【特集:後編】阪神・淡路大震災から27年…「経験していない震災でも、伝えられる」静岡県内の高校生がつなぐ防災意識

阪神淡路大震災から27年の特集、後編です。
阪神から27年、そして東日本大震災からも10年が経ちました。震災の風化、防災意識の低下が懸念される中、県内の高校生が震災の伝え手になろうとしています。

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【特集:後編】阪神・淡路大震災から27年…「経験していない震災でも、伝えられる」静岡県内の高校生がつなぐ防災意識

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頼れるのは「住民の力」

阪神淡路大震災では、24万戸もの住宅が倒壊し、数万人が生き埋めになったと推計されています。このうち自衛隊や消防、警察などが救出したのは2%に過ぎず、98%は地域の協力で助け出されたことが分かっています。

常葉大
重川希志依教授:「ご遺体の収容ではなく、生きている人を助けたのですから、それを見ても分かるように圧倒的に私たち住民の持つ力の方が大きい」

画像: 頼れるのは「住民の力」

「防災教育」の大切さ

27年の時の流れ、当時を知る人が減り、風化が懸念される中、神戸市では若い世代が伝承活動に取り組んでいます。

背景にあるのは、小学校の頃から震災について学ぶ「防災教育」の効果です。

常葉大
重川希志依教授:「一番大きな解決の糸口は、子どものうちにしっかりと教育をしておくこと。それがあると大人になっても忘れない。子どもは吸収力もあるし理解力もあるし災害時には大人よりも立派な活動をしてくれます」

画像: 「防災教育」の大切さ

「防災研究会」メンバーは中高生

静岡県内でも積極的に取り組む若い力が。沼津市にある加藤学園暁秀中学高校の防災研究会。3年前に生徒が自発的に作りました。現在は中高合わせて16人のメンバーが校内の防災倉庫の管理をしたり、防災意識を高める動画を制作したりしています。

 部長の関佳那子さん。“ある目標”を掲げています。

防災研究会部長
関佳那子さん:「まず第一に先生の防災意識を上げて、そこから自分で判断できる生徒が多ければ多いほどその分命は助かるので」

「先生の防災意識を上げる」この目標に顧問の先生は・・・

加藤学園暁秀中学高校
大場潤先生:「正直言うと自分もこの委員会の顧問になって勉強したり、見学に行ったりしたので。本当に自分らの責任が大事だと心掛けておきます。啓蒙していくことだよね、啓蒙していくことが大事」

画像: 「防災研究会」メンバーは中高生

「東日本大震災」被災地から学んだこと

関さんは、去年12月、副部長の勝又史乙織さんと共に県が実施している「防災人材育成事業」の一環で東日本大震災の被災地を訪れました。二泊三日の日程で、震災遺構を見たり、被災者の家に泊まって話を聞いたりしました。

 この日、2人は、防災研究会のメンバーに研修内容を報告しました。勝又さんは、当時中学2年だった女性から直接聞いた「釜石の奇跡」について。

防災研究会副部長
勝又史乙織さん:「ゴゴゴゴってものすごい音で、みんな振り返ったら黒い塊が押しよせていて。中学生がその音を聞いて早く逃げなきゃって坂をダッシュで駆け上がって中学生がいたおかげで足が速いから流れを作ることが出来て、それで早く逃げられて全員助かった」

 一方の関さんは、児童74人、教職員10人が犠牲になった宮城県石巻市の大川小学校について。

防災研究会部長
関佳那子さん:「お話してくれたお子さんを亡くされた方はこの橋の方に避難しようとしたところに波が来てお子さんが亡くなったが、この山の斜面奥の方まで続いていたがそこに生き埋め状態になってしまって、救助する時には亡くなっていてその方はご自身の手でお子さんを山の土の中から出したと言っていた・・・・沈黙」

画像: 「東日本大震災」被災地から学んだこと

若い防災リーダーが広める防災意識

「見て、聞いて、学んで、自分の言葉で」

「経験していない震災でも、伝えられる」

 その思いは届いています。

山田実琴さん(高2):「逃げろと言われても何となく傾斜があるからこっちが山くらいしかないから、そこはみんなでもう一回周りの地図も見直さなきゃいけないと思った」

中3女子:「震度7が来たらどうなるのか考えられない。そういうことを踏まえたうえで日々自分たちで考えたり周りの人と協力して防災意識を上げていかないといけないと感じた」

防災研究会副部長
勝又史乙織さん:「私たちは実際に東北に行って話を聞いているが、そこで感じたことは伝えたいと思っていて。たくさんの人に防災意識を高めてほしい」

防災研究会部長
関佳那子さん:「防災に興味を持ってもらって、結果的にその気持ちがその人の行動につながるところまでいけたらいい」

 県内でも、若い防災リーダーの芽が花開こうとしています。

画像: 若い防災リーダーが広める防災意識