【新型コロナ】「直に先生に言える安心感はすごい」 医師が自宅療養者をオンラインで健康観察 静岡市方式スタート

 2月27日、静岡市の田辺市長と地元医師会のトップ2人が揃って会見を開きました。

画像1: 【新型コロナ】「直に先生に言える安心感はすごい」 医師が自宅療養者をオンラインで健康観察 静岡市方式スタート

  静岡市 田辺信宏市長:「命を守る取り組みとして、今回このような施策をスタートするという発表を正式にする。『新型コロナ在宅ドクターサポート事業』という名前を付けた」

 発表されたのは、新型コロナに感染して自宅で療養する患者を対象にした「医師による在宅サポート事業」の開始について。希望する患者に対して、医師が原則対面での初診を行った後、発症から10日間、毎日電話やオンラインで健康観察を行う静岡市独自の取り組みです。

静岡市静岡医師会 福地康紀会長:「組織として対応していくことで、多くの先生方に事業に参画してもらえる。医師会と行政と協力してやることに意義がある」

静岡市清水医師会 望月篤会長:「開業医も参加しやすいようなサポートで得意分野だと思う」

 実はこれ、静岡市内のある医師の取り組みを制度化したものです。

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静岡厚生病院小児科 田中敏博部長:「例えば鼻水とか頭痛とかは大丈夫? そんなにはない、わかりました。食欲とかは大丈夫ですか? 問題ない、それは良いことですね」

 静岡厚生病院の田中敏博医師。去年10月、新型コロナに感染して自宅療養している子どもへの電話やオンラインでの診察を始めました。

静岡厚生病院小児科 田中敏博部長:「静岡市の枠組みの中で、保健所と連携を取りながらやっていることなので、静岡市方式ということで、勝手に名前をつけてやっている。子どもがコロナにかかったらどうやって不安を解消させるか、ということを話し合ったのがきっかけ」

 今回、この取り組みの対象を静岡市内のすべての自宅療養者に拡大することになったのです。

感染した児童の母親は…

画像: 感染した児童の母親は…

静岡市 田辺信宏市長:「今回はこの対象をお子さんだけでなく、成人の方、自宅療養しているすべての市民に広げていこうという試み。制度として確立して、これからの感染拡大防止に努めたい」

 静岡市のこれまでの感染者のうち、4割ほどが入院などではなく、自宅療養だったといいます。

静岡市 田辺信宏市長:「1月末日までの静岡市内の感染者1300人余りいるが、その中の550人が自宅療養者、つまり全体の42%が自宅療養。自宅療養している方々が、専門家の医者やかかりつけの医者とコミュニケーションして、少しでも不安な気持ちを安心してもらうというのが今回の施策のポイント」

 実際に田中医師の診察を受けた子どもの母親に話を聞くことができました。

診察を受けた小学生の親:「コロナと出た時点で不安になってしまったので、心配なことがあったら連絡くれてもいいと言ってくださっていたのがすごく安心した。保健所も連絡をくれるが、やはり先生と直に、不安だったら先生に言えるという安心感はすごい」

 事業は市が医師会に委託する形で、3月1日から運用が始まり、希望した患者は無料で利用できます。そして、この取り組みのもう一つの大きな可能性がー。

静岡市清水医師会 望月篤会長:「将来的にだが、濃厚接触者についても医師会は『診ない』とは言わないので、そこもやっていければ」

静岡市保健所 加治正行所長:「保健所の業務の大きな軽減につながるので、保健所としては大変ありがたい」

 静岡市では、感染者が急増していた1月14日に患者や濃厚接触者に対する保健所の健康観察の電話が過去最多の745件にのぼったといいます。静岡市方式の導入で、保健所の職員が疫学調査に専念することが可能になるのです。市によりますと、こうした取り組みは全国的にも珍しく、今後、市内約160の医療機関に協力を呼びかけていくということです。

静岡市 田辺信宏市長:「いつリバウンドがくるか分からない。そういう意味ではぜひ官民連携で、一番ボリュームの厚い自宅で療養して、不安な気持ちを持つ皆さんに対するフォローアップをしてもらえればうれしい。これが一つの先行事例になればうれしい」

    (3月1日放送)