命に頑張っているのが現状です」

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 コロナ禍の今年3月、山本社長は 社長室にこもる毎日が続きました。

山本豊社長:「相当なショックで、さてどうしようと、いろいろ悩んじゃいまして、悩んじゃうと顔つきも険しくなって。ただ私の場合は(従業員の前で)常に元気じゃないとダメなんですよ。常に(従業員)みんなに元気になってもらうとために、私が元気じゃなきゃいけないという時には、その(落ち込んでいる)自分をみんなに見せたくなかったというのが本音」

Q 社長室にこもったことで発想の転換はありましたか?

 「やっぱり考えても仕方ないなという部分で、何をやっていいかわからない時に、ふと思い出した(動画サイト)ユーチューブを配信するために作ってあったスタジオ、それがコロナ禍の影響でそのままになっていた。『あっ、そうだ! 今こそやっちゃえ!』という形でユーチューブを始めたんですよ」

コロナ禍での挑戦(1)

画像: コロナ禍での挑戦(1)

 わさびの新たな食べ方や知られざる魅力を世界に発信しようと、動画サイト「ユーチューブ」を4月1日から配信しているんです。  そして 「わさびの魅力」を伝えるために、バイクで行く「わさび田巡り編」もあります。色々なわさび田をめぐる中で 山本社長は思いました。

 「わさび田はなかなか見られない山里深い場所にある。そんな わさび田を間近で お客さんに見てもらいたい!」

コロナ禍での挑戦(2)

画像: コロナ禍での挑戦(2)

 わさびミュージアムに本わさびの栽培ができる室内わさび田を作る。

山本豊社長:「とにかく私、職業柄わさび田に行くチャンスは多いんですが、行く度にすがすがしい気分になって、爽やかな気持ちになって帰ってくる。新型コロナの今こそ『癒やしを皆さんに味わっていただきたい』。よし、それだったら、わさび田を造っちゃえ、とわさび田を通してわさびのことを少しでも好きになっていただければ、もうこれに越したことないと振り切ってしまいました」

 山本食品は 室内にわさび田を作ることで、「観光バスの団体向け」から「個人のお客さん」へ方向転換を決断したのです。観光バスはトイレ休憩、お土産の購入を20分でしなければいけません。そこにゆっくりと見学してもらいたい「室内のわさび田」を作ることは土産物を買う時間が少なくなり、死活問題になりかねません。

山本豊社長:「結局 団体のお客さんが来なくなって、とにかく個人のお客さんを来ていただくしかない部分は本音の部分、個人のお客さんを大事にする個人の集まりが団体です。ですので これは個人のお客さんを大切にすることは、団体のお客さんも大切にできるということに、今更ながら、気が付いたというのが本当のところ」

 こちらが、構想から約2カ月かけて先月11日にオープンした「室内のわさび田」。溶岩を装飾した3段の水槽に、本わさびが栽培されています。わさびは水温が重要です。12~13℃に水温を保ちつつ、水道水のカルキを抜く循環システムを導入しているそうです。わさび田を近くで見たお客さんは…。

千葉県からの観光客 :「水の音が癒されます」
山梨県からの観光客:「こんな近くで(わさび田を)見たの初めてです」
埼玉県からの観光客 :「感動しましたね こんな機会めったにないので」

 「室内のわさび田」が完成して約1カ月。想定外の事態が起こっていました。葉っぱに元気がないんです。室内なので雨や露が降らないことで 湿度が足りなく、一部の葉っぱが枯れてしまったのです。この水道循環システムを作った野田元彦さん。野田さんは ミスト装置を取り付けることを提案。 この日がお披露目です。

 山本社長の一日はウオーキングから始まります。この日課が始まったのは3年前の1月。
山本豊社長:「自分の中で マイナスの思考が強い時期があって、それがすごい嫌でとにかく自分変えたいという形で始めたのがこのウォーキングです」
 ウオーキングを始めた3年前は 会社経営がうまくいっていない時で、「自分のことが大嫌いだった」。もともと飽きっぽい性格で「1000日間 1日も休まずに続けられれば、きっと1000日目には何かが大きく変わっているはず」と、だと雨の日も風の日も、山本社長は毎朝ウオーキングを続けました。
Q,1000日ウォーキングを始めて気が付いたことは?
山本豊社長:「富士山がこんなにもきれいなんだ! 富士山を朝見て涙したことは、10回や20回じゃないですね」
 山本社長は 毎朝ウオーキングをした証として、インスタグラムに画像をアップしているんです。遊び心あふれる画像数々。この撮影、実はスマホのセルフタイマーを使って上手に撮影をしているんです。
 1000日ウォーキングも 残すところあと2日。達成したら 次の日からどうしますか?
山本豊社長:「自分を変えようと思って始めた1000日ウオーキングなんですが、日常の生活の一部になっちゃって、これやめたら気持ち悪いんじゃないかな。数にこだわらずとにかく続けていこう!いうのが今の思いです」
 この日 山本社長は またしても 社長室で何かを考えていた。
山本豊社長:「もう頭の中にアイデアが次から次へわいて。それに体が追いついていかない。これから(山本食品)新しいことがどんどんどんどん出てきますよ!とにかく『わさびをもっと。おもしろく』。乞うご期待ください!」
                   (10月10日放送)