高齢化などで労働力不足…農業の課題をAIで解決 位置や大きさ認識し、キャベツを自動収穫  浜松市

 新規就労者不足や高齢化による労働力減少が叫ばれる日本の農業。AIなどの先端技術が問題解決に動き始めています。

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 新規就労者不足や高齢化による労働力減少が叫ばれる日本の農業。AIなどの先端技術が問題解決に動き始めています。  大きく、身が詰まった立派なキャベツ。こちらの畑では、約4万個のキャベツが実り、待望の収穫の時期を迎えています。しかし、生産者はある悩みを抱えています。

キャベツ農家 中津川拓哉さん:「この地域でも労働力の確保は、5年後10年後に少し厳しくなる印象は持っている。労働力を確保することが、この地域で課題になっている」

 近年、日本の農業は農業従事者の高齢化が進み、労働力の確保が課題となっています。

キャベツ農家 中津川拓哉さん:「他の産業に比べて気候の不確定要素も多いので、投資した分だけ製品が作れない面がある。そこの安定を得られるまで少し時間がかかる」

 生産技術の習得にも、長い年月が必要になる事から、若い世代の担い手が減っていて、新規就労者の取り込みや生産性の向上が必要となっています。そこで今、注目を集めているのが「スマート農業」です。
 
 スマート農業とはロボットやAI、IoTなどの先端技術を活用し、農業現場の課題を解決する取り組みです。

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 この日は、大学の研究者や農機メーカー、地元のJAなどが集まり、実証実験が行われました。

東京大学情報理工学系研究科 深尾隆則教授:「これはベースの車両がキャベツの収穫を人の手でするもので改良して、AI ディープラーニングで画像の認識、キャベツの認識をしてハンドルを切る。また高さの調整をして収穫するもの」

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 運転席には誰も座っていません。車両に取り付けられた2つのカメラを使い、AIがキャベツの位置や大きさを認識することで、収穫するキャベツを傷つけないよう先端部分を調整しながら、自動で収穫を行っていきます。また、収穫したキャベツをコンテナへ自動で入れるだけでなく、空のコンテナを積んだ車両がGPSを使い、収穫する車両に近づき、コンテナの交換などもすべて自動で行います。  今までは7人ほどで一連の作業を行っていたことから、大幅に時間と労働力を減らすことができるといいます。ただ、実用化には課題も残されています。

AIで農業の課題を早期解決めざす

画像: AIで農業の課題を早期解決めざす

東京大学情報理工学系研究科 深尾隆則教授:「畑の規模なども考えますと、栽培側と機械開発側がうまく調整しながら、キャベツの植え方など栽培の仕方も考えないといけない」

 今後、改良を重ねることで、2年後の実用化を目指していて、日本の農業の課題を早期解決したいと意気込みます。

東京大学情報理工学系研究科 深尾隆則教授:「新しく農業を始める人が増えるよう、機械の自動化、ロボット化によって体が楽であると。あるいは儲けが増えることを目指して、皆で共同で一緒に栽培するとか、機械を共同で使うとか、そういったところに結びついていけば」

キャベツ農家 中津川拓哉さん:「食料自給率の低下がいわれているので、そこを少しでも上げるためにも、畑をちゃんと機能させていくことを守っていけたらと思う」

 農林水産省は昨年度から全国148の地区で「スマート農業実証プロジェクト」を行っていて、静岡県内ではJAとぴあ浜松など6つの団体が採択されています。