【新型コロナ】宣言延長で農家&コメ店も打撃

緊急事態宣言の延長から、きょうで5日目。長引く自粛生活の影響は今、私たちの主食にまで広がっています。

画像: 【新型コロナ】宣言延長で農家&コメ店も打撃

静岡市でコメ農家を営む青木嘉孝さん(61)。短大卒業後、40年以上静岡市でコメを作り続けてきました。

コメ農家 青木嘉孝さん:「これ「きぬむすめ」っていう品種です」
Q今年の出来は?
コメ農家 青木嘉孝さん:「このままだったら、去年悪かったから去年よりは良くて、平年並みにいくんじゃないか」

青木さんの新米は、あと2週間ほどで収穫。ただここに来て、今までに経験したことがない打撃を受けているといいます。

コメ農家 青木嘉孝さん:「うちもレストランとか商売屋に(コメを)卸しているが、緊急事態宣言で店が休みなので、当然(注文は)ゼロです。そういうところは大量に一括して買ってくれるが、それがないのは痛い」

緊急事態宣言によって休業や時短営業を行う飲食店が増加したことで、本来であれば店に納品できるコメが売れない状況に。青木さんは一般家庭へ販売する分とは別に、レストランや総菜店など業務用での取引も行っていました。しかし、先月の緊急事態宣言以降、取引はほとんどなくなり、現在の販売実績は通常時に比べ、25%ほど低下しているといいます。

コメ農家 青木嘉孝さん:「レストランや場合によって居酒屋も困っているというが、そこへ物を出している生産者も困っている、普通じゃないので」

【コメの取引価格の低下】

画像: 【コメの取引価格の低下】

また、こうした状況にさらに追い打ちをかけているのが、コメの取引価格の低下です。農林水産省が発表しているデータによると、7月時点の速報値で国内でコメの生産上位3県である、新潟、北海道、秋田県について、コシヒカリやあきたこまちなど、主要な品種の取引価格は、新型コロナが広がり始めた去年から減少し、今年は1000円~2000円ほど下落しました。背景にあるのは、全国的なコメ需要の低下。
コロナ禍で外食産業が低迷し業務用のコメの消費がへったことで、各店舗などに在庫が余っている状況となり、需給バランスが崩れているのです。JA静岡経済連によると、県内産のコメも現在、同様の傾向が起きていて、消費と価格が年々下落していると言います。

コメ農家 青木嘉孝さん:「飲食店から注文が無ければ、コメに限らず農家全体、野菜を作っている方も、肉や卵を作っている方も皆困っていると思う、(状況が)普通じゃないので。まさかこんなに長く続くと思わなかったから、一時我慢してとにかくコロナを何とかしようと思ったが、ちょっと長くて大変」

【米穀店にも影響が】

打撃を受けているのは農家だけではありません。静岡市内にあるこちらの米穀店では…。

お米のみうら 三浦寛 代表:「常温で置いておいたものが少し痛んじゃっている。(在庫の)回転が悪くなっちゃったものだから、常温で置いた期間が長いと、どうしてもカビてしまったり…。精米すればそんなにひどい状況ではないが、できることならいい状態で精米したい」

機械によって綺麗に精米されるため品質に問題はありませんが、それでも商品の回転率悪化により、一部の在庫にこうした影響が出ていると言います。

お米のみうら 三浦寛 代表:「お寿司屋さんとか、(コメを)こだわりでやっているところもあるので、そういうところ専用に特別なコメを仕入れてたりするが、そういうのが出なくなってしまうと、どうしてもまるっきり在庫になってしまう」

こちらの店では、一般客と飲食店などへの販売の割合がちょうど半分ずつでしたが、8月の宣言以降、業務用の取引が4割近くなくなりました。中には月に100㎏近く注文していた飲食店からの注文もなくなり、売上減少に直結しているといいます。
コメの需要回復が見込めないコロナ禍はいつまで続くのか。店側は宣言解除後の販売にも不安を感じています。

お米のみうら 三浦寛 代表:「緊急事態宣言が解除されたからといって、すぐにお得意様、お客様がもとの通りに来てくださるというのは考えにくいものなので、回復するまでには少し時間がかかるんじゃないか、在庫もまだまだ負担が重いんじゃないかと思っている。黙っていても仕方ないので、もっと違う売り方や売り先をこれから自分で考えていかなければいけないなと考えている」