アユがピンチ…水が濁りコケが減り 去年の台風に今回は豪雨 「台風が来ても3日で澄む川だったのに…」 静岡市 興津川

笹村朱里アナウンサー:「興津川の上流部に来ています。興津川は川が透き通っていて、水質が良いとして知られている川ですが、現在はご覧のように茶色く濁っている」

画像: アユがピンチ…水が濁りコケが減り 去年の台風に今回は豪雨 「台風が来ても3日で澄む川だったのに…」 静岡市 興津川

 “濁流”となってしまった興津川。本来は透明度が高くきれいな水が特徴ですが、この日は先が見えないほどの濁りが見られました。

 2日、静岡県を襲った記録的な大雨。清水区では6月の平年降水量を100ミリ以上超える381ミリもの降水量が、わずか3日間で観測されました(6月平年264.7ミリ 6月1日~3日381ミリ)。

興津川にも大きな影響…この数日間釣り人の姿なく

 その影響は興津川にも─

笹村朱里アナウンサー:「河川敷に下りてきました。あたりを見てみると植物が根元からなぎ倒されていたり、土が削られていたりと、大雨で増水したことが考えられます」

 一変してしまった河川敷。5月の様子と比べてみると─

画像1: 興津川にも大きな影響…この数日間釣り人の姿なく

 上の画面が大雨前、下が大雨後です。赤く囲まれたところが河川敷ですが、大雨で大きく削られてしまっているのがわかります。

画像2: 興津川にも大きな影響…この数日間釣り人の姿なく

 興津川では5月20日に、県内で最も早いアユ釣りの解禁日を迎えました。初日は県内外から多くの釣り人で賑わっていましたが、ここ数日はその釣り人の姿もありません。

さかなや 望月啓志店主:「(アユ釣りに使う)おとり屋もお手上げ。釣り人が来ないから。これでは(釣りが)できない。早く釣り人に来てもらいたい。いつも駐車場がいっぱいになる。寂しい」

 こちらは興津川沿いでアユ釣りに使う「おとりアユ」を扱うお店。店を始めてから長年、川の様子を見てきましたが、こういった状況は初めてだといいます。

さかなや 望月啓志店主:「去年の台風15号で山が荒れているので、こんな状態。初めて。興津川は台風が来ても、3日経てば澄む川だった。今度はそうはいかないかも」

去年の台風15号でアユにとって厳しい環境に

画像1: 去年の台風15号でアユにとって厳しい環境に

 去年9月に発生した台風15号により、大量の土砂や流木が流れ込んだ興津川。その影響でアユのエサとなるコケがそぎ落とされ、アユが成長しづらい環境になってしまいました。そこに追い打ちをかけたのが、今回の大雨です。

興津川非出資漁業協同組合 前澤元次組合長:「(台風15号後)やっと興津川の本流でアユ釣りができる状態まで回復したが、見ていただくように、(草が)なぎ倒されている。あの高さまで増水したので、非常に川の状態も雨の降る前と後では相当変わった」

画像2: 去年の台風15号でアユにとって厳しい環境に

 当然、アユにとっても厳しい環境のようです。

興津川非出資漁業協同組合 前澤元次組合長:「増水によるコケの流失。なかなかアユが育たないという状況なので、これから天候が回復してくればアユが食べるコケがどんどん増えて、それに伴ってアユも大きくなっていくと、友釣りができる状況が出てくる。早くそういう状況に戻していきたい」

 漁協では川の様子をみながら、6月10日にアユを放流する予定です。また来月2日にアユ釣りの県大会を計画していたため、追加での放流も検討していくとしています。

興津川非出資漁業協同組合 前澤元次組合長:「皆さんが楽しんでいただける、アユの成長のできる河川に早く戻ってほしいなと、自然の力でそうなっていってほしい」

 道路や住宅への被害だけでなく、漁業や農業にも影響を及ぼした今回の大雨。今夜は再び大雨の予報で、県内各地で不安な夜となりそうです。