「戦うべきは人でなく、ウイルス」 静岡県は人権配慮訴える動画制作 浜松市で広がるシトラスリボンの輪
感染者らに対する誹謗中傷や嫌がらせが問題化していることを受けて、静岡県は人権への配慮を呼び掛けるために動画を制作しました。
「戦うべきは人でなく、ウイルス」
静岡県 県民生活局 横地眞澄局長: 「今回のコロナの誹謗中傷の特徴として、自分が誹謗中傷をしていると気づかずにやってしまっている。感情に任せて、デマとか誹謗中傷を拡散させてしまっている」
静岡県は9月、新型コロナに係る誹謗中傷対策チームを発足させました。すでに県民から多くの相談が寄せられているといいます。
静岡県くらし・環境部 県民生活局 横地眞澄局長
「保育園に来ることを断られたですとか、県外から引っ越してくる方に、不動産屋が『今頃県外から引っ越してくるのか』と、そういった発言をされたというような相談が寄せられました。『戦うべきは人ではなくウイルス』これを基本方針としまして、被害の未然防止、拡大防止、被害の救済 この三本柱に取り組んでいます」
そんな中、「自分の住む街を救いたい」と立ち上がった人物がいました。
浜松市 UD男女共同参画課 新谷直幸課長
「ご自宅に落書きをされたりとか、お店の方などに対してもネットですごい誹謗中傷 悪口陰口すごい状態になっていると。少しでも助けになることがないかということを当時私も思っていました」
感染した人への差別や偏見をなくすシトラスリボン
シトラスリボン
浜松市役所に勤める新谷さんが、自分たちでも何かできないかと探して見つけたもの…。それが「シトラスリボン」。
浜松市 UD男女共同参画課 新谷直幸課長
「まさにこれだ、と。シトラスリボンと言われるものを着けることによって、コロナに感染された方の差別や偏見をなくす」
愛媛県の松山大の教授が新型コロナによる差別をなくそうとはじめたシトラスリボン。見つけてからの新谷さんの行動は早かった…。。すぐに問い合わせをして許諾を得ると、自ら作り方動画をみて学びます。 ひも一本でつくられるシトラスリボン。三つの輪は「地域」「家庭」「職場や学校」が一体になることを表し、願掛けで使われる「叶結び」という結びで留められています
小学生の女の子の協力がきっかけで広がったシトラスリボンの輪
浜松市 UD男女共同参画課 新谷直幸課長 「普通、行政で事業を始めるには、まず予算をつけて、議会の承認を得ることになるんですけど、そんなことをしていると、半年ぐらいかかってしまう。これは一刻を争う、金が無くてもやれることはあるはずだと。私と市民部長で市長のところに入りまして、実はこういうシトラスリボンという運動があるんだけどこれを市でやりたいと、市民部でやりたいと言いましたら即オッケーは出ました」
市長の許可を得た新谷さん。市のホームページでプロジェクトを宣言、シトラスリボン作りの動画リンクも貼りました。部署の予算を元に缶バッチをつくり、1個110円で売り、寄付金に充てることにしました。すると思わぬ効果が…
活動を知った市内のアーティストから、無償で100個のシトラスリボンが届きます。さらに…
浜松市 UD男女共同参画課 新谷直幸課長 6年生の女の子がこの活動を知って自分でおこずかいを貯めて、この缶バッチを30個購入して学校に寄付してくれたり…
小学生の行為がきっかけとなり、新谷さんはその学校でシトラスリボンの意味や作り方を教える授業も行いました。
シトラスリボンの輪は浜松市の外にも広がりを見せています。
浜松市 UD男女共同参画課 新谷直幸課長
「いま隣りの磐田市もこの活動をはじめます。湖西市もこの活動をはじめるという。すごいのはインターネット、どこでも世界中に発信されますから、全国各地の方々からご連絡をいただいて、これを自分の地域でもやりたいとか、浜松市でどんな風にやったか教えてくれとか。誹謗中傷もネットで広がるんですが、こういう運動もインターネットとかSNSの力は大きいと思っています。このマークやリボンを見た被害にあわれた方が、浜松市民の中でも自分たちを非難する人ばかりじゃなくて、温かい気持ちで、(誹謗中傷は)ダメだ、そういうことはしない、と思ってくれる人もいるんだということを感じていただければ。それで少しでも楽になったり、救われたなと感じてもらえれば、それだけでもやった甲斐があったと思います」
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