感染者の4人に1人が外国人…「言葉の壁」で情報共有に課題も ブラジル人男性「私も怖い」 独自の「感染拡大警戒宣言」の浜松市

浜松市 鈴木康友市長(26日):「新型コロナウイルス感染拡大警戒宣言を発令致します」

画像: 感染者の4人に1人が外国人…「言葉の壁」で情報共有に課題も ブラジル人男性「私も怖い」 独自の「感染拡大警戒宣言」の浜松市

 「感染拡大警戒宣言」を発令した浜松市。きのう26日の時点で、感染状況を示す国の指標5つのうち、3つでステージ4の基準を上回っていて、市内のコロナ病床使用率は60%を超えていると言います。

 ただ、今回の市独自の宣言は引き続き緊急事態宣言地域との往来や大人数での会食の自粛を呼びかけるなど、注意喚起がメインで目新しい対策はありませんでした。

Q.時短要請や休業要請を出す考えは?

鈴木市長:「安全安心な飲食店の認証を取っているようなお店からの感染は確認されていないので、しっかりルールを守った行動をしていただければ、引き続き安全でございますので、そうしたことを踏まえれば、今のところ全体に対する時短要請は考えていない」

 また、浜松市はすでに今月16日時点で10万人あたりの新規感染者数が25.9人とステージ4の基準を超えていました。その後、いったんは基準を下回っていたものの、26日に再びステージ4となったのです。

 警戒宣言を出すタイミングは適切だったのでしょうか。

Q.宣言を出すタイミングがきょうになったのは?

鈴木市長:「感染が収まりつつあった状況だったので、少し様子を見ていた。なかなか上がったり下がったりという状況が続いているので、今回あらためて市民の皆さまに注意喚起を促す意味で、警戒宣言を発令させていただいた」

市民は

 浜松市独自の警戒警報が発令されました。市民はどのように受け止めているのでしょうか。

10代:「言葉だけじゃなくて、しっかり行動に移せる宣言の方が良いと思う。大阪とか緊急事態宣言が出ているところと同じように、時短要請とか、絶対にやらないといけないという宣言などをした方が良いのかなと思う」

60代:「完全に惰性というか、若者をはじめとしてたくさんの方が街中に去年に比べて出ているので、とても心配。このままでいいのかなと思う」

大型連休以降4人に1人が外国人

画像: 大型連休以降4人に1人が外国人

 そして、浜松市で若者の感染増加と共に目立っているのが、外国人の感染です。

鈴木市長:「外国人市民の感染が増加しておりまして、4月は全体の10%程度だったものがGW以降、全体の24.8%と急増しております。人口比率で換算しますと、かなり高い割合となることから、情報弱者である外国人市民との危機意識の共有を徹底することが重要だと認識を致しております」

浜松市では感染者の4分の1が外国人だといいます。

難しい「情報共有」

画像: 難しい「情報共有」

 なぜ、外国人の感染が増えているのか。浮き彫りになったのは、言葉の違いによる情報共有の難しさです。

浜松国際交流協会 佐藤洋一執行理事:「やはり文化・風習の違い一番大きな要因かなと。日本人とは違う生活習慣があるので、そういったところも影響しているのではと思っている」

 こう話すのは浜松市中区にある浜松国際交流協会で理事を務める佐藤洋一さん。

 ここでは浜松市に居住する外国人の市民に対し、ポルトガル語やベトナム語など7カ国語で、新型コロナウイルスに関する情報提供や相談を受けています。

浜松国際交流協会 佐藤洋一執行理事:「外国人の場合は日本人のように新聞記事などがダイレクトに情報が伝わることもなかなかない。年間7000件ぐらいの相談もあるが、(浜松市に)外国人市民が2万5000人いるということを考えると、すべての外国人に伝わる工夫というのは必要なのかなと思っている」

 こちらの浜松国際交流協会では、新型コロナの感染が拡大してから外国人からの相談数が例年の1.5倍ほどに増加しました。

 ただ、言語の壁があり、コロナに関する対策などの情報の共有についてはまだ課題が多いと言います。

 浜松市に住んでいる外国人の国籍は現在85カ国以上に上っていて、協会ではコロナに関する啓発ポスターや、動画で多言語を用いて、情報を発信するなどの活動を強化していく方針です。

浜松国際交流協会 佐藤洋一執行理事:「外国人の行動がどうということではないと思っている。コロナ疲れであったり、気の緩みというのは日本人も外国人も同じだと思うが、(一番は)生活習慣の違い、それからコミュニティのなかで例えば外国人だと教会などそういったところに日曜日は必ず集まるとかいうところは多分に影響している可能性はあると思っている」

外国人「私も怖い」

 浜松市の外国人市民は…。

フィリピンから 日本に来て40年と20年
「心配というのと分からない、自分がどうなるか。(友達とも)あまり会っていない、携帯とか電話でしか。全然変わった、会うのが変わった」

 浜松市で海外からの輸入品を販売する店のオーナーを務めるブラジル人男性は…。

男性:「私もこういう客相手の商売だからピリピリしている。十分に気をつけているつもりだが、今回はすごいスピードで感染しているようだから私も怖い、本当に心配している」

 浜松市はおととい外国人市民の感染防止策を議論する連絡者会議を開催。民間企業とも協力して、外国人市民に感染防止の徹底を呼びかける方針です。