静岡・川勝知事は「ルート変更要求も」 JR「変更あり得ない」 ネット上では誹謗中傷…「リニア終わった」「静岡県民のせい」

 JR東海が23日、名古屋市で株主総会を開きました。総会では、静岡県内での工事が着工できず、2027年の開業が困難になっているリニア新幹線について、株主から「ルート変更はあり得るのか」と質問が出ました。これに対し、宇野護副社長は「変更はあり得ない」と回答しました。

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JR東海の株主たちは…。

JR東海の株主
「静岡県知事選挙で川勝氏が当選して、リニア事業が停滞しないか懸念している」

「(リニア工事を)やめるにやめられない状況もあると思うが、今の世の中の状況を見据えて、柔軟に対応して中止や計画見直しをしていかなければいけない」

ネットでは誹謗中傷も相次ぐ

 一方、知事選のあった20日から、ネット上では静岡県民を誹謗中傷する投稿が相次ぎ、ツイッターでは、「静岡県民」というワードが一時トレンド入りしました。

画像: ネットでは誹謗中傷も相次ぐ

「リニア終わった」
「静岡県民のせい」
「リニア妨害は静岡県民の総意と判断した」

 こうしたつぶやきに、「リニア自体に反対ではない」「大井川の水を守ってほしいと言っているだけ」などと反論する投稿もありました。

愛知県の大村知事は「特にコメントはありません」

リニア問題を巡り、全国的に注目された静岡県の知事選。川勝平太知事の4選という結果に、リニア新幹線の早期開通を求めているこの人は…。

愛知県 大村秀章知事
「特にコメントはありません。これは選挙ですから、特定のテーマというよりも、論点争点は神羅万象、総合的に静岡県民のみなさんが投票された結果」

 そのうえで、大井川の水問題の解決については…。

大村知事
「それをやる責任者は国、国土交通省でありますよね。(リニア新幹線は)国策事業、大井川は国直轄管理の1級河川ですから、両方の責任を持つ国土交通省が、納得のいく解決方策をしっかりと生み出していただきたい」

国土交通省は…

 その国土交通省は…。

赤羽国交大臣
「地方選挙について政府としてコメントは差し控えさせていただきます」

Q.岩井氏は国土交通省出身で、行政として中立性が損なわれたのでは?
A.「岩井さんは確かに前職は国土交通副大臣でしたが、それを辞して辞められたわけですし、国土交通省が推薦を出したわけではありませんし、私も応援に入っていません。そうしたことで、国土交通省が静岡県知事選において、行政の中立性を損ねたということは全くあたらないと思っています」

「命の水を守る」…選挙戦で訴え続けた「リニア問題」

 大村知事は「争点は森羅万象」と話していましたが、今回の選挙戦で川勝知事が「最大の争点だ」として、一貫して訴え続けたのは、「リニア問題」でした。

画像: 「命の水を守る」…選挙戦で訴え続けた「リニア問題」

川勝氏演説(静岡・葵区 3日)
「命の水を守るために、私たちは立ち上がっている」

川勝氏演説(静岡・葵区)
「命の水の問題は党派を超えて普遍的な問題。地球的な問題。ましてや、ここ(静岡市)とは直接関係ないからといって、62万人の人の命の水がかかっているのを、黙って静岡県民は放っておけますか? 絶対にできない」

当選後初めての定例会見でも…

 22日に知事選後初めての定例会見に臨んだ川勝知事は、今回の知事選で示された「民意」を次のように語りました。

川勝知事(22日)
「県民が命の水の問題だけは絶対に譲らないでくれと強く訴えられるのを、体中で感じた。この件について負託されているので、どのように守るか」

 命の水をどのようにして守るのか。川勝知事は、4期目の4年間に道筋をつけると明言しました。

画像1: 当選後初めての定例会見でも…

川勝知事
「『これは受け入れられない』と地元の人たちの意見がまとまれば、これに対して私は行動する。そんな遠い将来にはなりえない、4年かかるはずがないと思っている」

 そして具体的な道筋を描くにあたり、この選挙でひとつの収穫があったと語りました。

川勝知事
「驚天動地の発言。ですから極めて大きいですよ、ルート変更や工事中止。新しい事態として出てきたのは選挙期間における収穫だったと思います。思いもかけず、新たな選択肢が外からふってきた」

画像2: 当選後初めての定例会見でも…

 今後のポイントになると知事が強調したのが、自民党の推薦した岩井茂樹氏が選挙中にした「ルート変更や工事中止も選択肢」という発言です。

自民と共闘して「ルート変更、工事中止」を申し入れる!?

川勝知事(22日)
「(ルート変更や工事中止を)何度も繰り返し言われた。いよいよ選挙になり、自民党の選対委員長がお越しになられて励まされ、そして閣僚経験者、現職閣僚が入り、ワクチン担当の大臣、あるいは元総理大臣まで励ましの言葉を出されて、次の知事になってほしいと言われたわけだが、私はこれは自民党全体の方針のひとつと受け止めた。さもなければ公約違反になりますから。地元の意向が明確に示されるとなったら、自民党と協力して、JR東海に今回候補者が言われた内容をぶつけるという段取りになるかと。その可能性は極めて高いと思っている」

 川勝知事は、このままの方向性で有識者会議の議論が進めば、「ルート変更か工事中止をJR東海に求める可能性が極めて高い」としたのです。

川勝知事
「(地元が)『JR東海にルートの変更、工事の中止を』と言われれば、私も目下のところ、そういう可能性が非常に高いと思っておりまして」

画像: 自民と共闘して「ルート変更、工事中止」を申し入れる!?

Q.くどいが、もう一度確認。ルート変更や工事中止をJR東海に申し入れる意向がある?

A.「これは私が言ったことではないので、言った方の意向を最大限尊重する。なぜなら私がここに立っているが、そうでない方が立つ可能性が極めて高かった。従来の自民党の公約、リニアの早期実現2027年に名古屋まで開通させる、この公約に対して、ルート変更や工事中止なんていわば禁句に近かった。その方たちが言われているので」

Q.相手候補がどう言ったとしても、今当選して、リニアの水問題に責任を持つ立場でいるのが川勝知事。それを前提として、岩井候補が何を言ったとしても、静岡県知事としてルート変更や工事中止の選択肢はあるのか? これまでの川勝知事にはなかったという認識なので、変わったのか?

A.「いえいえ、一時、今は立ち止まって考えるべきだいうのが私のスタンスで、現状が明らかになれば自ずとどういう行動をとるか、明らかになるだろうというスタンスだったが、今回の17日間、360万人の人たちを巻き込んで、また県外の人たちの関心を集めて、そこで大きく報道されたのが岩井候補の発言だった。全ての自民党の偉い方たちがこの人を応援した以上、私はこの方たちが言わせたともいうくらいだが、分からないが確かめないといけないが、十分にこれはそういう形のアクションは一緒に起こしうるということであれば、同調したい」

 川勝知事が描く、リニア問題解決の道筋とは、「自民党と共闘して、ルート変更か工事中止を要求する」…ということなのでしょうか。