ムクドリの大群に悩む市民…撃退の武器は光とAI 浜松市
ムクドリの大群が空を覆う
浜松市の中心街。街路樹のイルミネーションが輝き、多くの買い物客が訪れています。
その時! 空を覆うような黒い影が…。ムクドリです。イルミネーションの木に止まり、うるさいくらいに鳴いています。
ムクドリは集団で行動する習性があり、カラスなどの天敵から身を守るため、人通りが多い商業施設の近くにある木に多く集まるといいます。
浜松市の中心街には10年ほど前からムクドリが集まりはじめ、市には多くの苦情が寄せられるようになりました。
浜松市デジタル・スマートシティ推進事業本部 市橋良真さん:「まず一つ目の騒音がですね。ムクドリ自体が街路樹に止まった時などに、かなりの数がいますので、そういった群れから発せられる鳴き声が非常にうるさいということで課題となっている」
フン公害も…
木の下にはムクドリのフンが散乱。ベンチもこのありさまで、座ることができません。市では以前から、ムクドリが止まっている木をたたくことで、この場所から追い払う対策を行ってきました。ただ、木の幹が傷ついてしまい、効果も一時的だったといいます。市ではその課題を解決するため、公募をしたところ、ある会社が名乗りを上げました。
浜松市にある「パイフォトニクス」。ホロライトという機器で、光を遠くまで一直線に届ける技術や曲線を描く光を作り出すなど、高度な光の技術を持っている会社です。
パイフォトニクス 池田貴裕社長:「僕、このライトがすごく好きで、いつも持ち歩いているんですね。浜松の街中に行ったときに、大きな木があってすごくうるさかった。よくみると鳥が多数止まっていると。じゃあ、このライトを当ててみようと、当てたらどうなるかなと思って当ててみたら、一斉に鳥が飛び立った」
この日、市と連携して効果を試す実証実験が行われました。
パイフォトニクス 池田貴裕社長:「全部逃げましたよね簡単に」
ところが、大群は再び元の木へ
一方、実験を繰り返す中で課題も見つかりました。
バイフォトニクス 池田貴裕社長:(遠鉄前で照射) 「反応せんな 反応せんやついますね」
光を当てたムクドリは、始めは逃げていきますが、時間が経つと再び木に戻って来てしまいます。
その問題を解決するために導入したのが、人工知能=AIの技術です。
パイフォトニクス 池田貴裕社長:「ディープラーニングという、いわゆるAIの技術を活用すると方向性が見えるようになってきたと。そういうものをフィードバックすることによって、このライトも進化していく、それによって鳥自体が慣れずに慣れを防いで追い払うことができるものまで進化できると考えている」
ムクドリが止まる木の場所や動きを解析し、そのデータをAIに学習させます。そのデータを生かし、自動で木に光をあてたり、あてる光の量を調整することができるようプログラミングを行います。
加えて光を当てる機器にもカメラを付け、どのような光の当て方が効果があるのかも、同時にAIに学習させていきます。
今月からは、商店街のアーケードの上に機器を設置し、その効果やデータの蓄積を行っています。
この日は気温の影響もあり、ムクドリの数が少なく、その効果を充分に試すことはできませんでしたが、この結果もAIにデータとして取り込みます。今後、完全自動化を目指して、さらなるデータの蓄積と実証実験に取り組んでいくということです。
街の迷惑者のムクドリですが、実現したいのは鳥と人との共存です。
パイフォトニクス 池田貴裕社長:「我々は人として、またムクドリは鳥として、共存していく必要があると思っています。街中にくると、刺激受けて居心地悪いとムクドリも思うと、自然に郊外に行くと思う。ムクドリにとっても街中じゃなくても郊外でも安心して暮らせるというところを見つけてもらいたい」