川の事故相次ぐ…浜松市と静岡市で11歳と18歳が死亡 いたるところに深みがある…専門家「川に入るなら水深は膝下まで」

伊地健治アナウンサー(浜松・天竜区の阿多古川 1日):「11歳の男の子が溺れた現場に来ています。天竜川の支流、阿多古川のこのあたりは川遊びの人気スポットで、平日のきょうも多くの家族連れや子どもたちで賑わっています。ここから見ると、浅い川のように感じますが、こちらに堰があって、下に勢いよく水が流れ落ちています。1mを超える深みもあって、男の子はあのあたりで見つかったということです」

浜松市天竜区の阿多古川で11歳男児が死亡

画像: 浜松市天竜区の阿多古川で11歳男児が死亡

 7月31日の日曜日、浜松市天竜区を流れる阿多古川で、遊びに来ていた11歳の男の子が溺れる事故がありました。男の子は家族と友人合わせて6人で川を訪れていて、父親に引き上げられた後、ドクターヘリで病院に搬送されましたが、1日、死亡が確認されました。

伊地アナ:「家族や友人がバーベキューの準備をしている間、男の子はひとりで川に入って遊び始めたということです。そして、そのうちに姿が見えなくなりました。男の子が見つかった深み、堰の向こう側は、ここからは死角になっています」

専門家「親は子どもと一緒に水の中に入って」

 川の危険と安全対策について専門家は…

Q.やっぱり親が子供から目を離さないことっていうのは大事なんですかね?

一般社団法人 水難学会 斎藤秀俊会長:「親が子供から目を離さないじゃなくて、親は、子どもと一緒に水の中に入って遊んでくださいということ」

画像: 専門家「親は子どもと一緒に水の中に入って」

 阿多古川には何度も来ているという母親は、馴染みの川に、1日はある異変を感じたといいます。

祖父と息子と来ていた母親:「びっくりした。きょう来て、こんなに水がたくさんあったのが、まずびっくりした。去年来た時には、向こうの方でも魚捕りとかできるほど浅くて」

Q.堰の下流側でも遊べた?

A.「はい、遊びました」

 先週の大雨で、水量が増し、危険性が高まったのでしょうか? この川をよく知る釣り客は…

釣りに来ていた男性:「流れは、一雨降ると、ここは水が一気に増える。だから3日4日前にひどく降ってたでしょ? だから、少し水が流れてるけど、濁流になっていた川が一個できたみたいに流れてた。ここは水が引くのが早いから、きのう(31日)は、水かさがあったと思うよ。そのくらい水が増える。油断すると怖いよ。川はどこの川もそうだけど」

「川に入るなら水深がひざ下までのところ」

 川の事故を防ぐためには、大きなポイントがあると、専門家はいいます。

一般社団法人 水難学会 斎藤秀俊会長:「川に入るんだったら、膝下までの水深のところ、ここで抑えるってこと。そうすれば、何があったって事故が起きない。逆に、もっと深いところ、例えば腰よりも上になるようなところに入ったらどうなるかっていうと、簡単に流される。一回流れ始めたら、大体もう深いところに持っていかれる。そうすると、もう姿がなくなる。だから、やっぱり川の流れに流されるのは、もうかなり致命的なことだと思ってほしい」

 警察によると、当日、事故現場の水深はおよそ1.3mほどだったといいます。環境保全協議会は、31日も朝から、川の入り口にある駐車場で、遊びに来た一人ひとりに、気をつけるよう呼びかけていましたが、事故は防げませんでした。

画像: 「川に入るなら水深がひざ下までのところ」

 静岡県内では4月にも、島田市の家山川で事故が起きています。コンクリートのブロックに囲まれた深みになった場所で、小学2年生の女の子が溺れ、死亡しました。

一般社団法人 水難学会 斎藤秀俊会長:「周りで、楽しそうに皆さん遊んでいても、もういたるところに深みがあって、どこでも溺れる危険性があると。特に堰堤のような人工構造物の周囲は、一番事故が起こるところ」

 31日の事故を受けて、環境保全協議会は、事故が起きた堰から上流で遊ぶように、呼びかけるようにしました。

静岡市葵区の藁科川では18歳の男性が死亡

画像: 静岡市葵区の藁科川では18歳の男性が死亡

 一方、31日には、静岡市葵区の藁科川でも18歳の専門学校生が溺れる事故があり、搬送先の病院で死亡が確認されました。

 藁科川では3年前にも、会社の同僚らと岩場から飛び込んで遊んでいたインドネシア国籍の建設作業員2人が溺れて死亡する事故がありました。この事故を受けて、注意を促す看板が設置され、地元の人には危険な場所として認識されていました。それでも事故は防げませんでした。

一般社団法人 水難学会 斎藤秀俊会長:「歴史はどんどんどんどん繰り返しているんです。川で命を落としたくなければ、水深は膝の下までそういうところで遊びましょうっていうこの一言に尽きる。是非ともお出掛けするのであれば、膝下までの水深でみんなしっかりと遊んで楽しい夏休みを過ごして欲しい」