給食停止の現場…教員「突然でびっくり」 校長「相談は1度もない」 初日は備蓄の「防災食」食べ、翌日以降はお弁当持参 静岡県

 広島市に本社を置く会社の経営行き詰まりで、全国で生じている学校給食の提供停止問題。静岡県内でも日を追うごとに影響が明らかになっています。

画像: 給食停止の現場…教員「突然でびっくり」 校長「相談は1度もない」 初日は備蓄の「防災食」食べ、翌日以降はお弁当持参 静岡県 youtu.be

給食停止の現場…教員「突然でびっくり」 校長「相談は1度もない」 初日は備蓄の「防災食」食べ、翌日以降はお弁当持参 静岡県

youtu.be

小林崇宏ディレクター:「本来ならここで給食を作っているということですが、現在はがらんとしています。ただ、いつでも再開できる状態にはしているということです」

画像: 給食停止の現場…教員「突然でびっくり」 校長「相談は1度もない」 初日は備蓄の「防災食」食べ、翌日以降はお弁当持参 静岡県

吉田特別支援学校

 静岡県吉田町にある吉田特別支援学校では、5日から生徒と職員およそ280人の給食の提供が止まっていて、現在も調理室は稼働していません。生徒や職員は、給食の提供が止まった5日には学校に備蓄していた防災食を食べ、6日からはお弁当を持参しているといいます。

画像1: 吉田特別支援学校

教員:「突然のことだったので、びっくりして残念な気持ちでいる。子どもたち皆で同じものを食べると、苦手なものがあっても頑張って食べようと思えるので、給食は子どもたちにとっては大きなものだと思っています」

 実は、吉田特別支援学校では、委託業者の更新によって8月からホーユーとの契約がはじまったばかりでした。ただ、夏休みを挟んだため、本格的な稼働は9月からの予定でした。そうした中で、8月31日には完全に連絡が取れなくなったといいます。

吉田特別支援学校 稲葉敏光校長:「我々は業者を選べるわけではないので、新規に入ったところが実際にはほとんど業務をすることなく、こういう状況になってしまったのは、非常に気持ちが憤る」

画像2: 吉田特別支援学校

ホーユー所属の調理師が無償で…

 広島の本社と連絡が取れない中でも、9月1日と4日はホーユー所属の調理師が無償で出勤し、給食を提供してくれたといいます。

吉田特別支援学校 稲葉敏光校長:「児童生徒たちのために、給食を作りに来てくれたと思う。学校として、会社との契約は成立していたが、調理員ひとりひとりについては、どういう雇用契約になっているかが、まだきちんと決まっていないような状態で、連絡を取れない方たちもいたようなので、それについてはずっと不安だったと思う」

 調理員たちからは不安の声が上がっていたといい、状況が分からない中での業務はできないとして、5日から出勤していません。

吉田特別支援学校 稲葉敏光校長
Q.(ホーユーは)コロナや物価高の影響でやっていけなくなったとのことだが相談はあった?

A.「7月19日に契約してから、直接ホーユーとそういう話をする機会は全くなかった。給食自体が始まっていなかったので、その問題に関して相談を受ける機会は一度もなかった」

県の出先機関の食堂でも「食事の提供中止」

画像1: 県の出先機関の食堂でも「食事の提供中止」

 県内では吉田特別支援学校の他にも、富士特別支援学校や富士宮東高校定時制など合わせて6校の給食が中止になっています。また、浜松合同庁舎と県東部総合庁舎の食堂でも食事の提供が中止されていることが、番組の取材で分かりました。

画像2: 県の出先機関の食堂でも「食事の提供中止」

静岡県教育委員会:「業者からもまったく連絡ございませんし、業者の方とも状況を確認できる状況にない」

 なぜ音信不通になったのか、ホーユーの関東エリアマネージャーが取材に応じました。

ホーユー 関東エリアマネージャー:「もう話にならないです。え、こんなのもらってどうすればいいの? って文書です」

 これは、会社側が従業員に宛てたA4の文書です。大きな文字で書かれた本文は8行のみ。

画像3: 県の出先機関の食堂でも「食事の提供中止」

社長の名前でだされた文書
「本日支給予定の給料が国税からの消費税の納付を8月31日に強制されたため支給が不可能になりました。」「本当に申し訳ございません」

ホーユーは近く「破産申し立て」の予定

 本社と連絡がとれないなか、吉田特別支援学校のように無給で働く覚悟の従業員たちが各地にいるといいます。6日、取材に答えた「ホーユー」の山浦社長は―。

社長:「価格だけ据え置いたまま、物価上昇が続いた。ビジネスモデルが崩壊している」

 「ホーユー」は現在、破産手続きに向けて準備をしていて、近く広島地裁に破産を申し立てる予定だといいます。資金繰りについて、関東エリアマネージャーは―

画像: ホーユーは近く「破産申し立て」の予定

ホーユー 関東のエリアマネージャー:「大手と勝負できるのって金額しかないから、そもそも売り上げがたたないぐらい安い値段で請け負っています。発注面もすごく制限されていて、そもそも頼めなくなるんですよ。鶏肉何キロでとか、この品目は高いから例えばチーズとか頼めませんとか。ごま油頼めませんとか、むこうからはじかれるんですよ」

 帝国データバンクによると、去年11月末の時点で負債額は16億円を超えるまでに膨らんでいるとみられます。

帝国データバンク情報統括部 藤井俊部長:「学校の給食というのは、入札で決まった金額で落札した金額で、そのやりくりをするというのが前提になるんですけれども、ここ1~2年のもろもろの値上がりを考えると、赤字経営が続いているというのは間違いなかったと思います」

給食再開と代替の外注弁当の両方考え進める

 給食が停止となっている吉田特別支援学校は、今後の対応に追われています。

稲葉敏光校長:「まずはできるだけ早く給食再開に向けた手続きを進めていけるように、県と調整を図りながら進めていく。それから現実的に今お弁当になっているので、代替の外注弁当などを注文できるような体制を整えて、少しでも保護者の負担を軽減することを両方考えながら進めていこうと思っている」