「家が跡形もなく流された」…通報に一体どういうことか想像もつかなかった 土石流災害に対応した静岡・熱海市消防長が講演

 静岡県熱海市の土石流災害の対応にあたった熱海市消防本部の消防長が消防団員らに講演を行い、「風化させてはいけない」と訴えました。

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「家が跡形もなく流された」…通報に一体どういうことか想像もつかなかった 土石流災害に対応した静岡・熱海市消防長が講演

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 伊豆市や伊豆の国市の消防団員らを前に、去年7月の熱海市土石流災害について話すのは、現場の対応にあたった熱海市消防本部の植田宜孝消防長です。

「7月3日10時28分でした。『〇〇さんの家が跡形もなく流されました』という119番通報が消防署に入りました。当時の印象は伊豆山の地形を思い浮かべた時に、この『跡形もなく流された』という表現が一体どういうことなのか、想像もつきませんでした」

 植田消防長はスクリーンに現場の様子を映し出し、熱海は傾斜が多く道幅が狭いことから、救助活動が難航したと振り返りました。

「最初、土石流の全容を見たときに3ケタの人がこの中にいるんではないか、といったような話も出ました。実際、災害対策本部も混乱の極みで、行方不明の方がはっきり分からない」

 この講演は防災関係者に未曽有の災害の教訓を共有するために行われました。講演の最後、植田消防長はこう訴えました。

「現場を見ていただくことが大事だと改めて認識しました。現場に答えがある、この災害を風化させてはいけないし、もし何かあった場合に、あのときこうだったと皆さんの気持ちの片隅にでもあれば、違うんじゃないかなと確信している」