「静岡県側に水を戻す」というJR東海の提案に…静岡県副知事は「評価できる」 リニア工事で

静岡県 難波喬司副知事(静岡県庁 28日):「今回初めて、こういう形で影響を回避・低減する方法を提案してきた。大変驚いたというか、評価できる」

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 静岡県の難波喬司副知事が、珍しく「大変驚いた」と評価したのは、リニア問題をめぐるJR東海の提案です。

JR東海が山梨県から静岡県に水を戻す案を提示

画像1: JR東海が山梨県から静岡県に水を戻す案を提示

 提案があったのは、28日行われた国の有識者会議。山梨県境付近のトンネル工事で、湧水が静岡県外に流出する問題が議論されました。
 その中でJR東海が、トンネル本体工事の前に掘る「先進坑」が貫通したあと、県外に流出する湧水と同じ量の水を、ポンプアップするなどして山梨県側から静岡県側に戻す案を初めて示したのです。

画像2: JR東海が山梨県から静岡県に水を戻す案を提示

この提案に委員からは…。

丸井委員:「県外流出分をここで補うのはいい」

大東委員:「時間差の問題。工事中は山梨県側に流れるが、工事完了後は山梨県側に流れたものを静岡県側に戻すということか」

 これまでJR東海は、工事期間の10カ月は静岡県内から山梨県側に300万から500万トンの湧水が流出すると公表していました。

 会議終了後、福岡捷二座長は、次のような「座長コメント」を発表しました。

福岡捷二座長:「県外流出量と同量の山梨県内のトンネル湧水を時間をかけて大井川に戻す方策が提示され、選択肢としてあり得ることを有識者会議として確認した」

難波喬司副知事 (静岡県庁 28日):「今までは、山梨県側に水が流れても影響ないという説明を続けてきた。ところが、今回影響を回避する、あるいは低減する方法を出してきた。考え方の大転換をしたので、それは評価したい」

静岡県副知事が「同じ土俵に乗っている」

 難波副知事は、これでJR東海と同じ土俵で議論できるかもしれないと話しました。

難波喬司副知事(静岡県庁 28日):「影響はあるということを前提に、どう対処するべきかというのが県の主張。それであれば話が始められる。そういう意味では同じ土俵にのっているので、あとは対話をしっかりすれば進めていける」

JR東海社長「流域の理解を得た上で着手」

画像: JR東海社長「流域の理解を得た上で着手」

 また、先週、JR東海の金子社長も流域市町が求めていた次の言葉を口にしました。

JR東海 金子慎社長:「当社は流域の皆様の理解を得た上で、トンネル掘削工事に着手する考えです。逆に言えば、理解を得られないと工事を進めることはできないという認識でいる」

 これで膠着状態だったリニア問題は、ようやく進展を見せるのでしょうか。

しかし…。

静岡県 川勝平太知事(2月24日):「中間とりまとめは、基本的なデータに基づかない勝手なとりまとめ。私は流域住民の人たちの代弁者のひとりだから、どうしても聞いてもらえないなら率先して、しかるべきところに参り話をするという決意を持っている」

 有識者会議が水問題の議論の中間まとめを行うことに、川勝知事が待ったをかけているんです。

中間まとめ素案に副知事「これでは県民の理解得られない」

 28日の会議では、事務局をつとめる国交省から中間まとめの素案が示されました。  素案はJRの主張通り、「対策をとれば中下流域の水量は維持される」としています。

難波喬司副知事 (おととい) 「はっきり言うと、これでは我々も県民の皆さんも理解が得らえない。一番よくないまとめ方」

               (3月2日放送)