75歳以上の運転免許更新手続きが変更に 何が変わる?「運転技能検査」とは?

2019年、東京・池袋で起きた高齢ドライバーによる暴走事故。31歳の母親と3歳の娘が死亡、9人が重軽傷を負いました。これをきっかけに、「高齢ドライバーによる交通事故」は社会問題に。運転免許返納の機運も高まりました。

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運転技能の低下による事故多発が背景に

 静岡県では、直近10年間で交通事故の件数は減少傾向にありますが、75歳以上の高齢ドライバーの事故は高止まりしています。こうした中、法律の改正を受けて13日から75歳以上が免許を更新する際の手続きが変更されることに。一体、何が変わるのでしょうか。

静岡県警本部 運転免許課 
大井智課長補佐:「一定の違反歴がある方、この方につきましては免許更新時に運転技能検査の受検が義務づけられます。運転技能の低下、これによる交通事故が多発している背景を踏まえての法改正となっております」

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新たに導入される「運転技能検査」とは

 新しく導入されるのが、「運転技能検査」です。対象となるのは75歳以上で、過去3年以内に信号無視や逆走など、重大事故につながる可能性が高い違反歴がある人。これまでは違反の有無にかかわらず、記憶力や判断力を確かめる「認知機能検査」と「高齢者講習」を受ければ、免許を更新することができました。しかし、今回の法改正で違反歴のあるドライバーにはいわば「試験」が課されることになり、合格しなければ、免許を失効する可能性もあるのです。

県警本部 運転免許課 
大井智課長補佐「従来、高齢者運転対策として、主に認知機能に着目した対策が講じられてきて一定の成果があがってきたところなんですけれども、事故の状況を見てみると、運転技能の低下に着目した対策も必要ではないかということで」

「運転技能検査」は免許センターか、自動車学校で受検します。一時停止や右折・左折、指示された速度での走行など、5項目を採点。不合格となっても、合格するまで何度でも受検できます。

静鉄自動車学校 
鈴木孝洋 運営部長:「(高齢ドライバーは)コースの中でも一時不停止であるとか、反対側を走って右側通行であるとか、よく言われる逆走がちょこちょこ見受けられる。確かに認知機能に問題がなくても、運転の方にだいぶ問題がある方もいらっしゃいますので、事故防止にも役立つのではないかと思っています」

 県内には75歳以上のドライバーがおよそ23万人いて、今年は、7万9000人ほどが免許更新を予定しています。そのうち「運転技能検査」を受けるのは、およそ5700人。1割近くに重大事故につながる恐れのある違反歴がある状況です。

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合格しなければ免許失効に

高齢者の免許更新に新制度が導入されることに、街の人は―

79歳:「やっぱり厳しい検査の中で、そのぐらいのことができないといけないなと私は感じています」
30代:「高齢の方がきちんと100%運転に問題がないのかっていうのをきちんと検査して、免許更新するなり、ちゃんとした制度が設けられるのは、今のご時世、必要なことじゃないかなと思います」

 今後、「運転技能検査」の対象者には紫色の免許更新はがきが届くといい、県警は速やかな検査の予約を呼び掛けています。

県警本部 運転免許課 
大井智課長補佐「やはり交通事故によって生まれるもの、何一つ、いいものはありませんので、ぜひ車のハンドルを握る際には十分注意して交通事故に遭わないように運転していただきたいと思います」                                                       

画像: 合格しなければ免許失効に