歯科医「想像を絶する上がり方」…銀歯の材料「パラジウム」高騰 アルミも高く鍋・フライパンも値上がりか ウクライナ情勢緊迫で

 ウクライナ情勢の緊迫によって、私たちの身近な生活にも影響が―

銀歯の材料 生産量の4割がロシア

北川彩アナウンサー:「虫歯の治療に使うこちらの銀歯、その材料であるパラジウムが今、高騰しています」

画像: 北川彩アナウンサー

北川彩アナウンサー

 静岡市にある「歯科クリニック」。こちらでは治療行為の3割ほどで、金属のかぶせもの“銀歯”を使用しているといいます。その材料がレアメタルの「パラジウム」。世界全体の生産量のうち、ロシアが4割を占めています。

 ウクライナ情勢の悪化で供給が滞る懸念からパラジウムの国際市場での価格が今高騰しているのです。

画像: 銀歯の材料 生産量の4割がロシア

歯科クリニック院長:「このわずか数カ月で(30gあたり)2万円というのはちょっと想像を絶する上がり方です。だいたい8万円ぐらいだった。それがこの戦争が始まって一気に10万円になった。この急騰というか、非常にびっくりしているところではあります」

 このまま価格の高騰が続けば、経営にも影響が出かねないと話します。

歯科クリニック院長:「原価が上がっているものですから、収入はかなり減っているのが現状です。金属に頼らない治療の適応を広げていくことによって、活路を見いだしていきたいと思います」

アルミニウムは13年半ぶりに最高値更新 

画像: アルミニウムは13年半ぶりに最高値更新

 私たちの生活への影響はこれだけではありません。家庭で使う調理器具にも…。

金物店:「全部で1万アイテムぐらいあるんですが、1割近くがアルミ製品です」

Q.実際のどのあたりがアルミ製品なんでしょうか?

A.「まずこの辺がフライパン類です。これもアルミです。こちらのお鍋もアルミでできています」

 富士市吉原商店街にあるこちらの金物店でも、多く扱っているのが、熱伝導率が高いアルミニウム製の鍋やフライパンです。こちらのアルミニウムの生産量はロシアが世界2位の産出国となっています。

 もともと、コロナ禍で海外の工場が稼働を停止したことによる影響で、アルミニウムの仕入れ値は上昇傾向にあり、2月下旬には13年半ぶりに最高値を更新しました。さらに、輸送費の高騰を受けて調理器具メーカーが卸値を引き上げ、この金物店では4月から10パーセントから20パーセントの値上げを決めていました。

 そこに追い打ちをかける恐れがあるのがウクライナ情勢の悪化です。

金物店:「ロシアは世界第2の産出国なので、日本への輸入が止まってしまう可能性がある。そうすれば、かなり影響を受けるのではないかという情報はメーカーから来ている。商品を値上げせざるを得ないので、我々だけではなく消費者も痛みが出てきてしまう。早く平和な世の中になればなと思っています」

 来店客からも家計への影響に戸惑いの声が聞かれます。

来店客 70代女性:「(アルミの)お鍋も大きいのから小さいのから炊飯器から何から買っています。使っています。今、なんでも値上がりしてるからね、値上げがない方がいいと思うけれども、世界情勢で仕方がないのかな、とは思う。私たちの生活もこれからどうなるんでしょう、悲しくなってきます」