わずか5分の犯行…狙われたのは「高額のポケモンカード」計200万円分 防犯カメラが見た犯行の一部始終 静岡・藤枝市
自動ドアのガラスを破り、店内に侵入した人物が─。侵入後、一目散に向かったのは、カードゲームのショーケースです。防犯カメラにはガラスを割り、カードを盗みだす様子が…。
駿河屋藤枝店 店長:「ガラスを全部割って、高額な商品を根こそぎ持っていかれている」
今回盗まれたのは、今、子どもだけでなく大人にも人気の「ポケモンカード」。さらに、犯行が行われた現場は、なんと警察署の隣。大胆な「ポケモンカード」窃盗事件。事件発覚直後の現場にカメラが向かいました。
増田高容ディレクター:「藤枝市にある主に中古のホビーを扱うショップに来ています。入り口のガラスは人が通れるほど大きく割れてしまっていて、また下の方には割れたガラスがそのままになっています。また入り口には張り紙がしてあって、きょうはお店の方は休みとなっています」
藤枝市内にある、ゲームやカードなどの買取や販売を行うこちらの店。取材をした18日、本来なら営業日でしたが、臨時休業に。入り口には大きなガラスの破片も散らばっています。
いったい、何があったのでしょうか。
駿河屋 藤枝店 店長:「ポケモンカードゲームの最新作と下の段には高額なカードが陳列されていた。ガラスを全部割って、高額な商品を根こそぎ持っていかれた」
防犯カメラがとらえた犯行の一部始終
その犯行の一部始終を、防犯カメラが捉えていました。
18日午前3時すぎ。画面右上の部分では、すでに犯人がエントランスへ侵入。入り口にあるゲームの景品棚からポケモンカードを盗んでいました。
その後、物色を終えた犯人は店内に侵入するため、自動ドアを乱暴に破壊していきます。そして─
強引にガラスを割り、店内に侵入しました。腰にはライトでしょうか、光るものが見えます。犯人は、カウンターにあるレジを無視し、向かったのはポケモンカードのコーナーです。狙いをつけたのは高価なカードが並ぶ棚。
ガラスを割り、中のカードを根こそぎ盗んでいきます。下の段が終わると次は上の段に、手にはハンマーのようなものが握られています。
ガラスを割り終わると、先程のようにショーケースからカードを盗んでいきますが、何か手こずっている様子も─
実はこの時、全てのガラスが割れておらず、残ったガラスがカードを守っていました。
その後も暗闇の中でカードを集めていきますが、全てを盗むことなく断念。犯人は現場を後にしました。ここまでの犯行時間はおよそ5分。迷うことなく高価なカードだけを狙ったことから、事前に下見をしていたことが考えられます。
今回、被害にあったポケモンカードは150枚以上。店によると被害額は販売価格で200万円以上に上るということです。
また、今回狙われたショーケースには1枚10万円以上で販売されているカードもあったということですが、店側は高額な商品については被害を抑えることができたといいます。
駿河屋藤枝店 店長:「(5万円以上は)ダミーパッケージとしてカードを印刷して中身は金庫に保管して防犯対策をとっていた」
Q.今回は5万円以上のカードはダミーを盗られただけで被害はない?
A.「ないです」
こちらの店では以前から防犯対策として、5万円以上の高額なカードは別の場所に保管していました。ダミーパッケージはあくまでも印刷しただけのものになるので、本物のようなラメ加工などはなく、明るい場所であれば見分けがつきます。
盗まれたカードのなかには、こうしたダミーパッケージが多く含まれていたといいます。
元刑事に聞く…なぜポケモンカードが狙われた
そもそもなぜ、今回、ポケモンカードが狙われたのか、元埼玉県警刑事の佐々木成三さんは、「換金のしやすさ」を指摘します。
元埼玉県警刑事 佐々木成三さん:「1枚のポケモンカードが数百万円するものが多くあるという中で、換金目的、1枚のポケモンカードがかなりのお金に変わるということで、いま貴金属と同じような扱い、そういった価値のあるものになっているということ。マネーロンダリングもできると思う。(ポケモンカードに)シリアル番号が付いているわけではないので、後を追うことができない。今、ポケモンカードの窃盗事案が相次いでいる大きな理由だと思う」
闇バイトの特徴も
また今回の犯行については闇バイトの特徴が感じられると言います。
元埼玉県警刑事 佐々木成三さん:「本来、主体性が実行役にあるのであれば、まずは捕まらない場所を選ぶ。警察署が近くにあった場合は本来であれば避ける場所ではあるが、闇バイトに関わる事件としては主体性が指示役にあるので、言われた場所を狙う、そして闇バイトは土地勘の無いものが行っているので、この闇バイトに関わる事件と手口や犯行形態がよく酷似している手口だなと」
駿河屋の運営会社「価格高騰で狙われやすくなっている」
実際に、今回窃盗被害にあった「駿河屋」を運営するエーツーもポケモンカードの「価値が上がっている」ことに警戒をしています。
エーツー 宿島拓弥執行役員:「(ポケモンカードは)以前から人気があったが、特にここ数年コロナ禍以降では価格が上がっているので、そういった意味で狙われやすくなっていると思う。こういった犯罪につながるというところは、やっぱり業界としてよくないとは思っているので、そういった意味では防犯体制も含めてこういったことが起きない体制を整えることが大事かなと思う」
店側は被害届を警察に提出しています。