台風15号の影響が心配される中で興津川のアユ釣りが解禁 静岡市清水区
釣り人:
「これはいい」
5月20日、静岡市清水区の興津川で県内河川のトップを切ってアユ釣りが解禁となりました。
釣り人:
「きょうは満足。ここだったら絶対に釣れるって見当をつけてきたので」
釣り人達でにぎわった興津川。
ただ今年は例年とは違い、ある懸念が・・・
“期待”と“不安”が入り交じるなか始まった、アユ釣り解禁日を取材しました。
興津川 20日
20日、解禁となった興津川のアユ釣り。
県内で最も早い解禁。
川沿いでおとりのアユを扱うお店で話を聞くと・・・
さかなや 望月啓志 店主:
「この興津川は川がきれいだから、(アユの)味もいいので遠くからも人が来る。みんな楽しみにしていて『竿を出せればうれしい』と言って」
国内でも有数のアユ釣りスポットとされる興津川。
待ちに待った解禁日には、県内からだけでなく、遠いところでは群馬など関東からもアユ釣り愛好家が訪れました。
Q.みなさんが釣り竿を出している姿を見てどうか?
さかなや 望月啓志 店主:
「こんなの(仕事)なんてやっていられない、やりたくなっちゃう。自分も長くやっていたから。おもしろいよ」
この日は前の日が雨だったこともあり、川には少し濁りが見えました。
それでも釣り人たちは、朝早くから比較的濁りが少ない場所を選んで、釣り糸を垂らしていました。
掛川から 30代:
(釣ったアユを見せてもらって)
「形がけっこういいのもいて、大きいのもいて。これスイカのにおいがして香りも良くて」
Q.スイカのにおい?
「アユのにおいがする」
Q.川で味とかにおいは変わる?
「川で全然違う」
Q.興津川は良い?
「静岡で断トツ。きょう満足。もうここだったら絶対に釣れるって見当をつけて来たので。」
河津町から来たという、こちらの男性は…。
河津町から 70代:
「きのう(興津川に)8時頃に来て、場所取りして一晩車で車中泊した朝を迎えた」
Q.夜の8時に?
「朝の8時、きのうの。だって今年はもう本流は(雨で)だめで、支流しかないから、いいところを取らないと自分の楽しみが減ってしまう」
毎年、興津川の解禁日に来ているといいます。
この日の釣果はどうでしょうか。
河津町から 70代
「こうやって居られるとだめなんだよ」
カメラに少し緊張の様子。
アユ釣りには、色々な方法がありますが、こちらの男性は、針のついた、おとりのアユを使って、川のアユをひっかける「友釣り」で狙います。
そして…。
おとりのついた糸に注目です。
見事、釣り上げることができました。
河津町から 70代
「自分の思ったところで、あそこに入れたら釣れるかなと思ったときに釣れた瞬間がもうなんとも言えない」
川の濁りはありましたが、今年も釣り人を魅了していた興津川のアユ釣り。
しかし、そんな人気スポットがある危機に見舞われていました。
やはり台風による異変が
こちらは興津川の水中の映像です。
実はこの中に“異変”があります。
興津川非出資漁業協同組合 前澤元次 組合長:
「去年の台風の影響で、河川に土砂がいっぱい入ってしまった。アユが食べるコケが十分成長していないというか、濁ってくるとコケが生えてきても(土砂が)削りとって少なくなってしまう」
去年9月、県内各地に大きな被害をもたらした台風15号。
記録的な大雨によって、興津川にも大量の土砂や流木が流れ込みました。
台風発生から8カ月。
今でも、その爪痕は色濃く残っていて、川の底にある石には、アユの餌となるコケが少ない状況です。
さらに、台風の影響は他にも・・・
興津川非出資漁業協同組合 前澤元次 組合長:
「天然遡上が例年になく悪い。台風の後、親アユがなかなか産卵にうまくいかなかったというのもあると思うし、遡上の期間に川が濁っていると上ってきてくれないというのも一つ原因としてあるのかなと」
アユの産卵は通常10月下旬から11月ごろ。
去年の場合、台風15号からわずか1カ月後に産卵時期があたりました。
その頃は、まだ興津川に土砂が多く残っていたこともあり、産卵数が少なくなってしまったとみられています。
川の濁りは、人の手で解決することは難しく、時間が経つにつれて、自然と環境が戻っていくことを期待するしかありません。
そうしたなか、漁協では去年より大きいサイズのアユを放流。
興津川のアユを減らさず、釣りに来た人に楽しんでもらえるよう努めています。
興津川非出資漁業協同組合 前澤元次 組合長:
「(興津川は)非常にアユがおいしいと言われている。他県から来た方にも興津川のアユはおいしいよねって言ってもらえると、我々としてもやってきたかいもあるし、ぜひ興津川に来てアユ釣りを楽しんでいただきたいと思う」
興津川のアユ釣りは12月31日まで楽しめます。