価格が30倍に…ブームのお茶で勝負 静岡茶農家たちのチャレンジ

 静岡が誇る特産品「お茶」ですが、急須を持たない「急須離れ」が進む、茶葉の価格の下落など、厳しい状況が続いています。そんな中、新たな挑戦で活路を見出している茶農家を取材しました。

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緑茶も、紅茶も お茶農家の挑戦

画像: 緑茶も、紅茶も お茶農家の挑戦

 のどかな自然が広がる茶畑の中でドリンクを楽しむことができます。こちらは、静岡市清水区の山あいにある両河内地区。県内有数の緑茶の産地です。2年前、茶畑の中にテラスが造られました。

グリーンエイト 北條広樹代表取締役:「お茶が実際収穫される畑を見たことがない人、滅茶苦茶多くて。僕たちお茶農家にしか出来ない提案だと思った」

 両河内のお茶農家、北條広樹さん。お茶の魅力を多くの人に感じてもらいたいと、様々な工夫に挑戦しています。

 このテラスでは、緑茶はもちろん、自家製の紅茶を味わうこともできます。

グリーンエイト 北條広樹代表取締役:「春の茶は緑茶に、夏の二番茶と呼ばれるものは紅茶に加工している」

紅茶づくりを始めた背景に日本茶の厳しい現実

画像: 紅茶づくりを始めた背景に日本茶の厳しい現実

 紅茶は緑茶を発酵させたもの。茶葉も、加工する機械も、同じもので作ることができます。茶畑のテラスや紅茶づくりを始めた背景には、日本茶の厳しい現実がありました。

 生活様式の変化で茶葉の消費が減っていることから、県内の荒茶の一番茶の取引価格は2000年をピークに右肩下がり。2020年には最盛期の55%にまで落ち込みました。

 この状況の中、北條さんが始めたのが…

ニガクナイコウチャ

画像: ニガクナイコウチャ

 JR静岡駅ビル「パルシェ」の中に去年、北條さんは紅茶の専門店、その名も「ニガクナイコウチャ」をオープンさせました。その味わいは…。

西尾梓アナウンサー:「飲みやすいです。苦味や渋みもなくてすっきりした味わいです」

グリーンエイト 北條広樹代表取締役:「日本茶の品種の茶葉を使って作ってみて、ちょっと外国産の紅茶とテイストの違うものができた。そのテイストの違いっていうのが、苦くないという部分だったので」

 日本茶の中でも、苦みの少ない品種の茶葉を使い、「苦くない紅茶」を前面に押し出して商品化。すると…。

三島市の男性:「日本茶に近い感じで飲むとほっこりするのでよく飲んでいます。おいしい」

静岡市の女性:「さっぱりしていて、洋菓子だけじゃなくて、和菓子にも合うかな」

 連日、若い女性を中心に、多くのお客さんが訪れる人気店に。それに伴って変わったのが、お茶の販売価格です。

紅茶の製造・販売で30倍…静岡茶の可能性

画像: 紅茶の製造・販売で30倍…静岡茶の可能性

グリーンエイト 北條広樹代表取締役:「単純計算で30倍ぐらいになる」
西尾アナ:30倍ですか?
北條さん:「そうですね」

 緑茶で販売すると1キロ500円~600円ほどの茶葉が、紅茶として製造・販売までを自分たちで一括して行うと30倍の1万8000円以上にまで上げることができたのです。

 世界で飲まれているお茶のうち、紅茶は最も多く70%とも言われています。北條さんは、静岡茶に大きな可能性を感じています。

グリーンエイト 北條広樹代表取締役:「お客様の静岡=お茶という認識は、静岡=富士山みたいな認識と同じくらい高いものがあるので、いい品質の商品だとか、静岡のお茶はお客様にまだまだ飲んでいただけるチャンスが多々あると思っている」