県議会議長が県知事に「注意」　年末年始の帰省問われ、自ら答弁しなかった件で　静岡県

静岡県議会　山田誠議長：「知事におかれましては、今後これらの申し入れを真摯に受け止め、誠実に対応していただくよう、改めてお願いをいたします。知事から発言があればお願いします」

静岡県　川勝平太知事：「お許しを頂き、一言申し上げます。この度、本会議での答弁の関係につきまして、ご心配をおかけしました、県民に対しましては、心からおわび申し上げます。議場では建設的な政策論に徹し、県民にとって最善な結論を導き出せるよう、引き続き努力してまいります」

山田議長：「それでは知事、今のことを肝に銘じて、今後そのようにお願いします」

問題になったのは…

　なぜ知事は注意されたのか。問題となったのは、2日のこのやり取りです。

坪内秀樹県議：「県民に対し、年末年始の不要不急の帰省を控えるよう呼びかけていたにも関わらず、お構いなしに軽井沢の自宅へ帰省されたのが最たるもの。12月26日から1月3日までの9日間も、現場である静岡県を離れ、放棄したとも取られることをした。危機管理上の観点も踏まえ、知事の考えを伺います」

　この質問に川勝知事は答弁に立たず、難波副知事が答えました。

知事本人への質問は知事が答えるよう申し入れ

　3日、自民所属の竹内良訓議運委員長が、知事本人への質問は知事が答えることなどを申し入れました。

竹内議運委員長（自民改革会議）：「今後どうされますか。議会の答弁」

川勝知事：「よくわかりました。承りました」

竹内委員長：「承るということは、どうされるということですか」

川勝知事：「再質問がなかったので、私自身が応える機会を失ったということでございます」

竹内委員長：「そういう屁理屈を並べるのは、県民に対して失礼だと思いますよ」

川勝知事：「再質問、再々質問（の時間を）、質問者持ってますから、答えが十分でなければ、お問いになればよかった」

知事と自民党とのさや当ての背景には知事選

　このような知事と自民党とのさや当ての背景には、6月の知事選で対抗馬擁立を目指す自民党が、対決姿勢を強めていることもあります。

　4日の論戦でも、自民党が川勝知事は問題発言を繰り返していると追及しました。

渡瀬典幸県議：「リニア中央新幹線について、凍結発言を行い、流域市町に対し困惑を巻き起こしたり、また座長コメントに対し、奴隷という言葉を発しました。公の長としての口から奴隷という言葉はまったくもって発してはならないと思います」

川勝知事（先月9日）：「事務官の『奴隷』となるような座長というのは」

渡瀬県議：「議場でいくらお詫びをしても、何回も繰り返すようでは、議場での答弁はどうでもいいということになります。誤りがあった発言は公の場で訂正する、それを知事に促す、あるいは行動について諫言するのが側近の役割ではないでしょうか」

　これには知事側近の篠原知事戦略監が答えました。

篠原清志知事戦略監：「知事の発言に対する憂いについてお答えします。知事は『ふじのくに公務員の心得100カ条』を絶えず示し、自らの誤った行動については躊躇せず諫言するよう職員に対し求めています。知事を補佐する私どもとしては、今後とも改めるべきと考えるときはその都度、進言してまいります」

自民県議「（知事発言で）ネット上に誹謗中傷相次いでいる」

　県議会では、さらに川勝知事のこれまでの言動をめぐり、論戦が続きました。質問に立った自民改革会議の天野一県議は、リニア問題などを念頭に、川勝県政3期12年の間の数々の発言が静岡県のブランド低下を招いているのではないかと批判しました。

自民改革会議　天野一県議：「知事は常に『もの言う知事』を標ぼうしていらっしゃいます。ごねる知事、ごねる静岡県の印象を全国民に植え付け、インターネット上で静岡県民を誹謗中傷する書き込みが相次いでいます。このような現状について知事の所感をおうかがいします」

知事「公益のためには権力にへつらわない。はっきりものを言う」

これに対して川勝知事は。

川勝知事：「公益のためになると確信したときは、私よりも強い権限や高い権力、そういうものに対してへつらわない。むしろ、はっきりものを言う。勇気を持たないとそれはできませんが。それを自らの姿勢として貫いていることから、ときに義憤にかられ、発言内容が物議をかもし、県議会の皆様にもご心配をおかけした。これは反省しております」

　県議会2月定例会は、4日で一般質問が終わり、今月17日に閉会します。