きょうで12日目 遺体で見つかった人の多くは2回目以降の土石流被害か  静岡・熱海市

斉藤慎一朗記者
「熱海市内には今朝から雨が降ったり止んだりの状況が続いています。現場にはまだ大量の土砂が残っている部分もあり消防隊員は土に足を取られながら捜索を続けています。」

きょうで12日目…

画像: きょうで12日目…

熱海市伊豆山地区でおきた土石流からきょうで12日目。午前6時ごろから降り出した雨で捜索エリアは足元がぬかるむ中、警察や消防・自衛隊員らおよそ1500人態勢で行方不明者の捜索が行われています。

 今回の土石流による死者は日を追うごとに増えています。

男性(71)
「ほっとしている。出て来てくれて良かったなと思って」

 こう話すのは、妻を土石流で失った男性さんです。8日に妻の遺体が発見され、10日火葬されました。妻とは約40年間連れ添ってきました。

男性(71)
「良かったと思う。やっぱり安否が確認できないというのはすごく気が滅入る。友達にも息子にも助けを求めたみたいだが、それも叶わずという感じ。
『挟まれたから助けて』というのが出回ってたみたい。だから最後の連絡が『助けて』という、そういう連絡だったみたい」

 妻の棺には、3歳の孫が折った紙飛行機が入れられました。

男性(71)
「3歳の孫が棺の中に紙飛行機を折って入れた。その後に外に出たら、(孫が)母親に『ばぁばが紙飛行機に乗ってお空に行っちゃった』って。そういう話をするようになるとすごく、3歳児の心に傷がついてんのかなって」

 また12日に身元が判明した死者の女性(69)は妻のパート仲間でした。土石流の発生直後、男性は妻に頼まれ、女性の様子を見に行っていました。

男性(71)
「電話をさせたが結局電話が通じない。だから俺が車で上の方の様子を見に行ってくるって。そしたらその10分~15分ぐらい後(に自宅が流された」

 結局、女性の家にはたどり着けず、家に残してきた妻も土石流にのまれ亡くなりました。

男性(71)
「2人で手をつないででもいいから天国に行ってくれればなと。一人じゃ寂しいかもしれないけど、お友達がいればね。皆で楽しくやってて、成仏してもらいたいと思う。こっちはこっちで頑張るから。何かメールでも何でも届けばいいけど」

2回目以降の土石流で被害…

多くの命を奪った大規模な土石流。遺体でみつかった人の多くが複数回あったとされる土石流のうち、あとになって起きた大規模な土石流によって被害にあったとみられることが、警察関係者への取材でわかりました。

 当時、撮影されたこの映像。土石流が一度止まりますが…。さらに大きな土石流が辺りを飲み込みました。土石流が複数回発生し、後になってより大きな土石流が起きていたことが発生していたことがわかります。
 番組では当時、一部始終を目撃していた人に話を聞くことができました。
男性によると、近所の人から「第1波、第2波の土石流が来たから逃げる」という電話を受けて高台に来たといいます。

男性
「すごい勢いで何か爆発したような真っ黒い水が、それが結果的にはあそこの家にぶつかった。ただここで見て、バーって舞ったのが土石流なんて頭になかった。なんだろうこれは」

最初の土石流被害を見に来た人が…

別の証言も・・・。

別の男性
「1回目は僕は見ていないんですけど、2回目を見た時には、ちょうど見たら下の方に土石流が流れてきていて。この伊豆山の区域は岩盤が強いって昔から言われているんですけど、大きな岩があるのでそれが上から流れてきた状態ですね」

画像: 最初の土石流被害を見に来た人が…

 高齢者など避難が困難だった人のほかに、最初の小規模な土石流による被害状況を見ようと被災現場に足を踏み入れた人がその後、連鎖的に起きた大規模な土石流の被害に巻き込まれたとみられています。

男性
「(声を詰まらせ、涙を浮かべながら)仲間がいなくなったのは本当に寂しい」