「おてつたび」=“おてつだい”+“旅” 参加した女子大生「働いてこそわかる地域の現状を知りたい」 浜松市
酒井郁乃さん「静岡は熱海の方までは行ったことがある。こっちは全然ない」
ディレクター「浜松に来たことは?」
酒井郁乃さん「初めてです」
出身は栃木県。縁もゆかりもない浜松市で、ゴールデンウィークに働くためにやってきました。
酒井郁乃さん「大学が観光系の勉強、ゼミをしている。自分で新しい場所で、新しい人と、やったことのないことをやってみたいと参加しました」
酒井さんは就職活動を見送り、休学中。将来の糧になればと今回参加したのが…。 “おてつだい”と“旅”を掛け合わせたマッチングサービス、「おてつたび」。旅行者側は報酬を得られて宿泊無料で旅ができ、事業者側には人手不足の解消というメリットがあります。
「忙しい時期だけ人を集めるのは大変」
酒井郁乃さん「こんにちは、本日からおてつたびでお世話になる酒井です」
むらちゃん農園 村上孝一代表:「よろしく。遠いところをようこそ」
職場は、浜松市中区のイチゴ農家「むらちゃん農園」。カフェを併設していて、自分でとったイチゴを好きなだけパフェに盛り付けられるサービスが人気です。
農園は、代表の村上孝一さんと父親の純夫さん、看板犬のレオン君による家族経営。おてつたびを利用する理由があるそうです。
むらちゃん農園 村上孝一代表「予約が集中するのが週末とか休みの期間になりますので、その時だけ人を集めるのは結構大変で…」
人手が足りなくなるのは、春先の短い期間だけ。おてつたびを利用する前は、人を雇うのが大変だったそうです。今年2月に登録すると、すぐに応募が殺到。これまでに7人を迎え入れてきました。
ゴールデンウィークという、超繁忙期にやってきた酒井さん。初日は説明だけで、本格的に働くのは翌日から…。
むらちゃん農園 村上孝一代表
「このぐらいで、あしたの朝までに完熟になりますね。おいしくてお客さんが喜んでもらえると、こっちもうれしくなる」
宿泊場所は事業者側が確保
おてつたびの特徴は、事業者側が宿泊場所を確保すること。むらちゃん農園の場合は、ホームステイです。
むらちゃん農園 村上孝一代表「元々、娘が使ってた部屋」
3泊4日のおてつたび。酒井さんは、ただの旅行にはない“経験”を期待しているようです。
酒井郁乃さん「そこで働くからこそ聞ける、その人の本音だったり、地域の現状みたいな部分を知れると思ったので、働いてみようと思いました」
接客の練習をみっちりと
人手不足の解消策としても注目される、“おてつたび”。東京の大学生、酒井郁乃さんは、初めて訪れた浜松市で農園カフェの仕事を手伝います。
酒井郁乃さん「お願いします」
むらちゃん農園 村上純夫さん「金沢、きのうは富山。そういうところから来る。“遠方からありがとうございます”郁乃さん流に迎えてくれると、お客さんも“いいなあ”という感じになる」
正午のオープンに向けて、2時間みっちりと接客を練習…
酒井郁乃さん「緊張します」
むらちゃん農園 村上純夫さん「大丈夫 大丈夫」
お客さんとは積極的に会話を
そして、正午。開店と同時にお客さんが…。
「いらっしゃいませ」
酒井さん、早速教わったおもてなし。
酒井郁乃さん「きょうは、(滋賀県)大津市から車でいらっしゃったんですか?」
客「いや バスで」
酒井郁乃さん「遠いところからお疲れ様です」
お客さんに積極的に話しかけていきます。中には、酒井さんに興味を持ったお客さんからアドバイスも。
客(妻)「社会に飛び立つまでの練習期間だから、いろいろやった方がいい」
客(夫)「ちなみに妻は整体師」
客(妻)「37歳から始めた」
酒井郁乃さん「それまでは全然違うお仕事を?」
客(妻)「たこ焼き屋やってました」
「体験したことがないことにチャレンジする意欲を感じる」
酒井さんの働きぶりに、受け入れを決めた村上さんは…。
むらちゃん農園 村上孝一代表「世間を広く見てみようとか、今まで自分の体験したことがないことにチャレンジしてみようとか、そういう意欲はすごく感じますね」
酒井郁乃さん「(ゴールデンウィークで)休んでいる時に働くのは、大変そうというイメージもあったけど、だからこそ家族の時間とか、楽しそうにしている姿が、(この職場は)よく見える場所だなっていうのは感じました」