専門家「谷を埋め廃棄物を入れて水の流れが変わった」 静岡・熱海市の土石流…流れた「盛り土」は5万5500立方mか
崩落した土砂は5万5500立方mと推定
静岡県 難波喬司副知事(8日)
「5万5500、上から落ちて、砂防ダムで7500受け止めたので、その差し引き4万8000立方メートル分が下に落ちただろうと」
静岡県は今回、崩落した土砂は5万5500立方メートルと推定。
盛り土改変は2005年から2010年にかけてか
盛り土などを含む土地の改変は、2005年から2010年1月にかけて行われたとみています。
熱海市 斉藤栄市長(8日)
「市として土砂の搬入中止を指導した。しかしながら、事業者がこの指導に応じず、2011年2月に土地の転売をおこなっております」
この盛り土をめぐって熱海市は過去2回、土砂の搬入中止を求めていました。
熱海市 斉藤栄市長
「応じていないということだが、熱海市だけの問題ではなく盛り土に関する法律が国交省だけでなく農林水産省など多岐にまたがっている点。また、強制力が必ずしも強くないことに、私は根本的な問題があると思っている」
Q.事業者に市として連絡とれている?
A.「連絡ですが、ちょっと、市として連絡とれているか確認していない」
地質学者は「谷を埋め、廃棄物を入れて水の流れが変わった」
9日、土石流が発生した翌日に現地を調査した地質学者が県庁で会見を開きました。
地質学者 塩坂邦雄氏(9日)
「解析すると、あの流域では本来は滑らない。結論から言うと、河川争奪といいます」
塩坂氏によると、崩壊した起点の周辺で宅地造成などの開発が行われたことで、元々の川の流れが変わる河川争奪が起こり、従来よりも多くの水が盛り土のあった場所に流れ込みました。土地の許容量を超える水がたまったことが土石流発生の一因になったとしています。
地質学者 塩坂邦雄氏
「崩壊原因は複合的。谷を埋めた。埋めただけではあまり問題はなかった。そこに廃棄物を入れた。それから水の流路を変えてしまった」
崩落前は斜面が段々に…
崩落前の土地はどのような状況にあったのでしょうか―
番組では2018年12月に撮影された崩壊の起点を撮影した写真を独自に入手。当時、植物が生えた斜面が段々になっている様子がよくわかります。この斜面を形成していたのが、どこからか運び込まれた土砂による盛り土なのです。
こうした中、盛り土を行ったとみられる当時の所有者が「前の土地の所有者として、被害が大きいので申し訳なく思う」と話していることが9日、代理人への取材で新たに分かりました。
赤羽国交大臣(9日午前11時ごろ)
「国交省といたしましては、このような危険エリアに存在するものを含めて、まず盛り土が現在全国のどこにどれくらいあるのか把握する作業から始める予定でございます」
県が土石流による被害を拡大させたとしている盛り土の存在。土石流の起点の周辺では、県や国交省が24時間体制で監視を続けています。