今なぜ? 季節外れのインフルエンザ流行 そのほかの感染症も流行の兆しが…
掛川市民 70代:
「インフルエンザと言えば冬のものと決まっていたので、今この季節に広がっているというのは少しびっくりしている」
静岡市民 60代:
「季節外れでも(インフルエンザの)菌(ウイルス)はきっといるんですよね。こういう人混みを歩くときというのは、やはり不安ではある」
今「インフルエンザ」が県内で流行しています。
県によると6月4日までのインフルエンザの発生動向調査で、定点医療機関から報告された患者の数は1医療機関あたり1週間で2.22人。
前の週も1.18人と、記録がある2006年以降で6月に入っても流行の目安となる1人を超え続けているのは、初めてだといいます。
この“季節はずれの猛威”は学校現場にも影響しています。
5月頃から小学校でインフルエンザ感染による学級閉鎖が相次いでいて、県は7日に静岡市葵区と浜松市浜北区の2つの小学校で合わせて18人が感染し、学級閉鎖になったと発表しました。
感染拡大について街の人は…
静岡市民 30代:
「義理の姉も(インフルエンザに)かかったと先月言っていた。子どもが学校からもらってきたと。子どもがもらってくると家族全員にうつってしまって、子どもだけじゃなくて全員がうつるので、完全に防ぐのは難しいのかなと。あと(子どもが)小さいので、予防接種が打てる子もいれば打てない子もいるので、そこも難しいところかなと」
静岡市の小児科では
一方、静岡市内にあるこちらのクリニックでは…。
キッズクリニックさの 佐野正院長:
「鼻水 鼻詰まりはいかがですか?」
親:
「鼻水出てます、鼻も苦しそうにしてました。なんか詰まっているっぽいですよね」
こちらの小児科で診察を受けているのは、受診の前日から38度以上の発熱が続いていたという女の子。
キッズクリニックさの 佐野正院長:
「一応風邪のレベルだと思う。ヘルパンギーナとかではない」
親:
「よかったです」
現在、小児科などで多く見られるのが、インフルエンザ以外の〝風邪〟症状をもった患者。
こちらのクリニックでは、きのう患者のおよそ7割が発熱症状で、特にいま最も多い病気が「ヘルパンギーナ」という感染症だと言います。
キッズクリニックさの 佐野正院長:
「いま毎週「静岡市小児科感染症サーベイランス報告」と言って、小児科の皆でどういう病気があったかというのを数を報告しあう。見ていただくとわかるが、病名のついたものの中ではヘルパンギーナが一番多い」
「ヘルパンギーナ」とは、発熱や口の中にぶつぶつとした水泡ができる感染症で、子どもがかかりやすい夏風邪の一種です。
熱の期間は短く、比較的早めに収まる病気ですが、実は感染症は他にも…。
キッズクリニックさの 佐野正院長:
「いま話題になっているのはRSウイルス。RSウイルスはせきがひどくて熱も高くて小さい子がかなり重症になることが多いので、ヘルパンギーナよりも我々ははるかに注意してみている病気」
国立感染症研究所の発表によると、コロナの5類移行前の1週間と比べると、ヘルパンギーナの全国の患者数はおよそ5倍。
他にもRSウイルスはおよそ2倍に増加しています。
その理由について佐野院長は、コロナ禍によって国民の免疫力が低下しているのではと話します。
キッズクリニックさの 佐野正院長:
「マスクをするとか、人混みを作らないようにするとか、三密をやめましょうということを日本人は真面目にやっていたので、人間とウイルスの接触具合が少なくなる。それが解禁になったので、免疫が減った状態で人と人の関りが増えたので、マスクは皆さんしているが、免疫がない状態が続いていて(ウイルスを)持ち込むと、その社会で非常に増えやすいので、それが収まらないという状況なんだろうと」
新型コロナの5類引き下げ後、新たに増えつつある別の感染症。
ただ、県の感染症管理センターの後藤幹生センター長は、現在の流行状況については、インフルエンザや他の感染症も大きく心配するような状況ではないと話します。
県感染症管理センター 後藤幹生センター長:
「本来のインフルエンザの冬場のピークから見ると数十分の1の感染者数ということなので、(冬から)完全に流行が収まってなくて少し低いレベルで続いているという状況。RSウイルスやヘルパンギーナといった子どもの風邪もGW明けの5月の後半以降ずっと増え続けている状況だが、増えている現在の値も警報レベルには達していない状況。
大原則はコロナもそうだが、何かひいたかなと思った方は仕事や学校をまず休んで自宅で様子を見る、それが自宅以外に感染を広げない一番の方法なので、それを各家庭、個人が守ってもらえれば地域社会への感染拡大は抑えられると考えている」