【高校野球静岡大会】春のセンバツ静岡代表三島南高校 初甲子園の経験を糧に、夏の大会へ
三島南のスラッガー・前田銀治。この春、初めて立った甲子園の地で放った一打が、彼に大きな心境の変化をもたらしました。3回目の打席。フルスイングでとらえた打球はフェンス直撃のスリーベースヒット。この一打でプロのスカウトからも注目されるようになりました。
三島南高校 前田銀治選手:「試合が終わった後、親戚とか友達から連絡がきたときに、そんなに活躍したんだって初めて思って、今はもう全部進路をプロ野球に変えて頑張っていますね」
前田は、高校通算本塁打30本を超えるチームの大黒柱。181センチ95キロの大柄な体格でも、50メートル走はなんと6秒0。抑えの投手も担い、球速は最速143キロを記録。走攻守が揃う逸材です。
ICT野球で練習改革
プロ注目の選手を生み出した三島南ですが、学業との両立を目指すため練習時間が限られていて、全体練習ができるのは水曜日のみ。強豪校としての実績もなかったチームが、なぜセンバツに出場できたのか。その秘密が、このモニターとカメラにありました。
「すげーいい。」
「多分変化球を前で打とうとし過ぎてる。ストレートはここでいい」
「ここだぞだって」
打撃練習の直後に、自分のスイングをすぐに確認するのが三島南流。モニターには40秒遅れで映像が映し出されます。
三島南高校 伊藤侍玄主将:「自分が意識していることがどれだけ体についてきているのかとか、自分で見ないと分からないことが多いので、自分たちのスイングに、かなりつながっている」
デジタル機器を活用した「ICT野球」で、チーム力の底上げをしてきた彼らが求めるのは効率性。
家での自主練習でも…。4秒間隔でアラームが鳴るスマホのアプリを活用。アラームに合わせてスイングをすると、わずか6分40秒で100スイングになります。
三島南高校 伊藤侍玄主将:「部活でやり始めてきたことを、家でもやりたいなというのはあったので、自分で数えて回数を意識しちゃうとかもなくて、だらだらしないで集中してできる」
地元の子供たちへの野球教室が勇気の源
効率化を求める一方で、あえて時間を割いて行うのは…。センバツ21世紀枠選出の理由にもなった地元の子供たちへの野球教室です。これまで30回以上、のべ1000人を超える子どもたちに、ボールの投げ方や打ち方を教えてきました。部員のもとにはたくさんの手紙や寄せ書きが。
野球教室に参加した大場幼稚園の園児:(Q応援しているのは?)「南高校。いっぱい勝ってほしい。頑張ってください」
三島南高校 前田銀治選手:「子どもたちから甲子園で活躍してきてくださいっていう言葉が、ものすごく自分に勇気を与えてくれた」
ICTで強化したバッティングを武器に、子供たちの想いも背負って挑む夏。センバツは、推薦という形で出場校に選ばれましたが、夏は自らの手で甲子園切符を掴みます。
三島南高校 前田銀治選手:「甲子園という舞台に、今度は勝ち取っていきたいと思うので、公式戦で初ホームランを打ちたいなと思います」