過去の台風を教訓に…防災かるたや避難用風呂敷を市民が製作 風呂敷を知らない世代も「使いたい」  静岡・伊豆の国市

災害に備えているのは行政だけではありません。伊豆の国市の市民団体は、災害時に自分自身の身の安全を守る「自助」の意識を高める活動を進めています。

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過去の台風を教訓に…防災かるたや避難用風呂敷を市民が製作 風呂敷を知らない世代も「使いたい」  静岡・伊豆の国市

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2019年の台風を教訓に製作

「自助・共助・公助に加えて近助(きんじょ)もね」

伊豆の国市で行われた、防災に関する出前講座。教材に使われているのが、この「防災かるた」です。

2019年、市内の多くが冠水した台風19号をきっかけに、有志が結成した「チーム防災いずのくに」が作りました。

チーム防災いずのくに 
渡辺末美さん:
「2019年の台風19号の時に、たくさんの方が避難を体験したわけですけども、そのときに避難場所で、何を持ってったらよかったのか、避難場所が思ったのと違かったとか、そういう意見がたくさんあることがわかったので、それを集計して、防災に備えるようなことができないかなというところから、スタートしました」

かるたには、その時の教訓を生かした知識がいっぱいです。

「レンジ・お湯、あると思うな避難先」
「配布飲料もらうとき、水筒あればわけあえる」
「上履きやスリッパ持って避難しよう」
「まず家で、垂直避難の場所チェック」
「避難所って言ってるけど、大雨降ったとき、自分のうちの1階より、もちろん2階のほうが水が入ってこないから安全ですよね」「垂直避難て言うのは、まず自分が立ってるとこから上のことを垂直っていうので、なるべく上の階に逃げてください」

画像: 2019年の台風を教訓に製作

避難に必要なものが描かれた風呂敷も

三浦徹記者:
「こちらは、チーム防災いずのくにが製作した風呂敷です。避難に必要な物が分かるほか、いろんな使い方ができるすぐれものです」

それが「一時ひなん防災風呂敷・ittoki(いっとき)」。90センチ四方で、避難所でも目立つように黄色にしました。最大の特徴は避難に必要なものが、「高齢者」や「障害者」などそれぞれの立場に応じた描かれている点です。

例えば高齢者ならではの必要な物の1つが補聴器。避難時は補聴器本体ではなく、ケースや予備電池を忘れるケースが多いということです。こうした細かな配慮には、市民の声を反映しました。

チーム防災いずのくに 
渡辺末美さん:
「市民の方にアンケートを取らせていただいて、持ち出し品は何をを持ってったらいいかわからないという声が一番多かったんですが、そこで持ち出し品ってみんなそれぞれちがうよねという話になって」「健康な方と障害のある方とは違うし、高齢者の方と乳幼児を育てている方とも違うよということで」

それにしても、なぜ風呂敷なのでしょうか?

チーム防災いずのくに
 渡辺末美さん:
「普段使えるものが、防災の時に役に立つってすごく大きなメリットだよねというところで、風呂敷というところになりました」「風呂敷だったら、ふだんカバンに入れて持ち歩くこともできますし、家の中でタンスの中に入れておくというのもできますし」

物を包んで運ぶ本来の使い方をすることもできますが、撥水加工がされているため、こんな使い方も・・・

結んで袋状にすれば、バケツとして水を運ぶこともできます。

風呂敷を見たことがないという講座の参加者は、機能の多さに驚いていました。

参加者(10歳)
「風呂敷はいろんなことに便利で、防水とかもあったので、持っていて不便なことはないかなと思った」(Q:使いたいと思いました?)「はい」

画像: 避難に必要なものが描かれた風呂敷も

参加者(13歳)
(Q:3年前の台風は覚えている?)「はい。覚えています」「結局は避難しなかったんですけど、その時にどうしたらいいのかなってことで結局みんな悩んでしまったので、一時避難がとても大事だと思ったので、これからはちょっとあまり危なくないかも知れなくても、いざというときがあるから、避難しといたほうがいいのかなと考えました」

かるたや風呂敷には、チーム防災いずのくにの思いが詰まっています。

チーム防災いずのくに 
渡辺末美さん:
「最近大雨とか地震のニュースがあると、テレビとかの報道でも自助をまずという、自助がしっかりしていれば自然と周りの人や大切な人の命を守ることにつながります」「だからまず自助をということを訴えていると思います。わたしたちもそこを訴えていきたいと思っています」(Q:風呂敷は自助の手助けに?)「そうですね。なります」

自助から共助、公助、そして近助へ。防災の輪が広がっています。