川勝知事が中部地方の経済界にリニアめぐる静岡県の立場を説明 「どうすればウィンウィンの関係に…」

 24日、静岡県の川勝平太知事は、静岡市で開かれた中部経済連合会との会合に出席。中部地方の経済人を前に、リニア問題をめぐる静岡県の立場を説明しました。

画像: 静岡県 川勝平太知事 24日

静岡県 川勝平太知事 24日

静岡県 川勝平太知事:「南アルプスは命の水、南アルプス自体が人類の共有財産と言われるユネスコエコパークです。したがって、これを守らなくてはならないと。いかに、リニアと両立させるかということでいろいろ働きかけている」

 愛知や岐阜、三重、長野の経済界には、リニアの早期開業を求める声が強いですが…。

川勝知事:「どういうふうにすれば中経連として、静岡県の立場もご理解賜った上で、ウィンウィンの関係になれるのか、是非知恵を貸していただけたらと思う」

静岡県副知事が大井川流域住民に現状を説明

画像: 静岡県 難波喬司副知事

静岡県 難波喬司副知事

 一方、難波副知事は、今月18日、大井川流域の島田市・藤枝市・焼津市の自治会長らにリニア問題の現状を説明しました。国の有識者会議の座長が、「トンネル掘削による大井川中下流域の地下水量への影響は極めて小さい」とコメントを発表したことについては…。

静岡県 難波副知事(18日):「あくまで座長の認識であり、委員の皆さんが『そういうことじゃないか』と言うふうに思った段階、まだその段階で、最終的な答えは出てきていない」

 また、国の有識者会議が結論を出しても、それがそのまま県の見解になるわけではないと強調しました。

難波副知事(18日):「そのまま受け入れるわけではない。(県が)説明して、皆様がなるほどということになればいいが、それではダメということになれば、差し戻すことになる」

 参加者からは…。

出席者:「流出する水だけではなくて、地下水も相当汚染されると思う。地下水に対する重金属の影響はどれほど評価しているのか?」

難波副知事:「トンネルを掘ると直接、重金属を含んだ水が入ってくる可能性がある。それをそのまま戻したらどういうことが起きるのかというと、それは重金属汚染が起きる可能性がある」

難波副知事の説明を聞いた自治会長たちは…。

島田市自治会連合会 山田修兵会長:「難波副知事から話を聞いて、現状そんなに変わっていないなと」

藤枝市自治会連合会 小林一男会長:「やはり末代に影響のないような対策をして頂くのが先決で、それを具体化して安心感を持ってもらえるような状況を作ってもらいたい」

JR東海社長 有識者会議で結論が出れば、地元に説明の意向

画像: JR東海社長 有識者会議で結論が出れば、地元に説明の意向

 同じ日、JR東海の金子社長も、JR東海として直接、流域の住民に説明したいと語りました。現状では住民への説明を県から止められている状態です。

Q 流域住民に説明できるなら今でもそうしたい意向はある?

JR東海 金子慎社長(18日):「そうですね。有識者会議がひとつ整理できた段階が望ましいと思う。これが(国の有識者会議で)検討した上の結論だという形で話をさせていただく機会があれば、それが望ましい」

川勝知事は安倍前総理と面会

画像: 川勝知事は安倍前総理と面会

 そして、川勝知事。こちらも奇しくも同じ日に開かれた会見で、リニア問題をめぐり、ある人物に会ったことを明かしました。

川勝知事(18日):「安倍晋三前総理と都内で会談して、リニア建設についてはJR東海が納得できる対策を示しておらず、地元に強い不安・不信があること。これを率直に伝え資料も示した」

今月13日に都内で安倍前総理と会談したといいます。

Q.知事は自身の持論である甲府までの先行開業について話したと思うが?

川勝知事:「地図も見せて、ほぉーという目でご覧になっていた。非常にまじめにお聞きいただいて、資料について今 考えをめぐらせているのではないか」

 なぜ、現職の菅総理ではなく、安倍前総理なのでしょうか?

川勝知事:「なかなか現役の時代の安倍総理にお目にかかるのは厳しい状態だったが、(リニアに)一番コミットされた総理なので、何しろ3兆円の国税を財政投融資として投入したということで、一番中心人物であると初めから思っていた」

 ただ、知事の説明に前総理のリアクションは薄かったようで…。

川勝知事:「これは民間の事業なので、あまりご存じなかったという印象はある」

                11月24日放送