浜松市長の「学長失格」発言に静岡大学長「そこまで言われるとは…」 浜松医大との再編は「両大学は同じ方向…」
浜松市 鈴木康友市長:「医工連携の大学ができることによって、県内に計り知れない波及効果をもたらすことができる」
2日午後、静岡大学と浜松医科大学の統合・再編を推進する期成同盟会の発足式が浜松市で開かれ、スズキの鈴木修相談役ら、経済界の関係者も出席しました。
浜松市 鈴木康友市長:「合意書締結から4年が経つが、計画は迷走を繰り返し、頓挫したままである。私が何より許せないのは、すでに去年、この大学は開学しているはずだった。子どもたちの夢を壊し、就学の機会を奪い、教育の機会を奪っている。これが許せない。これを見過ごしている。私は静大の学長に猛省を促したい。1日も早くこの計画を前に進めなければならない」
期成同盟会には静岡県西部のすべての自治体に加え、県東部の御殿場市や富士宮市など、浜松市を含む12の市や町が参加しています。
静岡・田辺市長「大学の自治尊重。両大学が決めるべき」…浜松市側の動きけん制
こうした動きに、2日、単独取材に応じた静岡大学の日詰一幸学長は…。
静岡大学 日詰一幸学長:「期成同盟会のような形とすれば、非常に強いメッセージが発せられることは間違いないと思いますので、やはり最終的に大学は大学として、方向性をきちんと決めていきたいと思っていますので、その辺りをぜひご理解いただきたいというのが今の切なる思いです」
静岡市の田辺信宏市長も浜松側の動きをけん制しています。
静岡市 田辺信宏市長(2月27日):「大学の自治が尊重されなければなりません。つまり、大学のことは両大学において決めるべきだ」
静岡大学と浜松医大の統合・再編問題は、互いの溝が改めて浮き彫りとなり、さながら“地域対立”の様相を呈しています。
浜松市 鈴木康友市長(2月27日):「大学同士の話し合いで決めるべきというような話をしたが、これは天につば吐くような話であって、大学同士の話はもう終わっている。だから学長として、私は失格だと」
鈴木市長の怒りの矛先は、静岡大学の日詰学長です。
2月、日詰学長は個人の考えとして、2019年に合意した静岡と浜松でそれぞれ新しい大学をつくる「1法人2大学」案ではなく、「1法人1大学」案を打ち出していました。
静岡大・日詰学長「新しい大学を作る点で両大学とも同じ方向を向いている」
「学長失格」の烙印を押された、日詰学長。鈴木市長の発言をどのように受け止めたのでしょうか。
静岡大学 日詰一幸学長:「そこまで言われるとは思っておりませんで、非常に強い批判の矛先が、わたくしの方に向けられたと率直に受け止めました。なかなか難しいかじ取りになってしまったというのが率直な思い」
おととし1月、両大学の統合・再編は無期限の延期となり、先行きは全く見通せない状況が続いています。そもそも、一度合意した内容で協議を継続できないのはなぜなのでしょうか。
静岡大学 日詰一幸学長:「基本的に私が学長に就任する前に方向性が決まったわけですけど、その時点においても、いろいろな合意形成に向けての議論が十分ではなかったと思います」
静岡大学と浜松医大の統合・再編に向けた取り組みについては去年3月、文部科学省の検討会で「構想に沿った取り組みが行われていない」と評価され、「医学・工学・情報学の連携は現在のままでも十分に可能で、2大学に再編することでの静岡県全体に対するメリットが判然としない」とされています。
静岡大学 日詰一幸学長:「学問領域の広さというものが、実は静岡大学としてはあるわけで、静岡キャンパスに4学部、それから浜松キャンパスに2学部を要する総合大学という位置づけですので、総合大学をやはり生かしていくと。新しい大学を作るということでは、両大学とも同じ方向を向いていると理解しています。信頼関係をどう築いていけばいいのかが、とても大事ではないかと思っています」