入浴中の女性を狙う盗撮マニア団 逮捕者9人の特異な関係性とは…
「容疑者の男を乗せた車が、今(静岡県)藤枝警察署に到着しました」
誕生日サプライズを装い誘い出す
盗撮マニアグループによる事件で9人目の逮捕です。9月20日、建造物侵入の疑いで逮捕されたのは東京都世田谷区の会社役員の男(60)です。
警察によりますと、男は2019年10月中旬ごろ盗撮させる目的で、知人女性3人を茨城県の入浴施設に誕生日サプライズと称して誘い出し、自らも客を装って施設に侵入した疑いが持たれています。
男は、入浴中の女性をねらった一連の盗撮事件の主犯格とされる男に「知人女性の裸が見たい」と依頼し、主犯格とされる男が100メートル離れた山の中から盗撮したということです。男は「間違いありません」と、容疑を認めているということです。
主犯格とされる男は「盗撮のカリスマ」
一連の事件発覚のきっかけとなったのは2021年10月。藤枝市内で、正当な理由がなく刃渡り6センチ以上の「のこぎり」を持ち歩いたとして容疑者が現行犯逮捕されたことからでした。押収品などを捜査する中で出て来た「のこぎり」。その所持の目的というのが…。
原川朋華記者:
「こちらののこぎりで木や枝を伐採し、その場所で迷彩柄の服を着て隠れて撮影していたということです」
県警は一連の事件の最初の摘発として、茨城県の無職の男(50)、当時鹿児島県職員だった男(41)、岡山県の無職の男(33)の3人を逮捕・送検しました。主犯格とされるのは茨城県の男。
他のメンバーからは「カリスマ」と呼ばれていました。
盗撮の手口は…撮影動画の上映会も開催
主犯格とされる男は10年ほど前から盗撮動画販売サイトを運営。そのサイトに興味を持った上記2人の男らと交流を持つようになり、2021年の春ごろから岐阜県や北海道などで共に盗撮をするようになったということです。
主犯格とされる男らは露天風呂に入浴中の女性の姿を撮影するため、登山道から山中に入り望遠レンズを付けたデジタルビデオカメラを設置。のこぎりで木や枝を伐採して露天風呂までの障害物を取り除き、彩柄の服をまとい隠れて撮影をしていたとみられています。
撮影場所から露天風呂まではおよそ100メートルから200メートル。被害者に気づかれることなく、入浴中の女性らを盗撮したとされています。さらに入浴中の女性を盗撮した後、宿泊先のホテルでそれぞれが撮影した盗撮動画の上映会も開いていたといいます。
3月、静岡地裁で開かれた初公判で主犯格とされる男は、「間違いありません」と起訴内容をおおむね認めました。
「8Kとアナログくらい差がある」
盗撮を実行していたのは主犯格とされる男と岡山県の男。元鹿児島県職員の男は「着衣撮り」と称し、露天風呂施設を利用する女性の服を着ている姿を撮影。女性の年齢や人数を盗撮実行の2人に伝えていたといいます。
元鹿児島県職員の男:
「掲示板を見ているうちに書き込みを見て知り合い、話をする中で撮影の知識が増え自分でもできそうだと思った」
見え隠れするのは盗撮グループの特異な関係性です。
グループメンバーから「カリスマ」と呼ばれる主犯格とされる男は、岡山県の男に撮影を指導する立場だったといいます。そして元鹿児島県職員の男は自ら主犯格とされる男に接触し技術を学んでいました。
主犯格とされる男を中心に形成された盗撮グループ。初公判で元鹿児島県職員の男は、主犯格とされる男のカリスマ性についてこう言及しました。
弁護側:
「3人で盗撮の技術の差はあるのか?」
元鹿児島県職員の男:
「(主犯格とされる男は)経験豊富。私は撮ったが映像はうまくない」
弁護側:
「どのくらいの差があるか?」
元鹿児島県職員の男:
「8Kとアナログくらい差がある」
この一連の盗撮事件は北海道と静岡県を含む1道5県で行われていて、これまで9人が逮捕されています。主犯格とされる男を中心とした全国規模の犯罪。警察は全容解明に向けて捜査を続けています。
温浴施設は対策を強化
やませみの湯 増田界将 フロアマネジャー:
「温浴施設というのがそういう犯罪の現場というか、フィールドに使われてしまうというのは非常に残念だと思いますね。温泉文化と言うものがこういう機会にね、やっぱり斜めに見られるようなことがあってはならないと思いますし、そういう点では非常に残念でありますし、また懸念もしております」
こう話すのは、静岡市街地から車でおよそ40分。清水区の山あいにある「やませみの湯」のフロアマネージャーです。一連の盗撮事件を受けて、こちらの施設でも対策を強めているといいます。
やませみの湯 増田界将 フロアマネジャー:
「向こう側が露天風呂ですね。駆け上がりがあって、植え込みがあって露天風呂になります。ここも木がものすごくうっそうと茂ってたんです。先般の盗撮事案があった後で、この木を少しだけ残してあとは切りましてね、なるべく露天風呂からも駆け上がりが見えるような状態にしました。以前にはね、このタンクのはしごを登ってて、なんか作業着を着て露天風呂を覗いていたという者がいたという、そんな話も聞いた事はありますけども、そういうのも含めまして裏に来たらこの周りはちゃんと気をつけて見るようにはしています」
施設を巡回する回数も増やし、盗撮対策には神経をとがらせています。しかし機材の進歩などもあり、人の力だけで対応するのにも限界があると頭を悩ませているのが実情です。
やませみの湯 増田界将 フロアマネジャー:
「我々も盗撮の場所を提供してるわけではなくて、やはりお客様に日頃の疲れを癒していただくために一生懸命営業してまして、スタッフも一生懸命日々スタッフの数足りなくて大変なんですけど、一生懸命仕事してますので非常に許せませんし卑劣な行為は怒りしか感じませんよね」