【リニア】環境への影響は…JRが初めて独自調査の資料提示 静岡・森副知事「不測の部分がまだある印象」

静岡県 川勝平太知事(14日):「県民の皆様の不安や懸念が払しょくされるよう、引き続きJR東海との対話を進めてまいります」

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 14日から始まった静岡県議会2月定例会。川勝知事は所信表明の中で、改めてリニア中央新幹線対策への意気込みを語りました。

国の有識者会議…大きなテーマは3つ

画像1: 国の有識者会議…大きなテーマは3つ

 同じく14日、都内では、国交省が主催する有識者会議が開催され、県からは森貴志副知事がリモートで出席しました。会議における大きなテーマは3つ。「沢に住む生き物への影響」「高山植物への影響」「残土などによる環境への影響」です。リニアのトンネル工事がこれらに及ぼす影響について、JR東海が独自に行ってきた調査による資料を示しました。

画像2: 国の有識者会議…大きなテーマは3つ

JR東海 宇野護副社長(14日):「専門的な見地から様々なご意見を頂き、私どもにとってもとても参考になる話がもらえた。可能な限り対応していきたい。そういう意味で、具体的な議論が進んできた感じがしている」

 JR東海から議論の材料となる資料が初めて提示されたことについて、森副知事は…

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静岡県 森貴志副知事(14日):「先生方の議論にもあったが、不測の部分がまだある印象。水質の問題については、JR東海が示した基準よりも、実際に大井川に流れている水を中心とした水質について、より深い議論をしてもらいたい」

 大井川の「水」をめぐって有識者会議は、その流量について「トンネル掘削で湧き出る水を大井川に戻せば中下流域の流量は維持され、地下水への影響も極めて小さい」と中間報告をまとめています。これまで中下流域の水量が注目されてきましたが、森副知事が懸念を示したのは、大井川上流部の「水」についてです。

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 去年、現地を視察した川勝知事も-。

静岡県 川勝平太知事(去年8月):「べらぼうにきれいですよ。この水質は最良のものであります」

 14日の会議では、導水路トンネルの出口がある椹島(さわらじま)付近の水温が、最大で10度近く上昇するという予測結果が示されました。JR東海は、対策として「水を外気にさらしてから流す」こと、「雪と湧水を混ぜて流す」ことなどとしています。

 課題は水質だけではありません。

「地下水の低下」の影響は…森副知事「上流部のデータもらいたい」

画像: 「地下水の低下」の影響は…森副知事「上流部のデータもらいたい」

 JR東海は、工事によって大井川上流部の地下水が最大300m低下するとしています。これによる住宅や多くの企業が集まる中下流域への影響は低いとしていますが、上流部への影響を否定する資料や調査結果は示していません。隣の山梨県ではリニア工事が進むにつれ、水が失われてしまった場所もあります。

 トンネル工事が行われるのは、ユネスコエコパークにも指定されている「南アルプス」です。仮に上流部の水が減り、水質が悪化してしまうと、そこに息づく希少な動植物に大きな影響を与える可能性があります。そうなれば、中下流域の暮らしにも何らかの制限が出る恐れがあり、現在、有識者会議で行われている議論は、決して上流部だけの問題ではないのです。

静岡県 森貴志副知事(14日):「測れない場所もあるだろうが、さらに上流部についてのデータをもらいたい。(環境への影響を)全く低減できない状態までは議論を進めてほしいという気持ちに変わりはない」

       (2月15日放送)