1人退院しても夜には新しい患者が…コロナ病床は常に満床 深刻な「職員の感染」 静岡・藤枝市

 ナースステーション内で鳴り続けるナースコール。感染拡大に歯止めがかからない中で、医療の現場は厳しい現状に追い込まれています。

画像1: 1人退院しても夜には新しい患者が…コロナ病床は常に満床 深刻な「職員の感染」 静岡・藤枝市

 藤枝市の藤枝市立総合病院。静岡県の重点医療機関の一つで、主に中等症や重症のコロナ患者を受け入れています。こちらの救急病棟には、一般の入院用が9床、コロナ専用の病床が10床ありますが、8月はどちらもほぼ満床の状態が続いているといいます。

看護師
「これは(患者に投与する)抗生剤です。入院の方は肺炎とかも併発している方が多いので。肺炎治療とコロナの治療、2つ一緒にやっているのが多い」

Q.いつも毎日、多くの量を用意している?
A.そうですね。多いと思う。

画像2: 1人退院しても夜には新しい患者が…コロナ病床は常に満床 深刻な「職員の感染」 静岡・藤枝市

看護師長
「だいたい1日1人から2人は(コロナ患者が)入院されてくる現状なので、10床あってもすぐ埋まってしまう。ピークの時はコロナによって基礎疾患が悪化しないように、看護師がいろいろ対応していた」

 21日時点で、県中部の病床使用率は90.4%と非常に高い数字になっています。藤枝市立総合病院では、コロナ患者が1人退院したとしても、その日の夜にはまた新たな患者が入院することもあるといいます。

深刻な「職員の感染」

 さらに、入院患者の増加に加えて深刻なのが、職員の新型コロナ感染です。

看護師長
「職員の陽性者がかなり増えてきていたので、コロナとか救急患者の対応ができる看護師の人数が少なくなってしまって、すごく忙しかったというのが現状。例えば、コロナ患者のナースコールが鳴った時に、すぐに対応できなかったりとか…」

画像: 深刻な「職員の感染」

 こちらの病棟には27人の看護師がいますが、ピーク時には陽性者・濃厚接触者あわせて5人が一度に休むこともあったと言います。もともと職員の数に余裕がなかったことに加え、コロナによる休職者が増加したことで、同じ職員が連日夜勤を担当するなど、負担が大きくなっています。

陰性だった患者が数日後陽性に

 職員の感染を抑えるためには、入院患者がコロナ陽性者かどうかを正しく判別することが対策の1つとなりますが、現状では難しいと言います。

藤枝市立総合病院 感染管理室 戸塚美愛子さん
「最近で言うと、入院時の検査では陰性で症状もまったくなかったが、入院後3日目、4日目ぐらいに喉の痛みや発熱の訴えがあって、検査をしたらコロナということがわかるという状況。脳血管疾患、整形外科的な疾患とか、全くコロナとは関係のない患者の入院症例で、すり抜け症例が多くみられている」

画像1: 陰性だった患者が数日後陽性に

 病院側は、入院前に患者やその家族にコロナに関する聞き取りを行っていますが、それでも対策をすり抜けてしまう症例が増加。7月まではそうした症例は1件もありませんでしたが、8月に入り、すでに3件発生していると言います。

 藤枝市立総合病院の事業管理者で、県病院協会の会長でもある毛利博医師は、緊迫した状況が続く医療現場の、厳しい現状を訴えます。

画像2: 陰性だった患者が数日後陽性に

藤枝市立総合病院事業管理者 静岡県病院協会 毛利博会長
「(院内で)仕事を休んでいるという人は40名強いる。これがもし50人、60人、70人となってくると、1病棟閉めるという最悪の事態になっている。感染者の数が多すぎる、それがやっぱり一番の問題。医療崩壊っていうのは僕たちも言葉としては使いたくないが、今、そういう意味での、本当に剣ヶ峰というか、分水嶺というか、どっちに転がるかっていうところの瀬戸際だと思っている」

    (8月22日放送)