園児は寒さで震え…迫られる決断「もっと高い津波がくるのか情報がない」 東日本大震災時の保育所長が中学校で講演 静岡市

 東日本大震災の発生時、宮城県の保育所で50人以上の園児を避難させた元所長が、静岡市内の中学校で講演し、日ごろの備えの大切さを訴えました。講演会には生徒に加え、近隣の学校の教員などおよそ600人が参加。新型コロナ対策のため、各クラスにオンライン形式で配信しました。

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園児は寒さで震え…迫られる決断「もっと高い津波がくるのか情報がない」 東日本大震災時の保育所長が中学校で講演 静岡市

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閖上(ゆりあげ)保育所元所長 佐竹悦子さん:「学校に着いて人数を確認して屋上に避難しましょうか、と話をして、全員が屋上に上がった時、津波がやってきました」

 佐竹悦子さんは震災当時、宮城県名取市の海抜0メートルの地点にある閖上保育所で所長を務めていました。

 地震発生後、54人の園児を複数の車に乗せて、一人の犠牲者も出すことなく、2キロ先の小学校の屋上に避難させたのです。

 しかし…。

佐竹悦子さん:「あの時気温が10度下がりました。こどもたちはパジャマにジャンバーを着た状態。この寒さをこの子たちは耐えきることができるのか」

 屋上に残るのか。寒さをしのぐため下の部屋に降りるのか。厳しい判断だったといいます。

佐竹悦子さん:「今見ている津波が一波なのか二波目なのか、もっと高いのがくるのか情報がない。そんな中での決断が迫られました」

 結局、寒さに凍える園児を見て、下の部屋に戻ることを決断したということです。

佐竹悦子さん:「私は偶然で助かったのではない。たまたま助かったのではなくて、保育所の先生たちの努力と使命感であのこども達は助かった」

 最後に自分の命は自分で守ることや日々の防災訓練に真剣に取り組む事を伝えて講演を終えました。

講演を聞いた生徒:「今回の会だけで終わらずに、これからの日頃の生活や実際に災害が起きた時に生かしたい」

講演を聞いた生徒:「中学生なのでマニュアルや大人の指示に従って動いていたが、今回の話を聞いて、自主的に動くことが大切だと思います」