土石流災害1カ月…約300人が避難生活 「家に帰りたい。自分の家の方が私は心が休まる」

 犠牲者22人、いまだ5人の行方が分からない静岡県熱海市の土石流災害から1カ月がたちました。しかし、いまだ避難生活を続けている人も少なくありません。

画像: 土石流災害1カ月…約300人が避難生活 「家に帰りたい。自分の家の方が私は心が休まる」

避難生活を続ける男性
「だいぶ片付いていますね。きれいになっている。」

 被災現場を見て、少し安堵の表情を浮かべた75歳の男性。土石流が発生した時、99歳になる母親を背負って逃げました。

避難生活を続ける男性(7月12日)
「靴はいている暇がないから裸足だよね。裸足でとにかく背負って滑りながら(逃げた)。でも怖いとは思わない、必死だから」

 発災直後から避難生活を続け、先月12日にようやく一時帰宅しましたが…。

避難生活を続ける男性(7月12日)
「これが僕の家の前です。下が土石流のあった場所です。ここから一気に上から土石流が流れて、地獄の光景でした。前の家は2軒とも流されてなくなりました」

 男性の家は少し高い場所に建っていて、なんとか無事でしたが、家の周辺は完全に崩壊し、変わり果てた光景が広がっていました。今回の土石流では住宅など130軒あまりが被害を受けました。自分は無事だった一方で、多くの犠牲者が出ている現実に強い葛藤を抱えているといいます。

避難生活を続ける男性 
「申し訳ない気持ちですよね、自分の家だけ残っちゃって」

いまだ続く避難生活

画像: いまだ続く避難生活

 家は無事だったもののまだ帰ることができず、1カ月間避難生活を続けています。

避難生活を続ける男性
「1回、自分の家を見たい。でも立ち入り禁止で入れない。私はやっぱり家に帰りたい。立派だけどホテルは。食べ物も良いし、整っているが、でもやっぱり古い家で汚い家だけど、なんか自分の家の方が私は心が休まる」

 一時、最大で582人が避難しましたが、現在も宿泊施設でおよそ300人が避難生活を送っています。仮設住宅への入居受け付けも行われていますが、被災者の生活再建はまだ始まったばかりです。