戦地で生きた兵士の姿…従軍カメラマンの写真展 平和語る原点に、白黒写真に色を 静岡市
戦時中、静岡から戦地に赴く兵士の姿を収めた従軍カメラマンの写真展が、静岡市葵区の護国記念館で開かれています。35年続けられた写真展、今年が最後となります。
兵士のありのままの姿を…
焼津市出身の柳田芙美緒(やなぎだ・ふみお)さん(1909~1986)。旧陸軍歩兵隊「静岡連隊」の従軍カメラマンとして、8年間シャッターを切り続けました。 35年前から続く柳田さんの写真展。約220点が展示されています。
『この兵隊は小さなランプの前で、郷里からの手紙を出して、幾度も幾度も読み返しては泣いていた。』
戦地で生きた兵士のありのままの表情を切り取っています。
「平安なれ」色に祈り込めて 生涯かけて写真を守る父と娘
駿府城公園から出征していく兵士たち…。そして、無言の帰還。仲間を抱えて帰還した兵士もまた、帰らぬ人となりました。 生前、柳田さんは自分の写真を「平和を語る原点にしたい」と語り、白黒写真に色を付けました。
柳田さんの三女 夕映さん(72):「写真に1日でも命を与えたかった。その時の風の色、兵士の想いですね。切なさの思いを塗り重ねていった」
最後の展示会 訪れる遺族や若い世代の思い
築124年、写真が並ぶこの建物は老朽化のため、3月に取り壊しが決まっています。写真展は今年が最後です。
来場者(86):「うちの親父によく似ている。出征をして1カ月ちょっとで亡くなった」
来場者(22):「当時がどんな状況だったのか、写真からでしか僕らは見られないけど、何とかして、後の人たちに伝えていければいいなと思います」
写真が訪れる人の心に、「平和とは何か」問いかけます。
柳田さんの三女 夕映さん(72):「(写真と)向き合って、語り合ってもらいたい。戦争の体験者が語るのではなくて、写真が物語るので、無益な戦争を二度と起こさないようにと。今こそ語るべきだと思っています」
写真展は23日(日)まで。