三ケ日に新たな特産品『青みかんスカッシュ』 捨てられていた青みかんを有効利用 浜松市
捨てられていたみかんを有効利用
シュワっとはじける炭酸。三ケ日発の「青みかんスカッシュ」です。捨てられるはずだったみかんが生まれ変わりました。向かったのは、浜松市北区三ヶ日町の農園。
西尾梓アナウンサー:「たくさん木がありますね、みかんの木が。」
ブルーレイクプロジェクト
夏目記正代表:「赤ちゃんの木ぐらいですけどね、まだこどもの木ぐらいですけど」「こちらがブルーレイクプロジェクトで使わせてもらっている農園になります」
案内してくれたのは、夏目記正(なつめのりまさ)さん。
夏目さん:「ちょうど今年は、今花が咲いて散って、赤ちゃんのみかんが付き始めた頃の木になります」「今この花が少しついて、ここの根元についている、ちっちゃな緑色の玉が赤ちゃんのみかんになり、この花の数だけみかんの実が成長していくことになります。」
西尾アナ:「一つの枝から30個ぐらいみかんができそうな気がしますけれども、このうちみかんとして成長できるのはどのくらいなんですか?」
夏目さん:「みかんの状況にもよるんですけど、この中で出荷できるのは、だいたい3個から5個くらいじゃないかなと思います」「赤くなってくるのは収穫の付近、冬になってからぐらいなので、8月頃に摘果するみかんはこのぐらいの緑色になります」
摘果された青みかん 環境にも負荷
青みかんとは、美味しいみかんをつくるために、まだ緑のうちに間引くみかんのこと。この、間引く作業は「摘果」と呼ばれます。
西尾アナ:「約30個の芽が出ているこの枝で、摘果されるのはどのくらいですか?」
夏目さん:「半分くらいは摘果で落としていくのが通常になります」
西尾アナ:「半分も落とすんですか!」
夏目さん:「そうすることによって、残ったみかんは美味しく甘くなってきますので、そういった作業が必要になります」
西尾アナ:「青みかんって食べられるんですか?」
夏目さん:「これですか?はい、頑張っていただけばと思います」
西尾アナ:「青みかん、いただきます。初めて…酸っぱいですね、そのままでは食べられないです。やっぱり何かに加工しないと、青みかんは食べられないですね」
夏目さん「でしょうね」
夏目さんによると、摘果されるみかんは三ヶ日地域だけでも年間3万6000トン。このほとんどが地面に落とされたまま。そして、雨が降ると、みかんに付いた農薬が近くの湖に流れ出て、環境に負荷をかけているという指摘もあるそうです。そこで、ひらめいたのが青みかんを使った商品づくりです。
夏目さん:「もったいないなって本当に純粋に感じたし、何かこの子を生かしてあげたいなと感じました。」
西尾アナ:「それが今のプロジェクトにつながったということですか?」
夏目さん:「三ヶ日に特産物を、もっと活性化をと思ったときに、いろんなことを考えたんですよ。新しいものを植えようとか新しいものを作ろう、でも素直にもったいないって感じた、もともとあったものに光を当てようという風に感じました」
みかんの花からとれたはちみつの甘みをプラス
2019年、夏目さんが仲間と立ち上げたのが「ブルーレイクプロジェクト」。三ヶ日を中心とした地域活性を目的に、生産ロスの削減にも取り組んでいます。第一弾は青みかんを使ったビール、第二弾はシャンプーと、次々と商品を開発しました。そして今回が第三弾、「青みかんスカッシュ」。去年1月から始めた開発、そう簡単にはいきませんでした。
夏目さん:「三ヶ日みかんの甘い赤いみかんは、それだけでやっぱり美味しいので、そこを目指したときに、青みかんの『酸っぱくてちょっと苦い』っていうのを、どう『美味しい』にもっていくのか?そこはものすごく難しかったです」
そこで目をつけたのが、プロジェクトのメンバーの一人、長坂さんが手がけるはちみつです。
西尾さん:「青みかんスカッシュにはちみつ、どのような役割を求められたんですか?」
長坂養蜂場
長坂善人社長:「砂糖の甘みだけじゃなくて、はちみつが出す優しい甘みとコクのある甘みというものとか、せっかく三ヶ日みかんがメインの果汁として入ってくるので、その同じみかんの花からとれた恵みっていうのも、ここに入れたいなと思って」
発売2カ月で1万本の人気商品に
20回を超える試作を経て、「青みかんスカッシュ」が出来上がりました。果汁は20%で、三ケ日みかんの花から採れたはちみつも使われています。
西尾アナ:「それでは頂きます。美味しい。青みかんの爽やかな酸味と、蜂蜜の自然で優しい甘さ、このバランスが絶妙です。」
「青みかんスカッシュ」、発売から2か月で1万本近く売れています
夏目さん:「もともと価値がないとされていたものに光を当てて、磨いて輝かせて新しい商品を作って、その収益で僕たちが住んでいる自然環境や湖をきれいにしていく活動をして、自分たちの子供たち、孫たちがきれいな街だな、住みたいなって言ってくれる街になったらいいなって、そういう活動をしていきたいと思っています」
西尾アナ:「三ヶ日みかんだけじゃなくて、『三ヶ日青みかん』も特産品になる日、近いんじゃないんですか?」
夏目さん:「そうなってくれたら本当に幸せです」