子ども降車後の車内確認…2割の施設が「1人で」 女児置き去り死亡事件うけ静岡県が調査 /今週の静岡

 静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」の送迎バスの中に、3歳の女の子が置き去りにされ、熱射病で死亡した事件。事件発生からおよそ3週間。園は休園が続いています。

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 在籍していた園児167人のうち、おととい22日時点で97人を市内の別の園で一時的に受け入れています。また、これまでに7人が退園したことが市への取材で新たに分かりました。

川崎幼稚園 増田立義元園長(7日):「年齢的に一つやると、一つ忘れてしまうという面があるもんですから」

Q.今回の事案はたまたま起きたミスか、起こるべくして起きたのか?

増田元園長:「両方だと思います」

理事長の後任は息子「安全管理を徹底」

 バスを運転していた増田立義元園長は8日付で園長と園を運営する法人の理事長を辞任。こども園を運営する学校法人は、後任の理事長に増田立義元園長の息子で、園の事務長を務める多朗氏を選任したと発表しました。

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増田多朗事務長(当時) (6日)
Q.園児がお一人が亡くなったことについてはどう受け止めてらっしゃいますか

A.「後日お話いたします。ここは閉園いたしますので…」

Q.閉園というのは?

A.「子どもは来ません」

 代理人弁護士によりますと、16日に開かれた理事会で選任されたということです。

川崎幼稚園 増田立義元園長(7日):「僕がいなくなったらさらに良くなるように…」

弁護士:「園を続けるかは決まってない」

増田元園長:「まだ決まってない、そうか。廃園になるかもしれないよね」

この会見のおよそ1週間後、息子が理事長を引き継ぎました。

増田多朗新理事長は就任のあいさつ
「この度、学校法人榛原学園の新理事長を務めさせていただくこととなりました。亡くなられた園児とそのご遺族の皆様に対しましては、園として、誠心誠意の償いをしてまいる所存です。当法人において二度とこのような事故がないよう、安全管理を徹底し、再発防止策の策定及び実行に全力を注ぐ次第です」

県内232施設が送迎バス運行 2割の施設が「一人で車内点検」 

22日に開かれた、川勝平太知事の定例記者会見。

静岡県 川勝平太知事:「認定こども園等における送迎バスの運行調査の運行状況調査の結果が出ました」

 事件を受け、県は送迎バスを所有する保育施設や特別支援学校などに書面による緊急一斉調査を実施。どのような安全管理態勢となっているか、回答を求めていました。

 調査結果によると、県内で送迎バスを運行しているのは232施設。合わせて552台のバスが稼働しています。

 去年7月、福岡県でバスに置き去りにされた5歳の男の子が死亡した事件を受けて、政府は登園時などにおいて、子どもの人数確認を徹底するように要請。今回の調査では、ほとんどの施設から対応を徹底しているとの回答がありましたが、8つの施設がダブルチェックなどの態勢を取れていないと回答しています。

画像: 県内232施設が送迎バス運行 2割の施設が「一人で車内点検」

 また、子どもたちがバスを降りたあとの車内点検について、およそ8割が運転手や補助職員ら複数で確認しているとした一方で、41の施設では、ひとりで点検していることが判明しました。

川勝知事「施設の危機管理意識を高める」

画像: 川勝知事「施設の危機管理意識を高める」

静岡県 川勝平太知事:「調査結果を踏まえ、来週から認定こども園等の立ち入り指導を実施していく。施設側に安全管理の重要性を現場で伝えていく。今後は特別指導監査の結果、書面調査における各施設からの報告を受けまして、ヒヤリ・ハット事例、これなども広く知らしめて、施設が常に危機管理意識を高く保つための継続的な注意喚起を行っていこうと思っています。また、県独自の安全管理指針などの策定もいたしまして、安全装置の活用についても検討して、できるだけ早期にこれを提示したいと考えている」

 県は27日以降、対象となるすべての施設に立ち入りでの指導を行う方針です。

事件があったこども園で保護者説明会再開 再開は10月3日

 23日、牧之原市では、「川崎幼稚園」の保護者説明会が、幼稚園とは別の場所を会場にして開かれました。この保護者説明会は、事件の2日後にも開かれましたが、体調不良者が相次ぎ、中断されていました。

 今回の説明会では園側が事件の発生原因を説明し、送迎バスのマニュアルを新たに作成したことを報告。具体的な再発防止策として、登園時刻に不在の園児は、保護者への連絡を徹底することや外出時には複数の職員による人数確認を合わせて4回行うことなどが説明されました。

 今後の園の運営について、増田多朗新理事長は「再開に非常に厳しい意見もあったが、再開してほしいとの要望も多数あった」などとして、10月3日から園を再開することを明らかにしました。

説明会に参加した保護者は:「理事長の説明の中で、10月3日ということで出た。今まで再開の時期がはっきりしてなくて、保護者としてはいつ再開するんだろうと思いましたが。具体的な日を示してくれたことで安心することができました。ただ、安全対策に関しては気にされている保護者の方は多かったのかなと思います。再開まで1週間しかないんですけど。その中でマニュアルはちゃんと整備できるのかという話がありました。保護者が安心して預けられる。子どもたちも楽しめるような幼稚園にしていってほしい」

 また、不在だった新園長には、川崎幼稚園の特別活動で園児に体操を教えていた渡邊伊彦氏が、新たに就任することが報告されました。

画像: 事件があったこども園で保護者説明会再開 再開は10月3日

 説明会はおよそ2時間で終了。事件当日にバスを運転していた増田立義元園長は、カウンセラーから精神的な状態を理由に公の場に出ないように指導されたとして欠席したということです。