遺族の思いは…東名高速あおり運転死傷事件 27日から横浜地裁で差し戻し審 懲役18年判決の一審「公判前整理手続」に違法性

2017年に東名高速であおり運転を受けて静岡市清水区の一家4人が死傷した事件で危険運転致死傷などの罪に問われている男の差し戻し審が27日始まります。一度は懲役18年の判決が下された裁判。遺族の思いを取材しました。

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遺族の思いは…東名高速あおり運転死傷事件 27日から横浜地裁で差し戻し審 懲役18年判決の一審「公判前整理手続」に違法性

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被害者の母「思い出すと生きててくれたらなぁて思う」

萩山文子さん:「ここに座るとなんか落ち着くだよね。ここにいるからさぁ、2人この子なんて死ぬような子じゃないだもん」

 静岡市清水区に住む萩山文子さん、81歳。5年前、あおり運転を受けた末、三男の嘉久さん(当時45)夫婦を亡くしました。

萩山文子さん:「被告があそこに止まってたもんで、変な所へこっち出る前に。だもんでうちの子がね、うちも早く帰りたかったんだよ、私1人で家にいるじゃん。思い出すと生きててくれたらなぁって思うけど」

 2017年6月5日嘉久さん(当時45)一家・4人が乗った車は、神奈川県の東名高速で30歳の男にあおり運転を受け停車させられたあと後続の大型トラックに追突されました。この事件では嘉久さんと妻の友香さん(当時39)が死亡。娘2人もけがをしました。

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一審「懲役18年」も東京高裁の指摘は…

その後、被告の男(30)が起訴され、2018年の一審の裁判員裁判で横浜地裁は懲役18年の判決を言い渡しました。その後の控訴審で東京高裁は危険運転致死傷罪を認めた一方で、一審の手続きが違法だったとして一審判決を取り消し横浜地裁で裁判をやり直すよう命じました。

 東京高裁が違法だと指摘したのは一審の前に裁判官と検察側、それに弁護側の三者で争点を整理する「公判前整理手続」についてです。東京高裁は横浜地裁が「公判前整理手続」の中で、「危険運転致死傷罪に当たらない」との見解を示していたにもかかわらず、裁判員裁判が始まってから裁判所が見解を変更し判決で危険運転を認めたため、「被告や弁護士に対して不意打ちになることが明らかで違法である」としました。

 当時、高裁の判決を受け、文子さんは…。

萩山文子さん:「すっきりしない。また元に戻るような感じ。ちょっとがっかりって感じ。また裁判員裁判をやる話をしていたから、嘉久には『至らなくてごめんね』って言うしかない」

画像: 一審「懲役18年」も東京高裁の指摘は…

やり直し裁判…遺族の思いは

差し戻しの決定から、2年余り。裁判のやり直しで一審での地裁の判決と量刑判断が変わることもあります。

萩山文子さん:「うーん…やり直しというか、落ち着かないね。穏やかでないよね。でも人を恨んだってしょうがないし、憎んだところでしょうがないし」

Q,横浜で裁判始まるが行くつもりは?

萩山文子さん:「本当は行くつもりだったんだけどね。元気なら。この身体じゃあ…。」

 今は歩くのも辛く、家にこもりがちという文子さん。

Q,裁判に行きたいという気持ちはある?

萩山文子さん:「あの人の顔を見たくない。そう言っちゃ悪いけんね。人を憎まずじゃんね…裁判というかね…どれが正解の言葉か分かんないけど、もうここ(=仏壇)に並んじゃったじゃしょうがないかなと思うとね」

 差し戻しの裁判員裁判は27日横浜地裁で始まります。