7つの区を減らす…区再編に一歩前進 市議会で「必要」が大多数 浜松市長「感無量。議会と二人三脚で進める」

 5年半に及ぶ議論の末、ようやく意見がまとまりました。浜松市の行政区再編の是非をめぐって市議会で議員投票が行われ、再編が必要とする意見が大多数を占めました。

画像: 議員が投票

議員が投票

 本会議後、全ての議員による投票が行われました。結果は46人中、再編必要が38人、不要は4人、無投票が4人でした。市議会が再編を進める基準とした3分の2以上を大きく上回りました。

 この結果に、行政区再編に慎重だった最大会派・自民党浜松は。

自民党浜松 戸田誠幹事長
「特別委員会でいろいろ議論する中で、各委員から(コスト)削減ありきだけではないというところが、大きく響いたのではないか。区の再編をすると、一歩踏み込んだのでこれからは具体案をいろいろぶつけ合いながらやっていくと思います。なので2区案だったらこう、3区案だったらこんな感じということを、一つ一つやっていく作業になっていくのではないか」

 一方、与党会派の創造浜松は、こう話しました。

創造浜松 関イチロー会長
「かなり大きな一歩です。あくまでまずは再編の必要性が決定したことを皆さんに説明して、委員会での今後の協議の内容を今まで以上に皆さんに知っていただきたい、そこが一番大事だと思っている」

市民の賛否も割れる…

 自らの生活にも影響する区の再編。浜松市民の賛否は割れています。

浜松市民 中区の女性(60代):「もう少し説明をしてほしい。どこがいいところと悪いところをきちんと教えてくれると判断しやすい」

Q:コスト削減のために編成を進めているが…

「確かに山間部の人たちは人口が少ないから大変だと思いますけど、そこは助けあわないといけない」

浜松市民 中区の女性(70代):「(再編は)別にいいと思うけどね。2区というのは、少し違うんじゃないかなと思います。人数的にというか、等分ぐらいの計算で2区ではなく3区か4区とか、そのぐらいはあってもいいのかな」

浜松市民 中区の女性(40代):「試行錯誤してデメリットがあったから変えるのはいいことだとは思うが、その期間が早すぎると思っていて、もし変えるならもう少し後でやった方がいい気がする」

行政区再編の狙いはコスト削減

 そもそも、浜松市の行政区再編とは、現在7つある行政区の数を少なくし、行政コストを削減しようという政策です。

画像: 現在の7区

現在の7区

 鈴木市長が当初、提案したのは、7つの区を3つの区に再編しようというものでした。しかし、市議会最大会派の自民党が3区案に反対し、議論は暗礁に乗り上げてしまいます。そこで鈴木市長は勝負に出ます。

 住民投票を行い、市民の圧倒的な支持を得て、一気に議論を前に進めようとしたのです。

しかし…。

浜松市 鈴木康友市長(去年4月):「3区案は若干反対が多かったけれども、区の再編に賛成という数は現状維持という票を上回った」

 市民は3区案にノーを突きつけ、行政区再編自体については、僅差で賛成が反対を上回るという微妙な判断を下したのです。これは3区案を掲げる鈴木市長にとっては、事実上の敗北でした。

自民党浜松 戸田誠幹事長(去年4月):「結果としては市長が進める3区案というのは数字的には否決された、と私個人的には思っている」

 あきらめきれない鈴木市長は去年12月、今度は2区案を議会に提案します。山間部の天竜区のみを残し、残りの6つの区を1つにまとめるというものでした。ただ、人口比は天竜区が2万9000人に対し、それ以外が77万7000人。アンバランスだという批判を招きました。

 鈴木市長が行政区再編にこだわるのは、行政改革に熱心な浜松経済界の大物の後押しもあるからです。

スズキ 鈴木修会長(1月):「(2区案には)賛成です。早く合理化して節約しなければ。人口減少になることが、はっきりした」

鈴木市長「長年取り組んできた公約。私にとって感無量」

 動き始めた行政区再編。鈴木市長は先ほど会見で意気込みを語りました。

画像: 浜松市 鈴木康友市長

浜松市 鈴木康友市長

浜松市 鈴木康友市長
「長年取り組んできた大変大きな公約。市政は執行側と議会の二元代表制、議会の議決をもらわないと物事を前に進めることができなかった。私にとって感無量。大変重くこの結果を受けとめている。これがある種スタートであるので、議会の皆様と二人三脚で取り組んでいきたい。今後どういうスケジュール感でいくか、しっかり議会と打ち合わせをしながら進めていかなければいけない」