国内最大級のエビ養殖場が完成 環境への配慮と美味しさ… 次世代型施設の秘密とは 静岡・磐田市
関電の子会社がなぜエビ養殖?
こちらの建物、関西電力の子会社が運営するエビの養殖場です。7月に完成したばかりです。屋内には長さ40mの水槽が6つ。泳いでいるのは…バナメイエビ。柔らかい食感と甘味が特徴で、エビチリやパスタなど幅広い料理に使われています。しかし国内で流通するエビの9割が外国産という現状があります。
海幸ゆきのや
秋田亮 社長:「エビ自身の国内の生産量が非常に少なくて、ほぼ輸入に頼っているということで国内の食料自給率の上昇にも寄与できるのではないかと考えた」
バナメイエビは成長する期間がほかのエビと比べおよそ3~4カ月と短く、水中を泳ぐように生活するため水槽全体を使う事ができ、効率的な生産が出来ます。こちらでは年間80トンの生産を目指しています。
水槽にはある工夫が…
久須美舞記者:「このように水面を見てみると、ゆったりと波が立っています。実はこの水槽の先には自然の環境に近づけるために、人工的に波を立てる装置が設置されています」
造波装置で1分ごとに波を起こすことでエビの身が引き締まり、より美味しくなるということです。
ほかにも環境に配慮した最新の機器も備わっています。水槽を綺麗に保つため1日2回登場するのがこの掃除ロボットです。
海幸ゆきのや
秋田亮 社長:「下に溜まったこの餌とかふんが滑り落ちて、真ん中にあるピットに集まると、あのロボットでギューッと向こうへ押し出します」
その先にあるのはろ過装置。エビは海で養殖されるケースもありますが、こちらの養殖場では海洋汚染を起こさない仕組みを導入しています。
海幸ゆきのや
秋田亮 社長:「このプラスチックでできたこのろ材に硝化菌という細菌が付着していて、この細菌が目に見えないエビにとって有害な物質を生物的に除去していく」
初出荷は10月予定
さらに脱皮したエビの殻は粉末にして、別の食品に再利用出来るよう開発を進めています。
海幸ゆきのや
秋田亮 社長:「この一部のノウハウを世界に転用することで、ひょっとしたら環境破壊を少し軽減するとか、もっと東南アジアの方が楽に養殖が出来る働ける事につながっていくんじゃないかなと思うので、そういうメリットは期待したい」
鮮度を高く保つため養殖場のすぐ近くに生産工場があり、「幸えび」というブランドとして10月ごろに最初の出荷が行われるということです。