【リニア】JR東海と静岡県が文書で応酬…大井川流域への説明めぐり JR「個別に」 県「公開の場で」

 リニア新幹線工事に関わる水問題の解決策として、JR東海が提案している「田代ダム案」について、静岡県とJR東海が文書での応酬を繰り広げています。

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【リニア】JR東海と静岡県が文書で応酬…大井川流域への説明めぐり JR「個別に」 県「公開の場で」

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争点は「田代ダム」

静岡県 川勝平太知事(14日):「JR東海が提起されたものですから、JR東海さんの方が説明の方に入られる必要があるわけですね」

画像: 争点は「田代ダム」

 14日開かれた川勝知事の会見。JR東海を名指しした背景には、1週間にわたるJR東海との“やりとり”があります。並べられた4枚の文書。これは、この数日間で県とJR東海との間で交わされたものです。文書を送っては回答をし、繰り返すこと1週間で2往復。この中で「争点」となっていること。それは静岡市の山間部にある「田代ダム」です。

JR東海 金子慎社長(9日):「物理的に水が流れていることについて懸念を解く方法、努力をすべきという一環で提案した内容ですから、なんとか、たくさんのご理解を円満に得て前に進めたいな、進めばいいなと、そういう努力をしたいと思います」

JRが示した「水問題」解決の方法

 リニア工事に関連した「大井川の水問題」を解決する方法の1つとして
JR東海が示した通称:田代ダム案。「田代ダム」は、東京電力のグループ会社が管理していて、発電のために大井川から水を取り、山梨県へと送っています。

 現在、山梨県側で進んでいるトンネル工事が、今後、静岡県との県境を越えると、一定の間、静岡県側の水が山梨県側に流れ出ると言われています。「田代ダム案」では、流れ出た水の量を計測し、同じ量だけ田代ダムでの取水量を減らすことで、大井川の水量を補うというもの。流域市町の中からも前向きな声が上がる一方で、県は、水の少ない冬場にも水が戻せるのかなど、懸念を示していました。

JR「個別に確認」 県「個別は遠慮して」

画像: JR「個別に確認」 県「個別は遠慮して」

JR東海 金子慎社長(9日):「東京電力リニューアブルパワーから言われていることは、流域の関係者の協議を始めることへの了解が前提だと言われているので、いま了解を得る努力をしようとしていたところです」

 8日、JR東海は県へ文書を送り、東京電力側と協議を始めることの了解を求めました。

JR東海の文書(8日)
「流域の関係者に対しても協議を開始することの了解について確認を行ってまいります」

 JR東海は、流域の関係者に“個別に確認をとる”方針を示したのです。すると翌日、県が返事を出します。

県の文書(9日)
「個別に了解を確認することは、ご遠慮いただくようお願い致します」

 県は、大井川流域の市町や利水団体と組織している「大井川利水関係協議会」の規約に「JR東海との連絡や交渉は県を通じて行う」と書かれているとして、個別の接触を避けるようJR東海に要請しました。

JR「個別に率直な意見を聞き…」

静岡県 川勝平太知事(14日):「利水関係協議者、これは10市町全部入っているわけですね。そこに個別に入りたいということですけれども、個別にするというのではなくて、全員に公開で同じように説明されるようにするのがいいと、そういう風にするということでですね、本県が窓口になっているという事も含めて、JR東海にこれまでご了解を頂いていたのでですね、加えて、早急にJR東海が協議会メンバーへ説明できる場を設けるとしました」

 知事は、JR東海から文書が届くとコメントで、「一方的な通告ではなく、双方向のコミュニケーションによる真摯な対応を強く要請する」と、JR東海に苦言を呈しています。この知事のコメントにJR東海も反応しました。

JR東海の文書(13日)
「個別に関係者の率直なご意見を伺いつつ、双方向のコミュニケーションを行うことが、ご理解を深めていただくことにつながると考えております」

県「公開の場で関係者に説明を」

 これを受け、県は14日、再び、「協議会での説明」を書面で求めました。

静岡県 川勝平太知事(14日):「関係する利水関係者に、JR東海が一度に説明できる場を設けた方が効率的であるし、公開の場で関係者が“同じ”説明を受けることで、関係者が共通認識を得たうえで判断する方がいいと考えている」

画像: 県「公開の場で関係者に説明を」

 その上で、県は3月中に協議会を開く方向で日程調整を行っていると説明。さらに、その様子を報道陣に公開することを明らかにしました。

静岡県 川勝平太知事(14日):「公開であるから、何というか、公正にできるということで、そうしている」

Q.知事は公開といったが、協議会はマスコミにも全面公開するのか?

A.「それが一番ふさわしいと思う。非常に関心の高いことなので。秘密にするべき理由は何もないと思う」