藤枝明誠、「攻撃サッカー」に加えフィジカル、守備力で静岡県大会を制覇! 目指すは静岡学園に続く全国優勝

<全国高校サッカー静岡大会:藤枝明誠3-0東海大静岡翔洋>◇決勝◇14日◇袋井市・エコパスタジアム

 4年ぶり3回目の頂点に立った藤枝明誠が、前年度の静岡学園に続いて2年連続全国優勝を目指す。決勝トーナメント1回戦は聖隷クリストファーに、準々決勝では磐田東にPK勝ちと苦しみながら、準決勝では静岡学園に3-0。決勝でも同じスコアで、東海大静岡翔洋に完勝した。
 元浦和レッズFW松本安司の指導で、小気味よくつなぐ攻撃的スタイルを築いてきた。部員220人以上が競う環境でフィジカルも強化。球際はどのチームよりも強く、セットプレーでの決定力も見せつけた。そして、準決勝で披露した堅固な守備は決勝でも際立ち、松本監督も「この試合については、運動量と守備の堅さが勝因でした」と振り返った。
 前半、思うようなサッカーができず、テクニック重視の東海大静岡翔洋に、攻め込まれる場面もあった。藤枝東、常葉大橘、浜松開誠館を破ってきた相手の勢いも感じながら、松本監督はハーフタイムに「お前たちにプライドはあるのか。情けない」と叱咤。右足を負傷していたFW高野雷我(3年)をはじめ、コンディションが万全ではない選手もいたが、「苦しくなったら、スタンドを見ろ。(試合に出られず)もっと、苦しい仲間たちがそこにいるんだ」と伝えていた。この言葉に鼓舞された選手たちは後半、前線からのプレスと運動量でペースをつかみ、3得点につなげた。
 試合終了の笛が鳴った瞬間、派手なガッツポーズで雄叫び上げた松本監督は、声を上ずらせながら言った。「苦しい大会でした。選手たちが一生懸命にやってくれ、感動しました」。そして、新型コロナウイルス感染拡大の中、大会開催に尽力した関係者への感謝を口にした。

画像: 静岡県大会を制した藤枝明誠

静岡県大会を制した藤枝明誠

松本監督「まずは、初戦突破を」

 自身は三重県立四日市中央工のOBだが、「サッカーどころ静岡」への思いは強い。同校の練習場には「サッカー王国静岡 復活」の横断幕を掲げ、この日はスタンドに持ち込んだ。常日頃から「1回や2回、全国に出ても名門とは言わない」と口にしているというが、この優勝で全国選手権(12月31日開幕)3回目出場の切符を手にした。静岡県勢で3回以上の出場は、藤枝東(25回)静岡学園(12回)清水商(12回)清水東(6回)で、5校目になった。
 だが、他の4校はいずれも全国王者になっている。前年度は静岡学園が24年ぶり2回目の優勝を飾っており、松本監督は「注目はされると思いますが、我々は4年前に初戦で負けているので、まずはそこをしっかりと突破したいです」。一方で、準決勝の2得点に続き、この日、先制ゴールを決めたMF賀茂大紀(3年)は「静岡代表として優勝を狙いたいです」と言葉に力を込めた。藤枝明誠が真の名門校になるために、チームは残り1カ月半で最高の準備を目指す。【柳田通斉】

画像: 藤枝明誠の松本安司監督

藤枝明誠の松本安司監督

東海大静岡翔洋「33年ぶり」はならず

〇…決勝で敗れた東海大静岡翔洋は、東海大一時代の1987年以来33年ぶり、東海大工との統合で東海大翔洋(2015年から東海大静岡翔洋)となった99年以降では、初の優勝に届かなかった。試合後、太田恒治監督は「藤枝明誠さんに、自分たちのサッカーをやらせてもらえなかった。想像以上にフィジカルが強く、運動力も落ちなかった」。シュートは前半の1本だけで、完敗を認めざるを得なかった。

画像: 準優勝の東海大静岡翔洋

準優勝の東海大静岡翔洋