半導体不足で車販売に変化 新車減産で中古車値上がり 給湯器にも余波
「静岡市内の自動車販売店に来ています。こちらにはピカピカの新車が並べられていますが、今世界的な半導体不足で、この新車の納期が大幅に遅れているといいます。ただ、その一方であちらには認定中古車が数十台並べられていますが、この中古車の引き合いが強くなっているといいます」
県内にも世界的な半導体不足の影響が。
県内に20店舗を展開する自動車ディーラー「ホンダカーズ静岡」。
新車と中古車、どちらも取り扱っているこちらの店舗でも半導体不足によってこれまでにはなかった変化が起きているといいます。
ホンダカーズ静岡 東静岡店 渡辺浩治店長:
「新車の納期が車種によっては数カ月、人気車種のSUVなどは半年近く、それ以上待たせるケースもある」
半導体不足により、国内の自動車メーカーは生産調整を余儀なくされています。
先月の生産台数は、三菱自動車を除き去年の同じ月を軒並み下回りました。
その減少幅は、浜松市に本社を置くスズキが23パーセント、マツダが48パーセント、トヨタ自動車が25パーセントなどとなりました。
新車の供給不足は中古車の需要を呼び込み、現在では中古車を求めて県外からの問い合わせもあるといいます。
ホンダカーズ静岡 東静岡店 渡辺浩治店長:
「Q中古車市場はどれくらい引き合いがある?)1.5倍くらいは増えていると感じている。新車が間に合わないところで車が必要な方が中古車を見ている。中古車の販売が好調になると商品として品薄になってくる背景がある」
中古車市場に出回る台数が減ったことで、下取り価格が上昇。そのため、車の買い替えを検討している人は今が売り時という捉え方も。
ホンダカーズ静岡 東静岡店 渡辺浩治店長:
「私どもも中古車の商品を仕入れなければいけないという動きが活発化するので、お客様の車の価値が現在上がっている車種がある。なかには前回査定した時よりも相当、数字が上がっている車もあるので、そういった中でお客様にとっては有益な時期になる方もいると思う」
また、半導体はカーナビやドライブレコーダーなどの備品にも使用されていて、車体本体よりも納期が遅れることもあるそうです。
電子機器の“頭脳”として様々な製品に使用され、現代生活において不可欠な半導体。
去年から続く新型コロナの世界的流行によって、半導体を生産する工場が操業を停止し、物流にも大きな影響が出た一方、テレワークの急速な普及でパソコンやテレビなどの需要が急上昇。
「供給体制のひっ迫」と「需要の急拡大」によって、世界規模で半導体の奪い合いが起きているのです。
半導体不足の影響は別の現場でも。
中島商店 中島駿介代表取締役:
「うちの方でやっぱり多いのはガスの給湯器が入ってこないというのと、ガスコンロの部品が入ってこないということで、注文してもなかなか入ってこないという状態が続いている」
本格的に寒くなったこの時期に欠かせない給湯器が足りないというのです。
ガスや水道など住宅設備の販売・修理を行っている静岡市の中島商店。給湯器メーカーからの供給は、来年3月ごろまで見込めないといいます。
寒くなってきて水温が低下すると給湯器にかかる負荷が増加。1年で最も故障が増えるこの時期に製品を仕入れられない事態に頭を抱えます。
中島商店 中島駿介代表取締役:
「やはり年数が経ってくると10~15年、それ以上になってくると部品も入ってこないので、その時は給湯器自体を交換しないといけないとなる。なかなか物が入ってこないので、貸し出しの給湯器でとりあえずお湯だけは使える状態にして待っていただいている状態」
現在、故障や修理の依頼があった際には代替部品で修理し、供給が再開するまでの応急的な処置として対応。
こちらの店が抱える顧客では現在10軒以上が供給再開を待っています。
中島商店 中島駿介代表取締役:
「仮設の給湯器がつけられるところであれば、何とかお湯が使えるかなと思うが、それ以外のところだと僕の力では何とかできないところではあるので、そういったところは心苦しい。今まで、ものを頼んだら1~2日で入ってくるのが当たり前だったのに慣れてしまったのかなと思うので、今まで当たり前だったものを当たり前と思わずに対応していければいいかなと思う」