リニア問題でJRが「水を戻す」と提案…静岡県副知事は一定の評価するも「あの方法では戻せない」
3月10日午後3時から、JR東海の社長会見が開かれました。
Q.トンネル湧水の全量の戻し方に関して、山梨側から静岡側に戻す案が提示されたが、戻せるのか?
金子慎社長:「中下流に影響がなくても流れた分はどうなるかというのがあって、私たちも何かできないかということで、今の案を話して、それを山梨県側に話した。そういう段階で、これでいこうと了解いただけるのか自体は、まだしっかりと答えられない」
リニア新幹線の静岡工区を巡っては、トンネル工事で出る湧水が山梨県側に流出することが問題となっていました。JR東海は先月28日の国の有識者会議で、流出する水と同じ量の水を、山梨県側からポンプアップして、静岡県側に戻す代案を初めて提示したのです。
社長「27年開業は困難という認識」
金子社長はこうした水問題の議論が続いていることから、2027年のリニア開業は困難と明言しました。
金子社長:「27年開業は困難という認識」
Q.新しい開業時期を示さなければならないと思うが?
金子社長:「それは新しい開業時期を決めるということ。いずれそういう時期が来れば決める」
静岡県議会でもJR案を議論
JRの案については、8日開かれた静岡県議会の委員会でも議論されました。
静岡県 難波喬司副知事(3月8日):「今回、JR東海が初めて様々なリスクを明確にして、それらの対応方針を示した。やっと同じ土俵、同じ基準に立って対話を行うことができる状況になった」
JR東海の案に一定の評価をした難波副知事。
自民改革会議 西原明美県議(3月8日):「話し合いの議論が少しずつ前に進んでいると思うが、山登りに例えてではないが、どの程度この話が進んでいるのか」
難波副知事:「例えば8合目くらいまで登ったかなと。水の問題はかなり登ったが、ここからがものすごく急な山という状態」
ふじのくに県民クラブ 阿部卓也県議(3月8日):「あくまでも従来の主張通り、水と環境を守ることをきちんとやっていかないといけない。そそり立つ壁であってほしい」
副知事「あの方法だと、水は戻せない」
そして、難波副知事は…。 難波副知事:「JR東海からの提案の県境付近の水の戻し方だが、はっきり言うとあの工法では水は戻せない。なぜ戻せないというと、一番明確なことは戻す水が無い。返すことが考えられることを示したものであって、返せることを示したものではない」
JR東海の案では「水は戻せない」というのです。山梨県側はあまり湧水が出ない区間であるとして、実現性に否定的な考えを示しました。8合目から頂上まではまだまだ遠いということなのでしょうか。
委員会終了後、取材に応じた難波副知事は…。
Q.8合目ということはもう終わり?
難波副知事:「いやいや8合目からでしょ。私は8合目から引き返したことがある」
(3月10日)