冬本番を前に「感染対策・換気」と「節電」の両立に悩む福祉の現場

静岡県内でも新型コロナの感染者が拡大する中、高騰する光熱費に頭を悩ませる人も増えています。静岡市にある高齢者施設を取材しました。

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冬を前に「感染対策・換気」と「節電」の両立に悩む福祉の現場

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 県内で感染が拡大する中、懸念されているのがインフルエンザとの同時流行です。

 静岡市にある、福祉施設でも備えを進めています。

施設職員:
「失礼します。おはようございます」

 こちらの特別養護老人ホームには自宅で生活することが困難な高齢者ら、およそ140人が入居しています。

施設職員:
「換気のために窓開けますね」

 毎日欠かさず行うのが、部屋の換気。

 認知症の入居者が外に出られないようにベランダ側の窓を10センチほど開けて、空気の通り道を作っています。

特別養護老人ホーム 小坂の郷 橋本浩子看護師長:
「エアコンが入る夏場冬場っていうのは窓を閉めてしまうことが多いので、それでにならないので。入り口エアコンが入る夏場冬場っていうのは窓を閉めてしまうことが多いので、それでは換気側も開けて2方向に風の通りを良くすることをしています」

 この施設はインフルエンザの予防として、毎年この時期から加湿器を設置。

 厚生労働省によれば、室内を50%~60%の湿度に保つことも予防に効果的だそうです。

 また、感染のリスクが高まる食事の時間には、入居者の座る位置をずらし、対面にならないようにしています。

 ひとりで食事ができない入居者を職員が補助することも。

特別養護老人ホーム 小坂の郷 橋本浩子看護師長:
「職員からの感染が一番の感染経路で、入居者が感染するということなんですね。施設としての感染予防としたら、そこの感染経路を遮断すること。必ず職員みんなこういうゴーグルを持たせていますので、入居者に接する場合とか、長い時間お互いに話す場合とかにするようにということと、アルコール消毒も必ず簡易のこういった消毒液を持たせています」

 この施設では職員と入居者に新型コロナとインフルエンザ、両方のワクチン接種を可能な限り行っていて、同時流行に備えています。

 しかし、対策に努める施設にとって大きな痛手が…。それが光熱費の値上がりです。

特別養護老人ホーム 小坂の郷 青山伊久美事務長:
「ガス代に関しては1.5倍、電気代に関しては1.7倍ほどの上昇がみられています。ここまでの値上がりは今までにないです」

 ウクライナ情勢を反映したエネルギー価格の高騰を背景に、大手電力会社は相次いで値上げを発表。

 こちらでは、エアコンの稼働が増える8月と1月・2月に電気の使用量が増えるそうです。

 8月1カ月間の電気料金は、去年は196万円でしたが、今年は340万円に。

 同じ月で150万円近く負担が増していて、運営にも影響が出かねないといいます。

特別養護老人ホーム 小坂の郷 青山伊久美事務長:
「2021年度12カ月で言うと、だいたい2000万円ぐらいの特養での電気使用量だったのが、今年度に関してはおよそ3500万円、1500万円プラスでかかるのではないかという予想です。節約するしかないんですけど、必要なところはどうしても使わなければいけないので、そこは仕方がないと思うんですけど、無駄をなくすというところですかね」

感染対策に努める福祉の現場。
冬本番を控え、施設は「感染対策」と「節電」の両立を迫られています。

特別養護老人ホーム 小坂の郷 青山伊久美事務長:
「やはり暖を取ると言いましても、石油とか家庭ではありますけど、やはり利用者の状態のことを考えると危険があるので、電気・エアコンで私どもは対応しています。費用のことを今後考えて施設で太陽光を設置するとか、利用者に負担いただくということは今後考えていかなければならないかもしれません」