「ふるさと納税」4年連続で静岡県内1位の見込み…焼津市強さのヒミツ 返礼品は全国トップクラスの1400種類 ほかにも…
焼津市ふるさと納税課:「全国でトップクラスになる1400種類の返礼品を取り揃えているところが一つ大きな理由」
返礼品を請け負う市内の企業からは驚きの数字が!
水産加工会社:「当初は100件ほどの注文でしたが、年末にかけて1万件近くの注文が来た」
一方、この状況に、お隣、静岡市からは…。
静岡市財政課:「率直にすごいなという感想ですけど…」
競争が過熱する「ふるさと納税」。焼津市が絶好調の背景とは? それを追う静岡市の“秘策”に迫りました。
「ネギトロ」…昨夏100件⇒年末には1万件近い注文
新鮮なマグロで作られた「ネギトロ」。日本有数のマグロの水揚げを誇る焼津市の特産品です。実はこのネギトロ、「ふるさと納税」でも人気の返礼品。この「返礼品」をめぐって今、「うれしい悲鳴」が!
大坪水産製造本部 山田茂則本部長:「大変好評で、始めたのが去年の夏ごろ、当初は100件ほどの注文でしたが、年末にかけて1万件近くの注文が来た。リピーターも多く、大変うれしく思っている」
ふるさと納税絶好調…焼津市強さのヒミツ
焼津市によりますと、速報値で2022年度のふるさと納税の額はおよそ75億7400万円で、過去最高となる見通しだといいます。県内35の市や町の中でも、4年連続の1位となる見込みです。なぜ、焼津市はこれほどまでに“絶好調”なのか。そこには“ある理由”がありました。
焼津市ふるさと納税課 山下浩一課長:「全国でトップクラスになる1400種類の返礼品を取り揃えているところが一つ大きな理由。また焼津市の返礼品は非常に良いものをたくさん揃えている。特にマグロやカツオそうした魚介類であるとか、ネギトロやツナ缶となどの水産加工品、こうしたものが非常に皆さまに認知され、好評となっている。さらに市内に工場のあるビールも好調な状況となっている」
焼津市が返礼品として取りそろえる「水産加工品」や「ビール」は、いずれも値上げに直面した商品。さらにコロナ禍の“巣ごもり需要”や“家飲み需要”が高まったのも、焼津市が注目を集めた背景にあるようです。
PRにも力を注ぐ
「種類」や「質」に注目が集まりがちな「ふるさと納税」ですが、焼津市では積極的にPRにも力を注いだといいます。
去年の夏と冬にはいわゆる「仮想空間」の“メタバース”を活用したイベントを実施。インターネット上に作られた仮想の空間で、ゲームのような操作をしながら他の利用者とコミュニケーションをとります。
この「メタバースイベント」では、マグロ解体ショーや返礼品の紹介、市の職員が来場者の接客などを行いました。
また、4月は東京で開かれたイベントに参加。返礼品のツナ缶の特別販売や返礼品展示などを行い、焼津市の魅力を全国に発信したということです。
大坪水産製造本部 山田茂則本部長:「物価も高騰していますが、パック数を多くして、お得感を出しているところが人気かと。もちろん、味もおいしいですけど」
こう話すのは、焼津市の水産加工会社。この会社では創業以来、不動の人気を誇るという「ネギトロ」を10種類、ふるさと納税サイトに登録しています。物価高騰が続く中で、お得感が消費者の心を掴んだようです。
ふるさと納税サイト「さとふる」では、現在「マグロ部門」で、こちらの会社の返礼品が週間、月間共に全国ランキング1位となっていて、需要の多さから、新しい機械を導入したといいます。
大坪水産製造本部 山田茂則本部長:「今後、コロナがどういう状況になるか分かりませんが、状況に応じて新商品を提供していきたい。また返礼品を通して、焼津市を知ってもらいたい」
お隣・静岡市「率直にすごいなという感想」
一方、焼津市のお隣、静岡市はというと、2022年度のふるさと納税の額が速報値で、およそ8億円。焼津市とは67億円もの差があります。焼津市の勢いをどう見ているのでしょうか?
静岡市財政課 資金担当課長 大竹透さん:「率直にすごいなという感想ですけど、やはり焼津市さんがかなり早い時期からふるさと納税に力を入れてきた、そういった取り組みが成果として出ていると思う。我々としても参考に出来るところは取り組ませていただいて参考にしたい」
実際、静岡市では昨年度およそ600種類の返礼品を増やしたことが功を奏し、2021年度の4億円から8億円に倍増させることに成功しました。そして、難波市長が新たに就任したことで、今後は“変化”が生まれるようです。
静岡市財政課 資金担当課長 大竹透さん:「ふるさと納税にこれから力を入れていくということで、副市長をトップにしたプロジェクトチームを作って、その中で返礼品の開拓、新規開発ですとか、そういったものに力を入れて取り組んでいくという話をしている。我々もその指示を受けて、これからふるさと納税の増額に向けて取り組んでいきたい」
新型コロナウイルスが落ち着きを見せる中、物価高騰の波はとまりそうにありません。県内1位の焼津市では“生活者目線”で戦略を立てていくといいます。
焼津市ふるさと納税課 山下浩一課長:「物価上昇というか、商品の高騰であるとか、値上げ増の社会状況なので、消費者の皆さんからすると、ふるさと納税という制度を使えば、非常にお得になってくるので、その辺のニーズもこれからもつかんでいきながら、より幅広く皆さんにご利用いただく、寄付をいただけるようなそういった取り組みを進めていきたい」