静岡県の川勝平太知事は初参加の「リニア期成同盟会」で何を訴えたのか
根方ゆき乃記者:
「定例の総会に初めて参加する川勝知事が、会場に入ります」
31日都内のホテルに姿を見せた川勝知事。
そこにJR東海の丹羽社長が声をかけ、笑顔で言葉を交わす場面が見られました。
リニア沿線都府県の知事らや、与野党の国会議員が次々と会場入りする中、川勝知事も会場へ…
愛知県・大村秀章知事:
「ようこそ」
「きょうはよろしくどうぞ」
31日開催されたのは”リニア期成同盟会”の総会。
リニア開業に胸を膨らませた多くの参加者から注目が集まる中、壇上に上がった川勝知事。
川勝知事:
「静岡県知事の川勝平太です」
沿線の知事たちに、いったい、何を語ったのでしょうか!?
静岡県が期成同盟会への加入
リニア中央新幹線の早期開業に向けて、沿線都府県で組織する「期成同盟会」。
静岡県は、4年前から加入の意思を示していましたが、実現したのはそれから3年余りがすぎた去年のことでした。
愛知県・大村秀章知事:
「今後はリニア中央新幹線の早期開業に向け、静岡県を含めた10都府県で同じ方向を向いて、協力して取り組みを進めていきたい」
去年8月に、オンラインで開かれた期成同盟会の臨時総会に川勝知事が初参加。
リニア建設に対する静岡県の姿勢を、こう語っていました。
川勝知事 去年8月:
「リニア中央新幹線の整備についての本県の基本姿勢は整備の促進でございます。
品川―名古屋間の2027年開業、大阪までの全線開業2037年を目指す立場を共有するものであります」
しかし、その一方では…
川勝知事@去年8月:
「本県には、まだ南アルプストンネル工事による水資源、生物多様性、残土処理などへの影響回避という深刻な課題が残っております。
同盟会を構成する各都府県にも諸問題を共有致しまして、整備を促進するためにJR東海との対話を、国と協力して進めてまいります」
リニアの早期開業を実現するために、静岡県が懸念する問題を、期成同盟会で共有して取り組んでいきたいと語っていた川勝知事。
そして初の総会参加で川勝知事は
31日リニア沿線10都府県の知事らが初めて一堂に会する場で、語った内容は…
川勝知事 都内・午後2時ごろ:
「静岡県は一貫してリニアに賛成しております。このリニアの技術は日本の誇るものであり、これを次世代に継承発展させていければならないと言うふうに思っています。南アルプストンネル工事につきましては、昨年の私が入る前の期成同盟会の決議の第一項におきまして、水資源の保全また南アルプス自然環境の保全をうたい、それと同時にリニアを進めると、同じように閣議決定もそのことがうたわれ、また翌月の選挙における自民党の党約にもうたわれました。これは静岡県の主張と全く一緒でございまして、ご同慶の至りでございます」
改めて、静岡県はリニアを推進する立場であり、期成同盟会や政府の姿勢と「一致している」ことを訴えました。
しかし…
川勝知事 都内・午後2時ごろ:
「南アルプストンネル工事を含め、トンネルを掘りますと二つの問題が出てきます。
一つは水です。
もう一つは掘削土でございます」
川勝知事による、およそ3分半のあいさつのうち、2分余りを占めたのは、南アルプスをめぐる静岡県の立場について、理解を求める言葉でした。
川勝知事 都内・午後2時ごろ:
「南アルプストンネル工事における水の問題に関しましては、JR東海さんが田代ダムの取水抑制によって、これを解決したいという案を
出されておりまして、この実現可能性が今、JR東海さんと東京電力の間で話し合われておりまして、これの解決を私どももとしても
鶴首しているところであります」
そして、およそ370万?とされる残土の置き場については、JR東海が示しているツバクロと藤島、2つの候補地は認められないという、県の考えを、改めて示しました。
川勝知事 都内・午後2時ごろ:
「このツバクロ沢というところは、国交省の山体崩壊の最も危険なところに位置付けられている所で、極めて適切性を欠いていると言う状況。また、藤島沢は工事現場から10㎞以上離れているところで、昨年7月に施行された静岡県の盛り土条例においては、これを適用に除外することはできないということ」
静岡県の立場に理解を求めた川勝知事は、最後に…
川勝知事 都内・午後2時ごろ:
「従いまして、この田代ダムの取水抑制。ならびにツバクロ沢の盛り土360万?。それから藤島沢の要対策土の10万?。これを合理的に解決すれば何の支障もないということで。ぜひぜひ皆さま方のお知恵をご拝借いただきながら、これを解決しながら、リニアの成功に向けて私ども協力したいと考えているので。これからもどうぞご協力、ご支援、ご理解を賜りますようお願い申し上げる。以上でございます。
ありがとうございました」