ビッグモーター「社長メッセージ」入手…「当社の常識が世の中の常識と合っていなかった」
これは24日朝、ビッグモーターの和泉伸二社長が、社員に向けて送ったビデオメッセージです。保険金の不正請求や店舗前の街路樹伐採など、この 1カ月間に様々な“疑惑”が浮上したビッグモーター。静岡県では浜松市と富士市のビッグモーターの店舗前で、街路樹が不適切に撤去された可能性が浮上していて、行政によって現在も調査が進められています。
「世の中の常識」と「ビッグモーターの常識」が違っていた
今回、番組が独自に入手した社長のメッセージ動画。これまでの会社の体質を反省する言葉も。
ビッグモーター 和泉伸二社長:「私が社長に就任してから3週間以上が経過した。今回の問題に直面し、日々議論をする中で、毎日のように出てくるさまざまな問題の本当の要因は、事業規模の拡大に組織や体制が全く追いついていなかった。そして当社の常識が世の中の常識と合っていなかったことに尽きると考えている」
「世の中の常識」と「ビッグモーターの常識」が違っていたと述べた和泉社長。高すぎた目標設定や行き過ぎた業績管理が一連の問題の原因だと説明します。メッセージの終盤には今後の会社運営についても─
ビッグモーター 和泉伸二社長:「当社は抜本的に生まれ変わるために経営、組織、権限に関する改革、いわゆるガバナンス改革。風土改革。法令順守。コンプライアンスをベースとした再発防止策を策定し推進する。これまで外部の目をいれず、トップダウン。スピード重視だった当社だったが、社外取締役や社外監査役といった方々に入っていただき、日々厳しい意見をいただくことで世の中の常識にかなうそういった体制を整え、しっかりとした経営ができるように変えていく」
社内の風通しをよくし、改革を行っていくといいます。果たして「常識を身につける」ことはできるのでしょうか─
現役社員は…
一連の保険金不正請求問題の発覚からおよそ1カ月。現在、ビッグモーターはどのような状況にあるのでしょうか、番組では現役社員に話を聞くことが出来ました。
現役社員:「板金部門に関しては、新規の板金修理の受け付けは停止しているので、粗利を得る場所がゼロ」
靴下に入れたゴルフボールで車体に傷をつけるなど、数々の不正の実態が明らかになった「板金部門」現在は厳しい状況にあるようです。
現役社員:「やっぱり今までのような営業活動ができない。制限されている状態になるので、どうしても既存のユーザーとの縁を切らさないための活動だったり、ビッグモーターにいい印象を持っている方を囲い込むような活動がメインになっているので、やっぱり全体の数字としては厳しい」
ビッグモーターでは現在、新規の“修理”受付を停止しています。こうした背景があり、これまでのように仕事のある状況ではなくなっているようです。さらに客と直接やり取りをする営業部門でも、車の査定サイトを通じた電話での営業活動は自粛しているといいます。
現役社員:「会社全体の受注の7割、6割を占めていたのが新規の客なので、やっぱりそこが3分の1に減ってしまうのはかなり大きな打撃を感じている」
給与面は
売り上げの減少に伴って社員に直接影響してくるのが「給与」です。例えば、営業職では「インセンティブ制度」を採用していることが多く、売れば売っただけ、買い取れば買い取っただけ、その利益の数パーセントを給与に反映してもらえる制度となっています。
このような給与形態だからこそ、著しい客の減少は社員にとって“不安の種”でした。ところが…。
現役社員:「会見直後からマージンに関しては改定します。どうにか補填の策を取りますという通達があった。4・5・6月の個人の平均粗利からマージンが算出される形になったので、極端な話をすれば、8月1台も販売・買い取りをしなくても、過去3カ月達成した粗利から算出されるマージンだけは勝手にもらえるという形に変わった」
騒動後、販売数や買い取り数が極端に減っているというビッグモーター。それにも関わらず現状は潤沢なたくわえがあることがうかがえます。保険金の不正請求発覚から始まった一連の騒動。現役社員として今何を思うのか、ビッグモーターに対する思いを聞きました。
「関与していない社員の方が多い」
現役社員:「現場の人間からしたら、今まで納車させていただいた客に対して売った責任を感じて、普段活動しているのもあるので、そういった方に向けて会社をつぶしてしまうのがよくない方向だと思っているから、どんな形であれ、会社を必ず存続させていく、そういった方向で運営してほしいと思っている。正直、街路樹や保険金だったりに関与していない人間のほうが絶対社内では多いはずなので、そんなことをしなくても客と良好な関係を築けた社員が多くいると思うので、そういった人間のためにも今まで通り営業してほしい」